俳優の綾野剛が主演を務める映画『パンク侍、斬られて候』の完成披露舞台挨拶イベントが11日、都内でおこなわれ、綾野はこの作品の破天荒な演出の根底にある真意を掘り下げて語った。この日は綾野のほかに、共演の北川景子、東出昌大、染谷将太、浅野忠信、國村隼、豊川悦司、若葉竜也、近藤公園と、脚本を担当した宮藤官九郎、メガホンをとった石井岳龍監督も登壇した。

綾野剛

 映画『パンク侍、斬られて候』は、芥川賞作家の町田康による江戸時代が舞台の人気小説を原作として実写化した映画作品。規格外の能力を持つ一方で、いいかげんな性格の侍・掛十之進が、自らがまいた種で起こる騒動に振り回されるさまを描く。主人公の掛十之進を綾野が演じる。また主題歌には、セックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」を起用、さらにエンディングテーマとして感覚ピエロの「夜のスピード」が採用されている。

 芸能界でも屈指の人気実力派俳優が集結し完成された本作だが、綾野は「町田康さんの原作で宮藤が脚本、そして石井さんが監督ということで十分だと思う。劇薬になるになるのは間違いない」と、台本の本読みの段階で既にそのストーリーの魅力に取り付かれた様子。そして制作を振り返り改めて「今回12人(の登場人物)がメインになっているけど、一人ひとりのパンク精神をそのまま作品に持ち込んだというのが、この作品の持ち味だと思う」とこの作品のアピールポイントを述べる。

 一方、この日はそんな個性的なこの映画を「一言で言ったら?」とお題が出演者それぞれに渡され、各人の映画のイメージをコメント。綾野は掛け軸に「宣伝不可能」としたため「特に今日も取材していただき、記者の方々にお時間を作っていただき、さらにはテレビで番宣をさせていただいたにもかかわらず、例えば“最後に一言”と言われ、そういう場合は大体宣伝ですけど“宣伝不可能な映画です”って。正直、すごく困っています」などとコメント。

北川景子

 しかし「言葉で説明できるのが全てが解決するのであれば、それは本当に素晴らしい映画なのか? と考えると、本来こういうものが映画のあるべき姿の一つなのではないかと感じております」と自身の思いをコメントし「この作品って、1000万人が“素晴らしい!”と言ったら、日本は終わるかもしれない、あるいは逆に幸福かもしれない。でもそれを決めるのは、皆さんがどういう風に生きているのかということが直結する作品だと思う。今自分の精神状態がどうかという状況によってこの作品は表情を変え、景色を変え、皆さんに見せる豊かさも変わると思う。本当の意味で御自信に今起こっていること、自分を肯定できることを、この作品を通して、一つ自分が正しいんだという解釈に立ち戻っていただければ幸いです」とクレイジーな作風の根底にある作品の深さをアピールした。

 また、北川は撮影時のエピソードとして、劇中に沢山登場する猿に関して「猿がすごく可愛かった! 猿を抱くシーンがあるんですが、こんなに可愛いんだってビックリしました。癒やされましたね。完成されたのを見ても私は癒やされたし、女性の方に猿は響くと思います」とコメント。

 その言葉に綾野は一瞬戸惑いながら「“猿は女性に響く”って名言ですね」と“名言”に対して苦笑いを見せるつつも「本当に北川さんって、美しいとか色んなイメージもあるけど、パンク精神を非常に持っている。紅一点だけど対等な関係をもって、作品を一ミリでも良くしようとするという思いを感じられたので、楽しかったし、この役は北川さん以外には考えられなかったです」と北川の演技を絶賛していた。【取材・撮影=桂 伸也】

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