4ピースオルタナティヴロックバンドのパノラマパナマタウンが9日、東京・代官山UNITでワンマンライブ『CORE HEAT ADDICTION TOUR』をおこなった。今年2月から続いた全国ツアーの集大成とも言えるワンマンライブは東京と17日の兵庫・神戸 VARIT.の2公演をおこなうというもの。「ロールプレイング」や「フカンショウ」などアンコール含め全18曲を披露し、会場を熱狂の渦に巻き込んだ。アンコールで披露された新曲の「$UJI」が10日に配信リリースされ、10月11日に主催イベント「パノラマパナマタウン presents『渦:渦』」の開催も発表された。確実に次のフェーズへと進んだ姿がそこにはあった東京公演の模様をレポートする。【取材=村上順一】

俺たちの本気聴かせてやるよ!

ライブの模様(撮影=小見山 峻)

 PPTと書かれたペイントが目を惹く巨大なバックドロップには、“DANGER”や“CAUTION”のバリケードテープが張り巡らされ、危険な雰囲気を開演前から匂わせていた。フロアからは現実世界から開放させてくれる破天荒なライブへの期待感で満ちていた。

 会場が暗転し、ライブの楽しみ方をレクチャーする影アナウンスが同じところを繰り返すバグを起こし、警告を告げるかのようにパトランプが回転し会場は真っ赤に染まる。デンジャラスな空間に響き渡るスラッシーなSEが響く中、メンバーがステージに勢いよく登場。岩渕想太(Vo、Gt)は手に持ったジェットガンからCo2を噴射しフロアを煽る。

 オープニングを飾ったのは「PPT Introduce」。パノラマパナマタウン流ヒップホップサウンドとソリッドなロックサウンドの融合で、序盤から熱狂をぶつけてきた。続いての「リバティーリバティー」ではまさに自由に楽しんでくれといったスタンスで、真っ向からオーディエンスと対峙するバンドの姿。

 「裸の心を見せてくれよ!」と叫ぶ岩渕から田村夢希(Dr)のタイトなリズムと浪越康平(Gt)の効果音のようなギターサウンドがアクセントになって響く「マジカルケミカル」では、その盛り上がりを表すかのように、無数に上がるオーディエンスの腕。そして、アグレッシブな「寝正月」からグルーヴをガラッとチェンジし乗らずにはいられない「エンターテイネント」と、セットリストの展開にオーディエンスもさらにエキサイトしていく。

 「俺たちの本気聴かせてやるよ!」と「Gaffe」、そして、岩渕は手に入れたばかりのニューギター・テレマスターを肩にかけ「シェルター」とバンドの本質をさらけ出したナンバーを立て続けに披露。テレマスターという新たな武器を手に入れ、さらに楽曲の密度が増したサウンドで席巻。そのメリハリのある流れは、バンドとしての進化を感じさせた。

 田野明彦(Ba)の心地よい低音が体を揺さぶるフレーズから浪越、田村と楽器隊のサウンドに続いて未発表曲の「ねぇ、東京」へ。ノンストップで止まることを知らない怒涛のエネルギーをぶつけるパノラマパナマタウン。曲数を重ねるごとに高まっていく熱量をさらに加速させたのは、メンバー紹介も兼ねたナンバー「PPT」からの「ロールプレイング」。バンドの放つエナジーを掴みにいくかのように、ステージ前方へと流れ込むオーディエンス。そして、3年振りの披露となった「クラリス」へ。岩渕は「ついてこれるか」と煽り衝動をぶつけていく。

 「今日もいつか過去になる、だから一緒に燃え尽きようぜ!」と、バンド結成の地、神戸に捧げる「SHINKAICHI」を披露。田野と田村のリズム隊のグルーヴに体を弾ませ、音を楽しむオーディエンスの姿。そして、浪越による海を泳ぐかのようなメロディアスなギターソロは、激情型のソロとは違った2面性を放つ。

熱狂できるものは何だ?

ライブの模様(撮影=小見山 峻)

 このワンマンがソールドアウトしたことへの感謝を告げる岩渕。「自分で運命を動かしていきたい。何もしないで勝手に売れるバンドなんかいない。自分で人生を決めたから、自分たちでバンドを進めて、ドンドン大きな会場へみんなを連れていきたい」と宣言し、決意のナンバー「ラプチャー」を披露。奏で続けていくほど深化していくのを感じさせ、それはオーディエンスの心情にも浸透していくかのよう。そして、「これからの俺たちの旅に…」と「odyssey」へ。<満員のユニットに辿り着いた>と歌詞を変え、未来へ向かって進んでいくバンドのアティチュードを感じさせた。

 「見たことのない熱狂を観に来た。行けるところまで行こうぜ!」と「MOMO」に続いて、印象的なギターカッティングが鳴り響くとフロアから歓声が上がった「世界最後になる歌は」とラストスパート。岩渕はまだまだ伝えたりないとフロアへ降り熱唱。何も考えずとも生きていける世の中だが、なんとなくではない日常を提供したいと、客席後方からメッセージを送る岩渕。ライブをしている時が生きていると実感出来るとそれを体現するかのようなステージを魅せてくれた。

 本編ラストは「心の底から生きてくれ!」と「フカンショウ」を投下。自分をさらけ出すかのように会場全体が同じ意思で盛り上がる。岩渕は「俺たちにとって熱狂できるものがロックバンドなら、お前たちにとって熱狂できるものは何だ?」と問いかけを残し、ステージを後にした。

 アンコールを求める手拍子とPPTコール。ステージサイドのスクリーンに緊急告知の文字。10日に新曲「$UJI」が配信されることが映し出され、歓喜の声が巻き起こる中、再び戻って来たメンバーによって間髪入れずにその「$UJI」を披露した。<計らせてたまるか>と強いメッセージを放ち、<あとはアドリブ任せた>とそこから先はこの曲を聴いた人たちが自身で考えて欲しいということを投げかけ、ワンマンライブ『CORE HEAT ADDICTION TOUR』東京公演の幕は閉じた。