シンガーソングライターのコレサワが5月12日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで、ワンマンショー『コレシアター 04』を開催した。イベント名の「コレシアター」は、コレサワとシアター(映画)を掛け合わせた造語。「映画館で映画を観ているような気分になってほしい」というコレサワの思いが込められた「ライブ×映像」のショー形態。今回のライブはワンマンでは自身過去最大規模の会場。その模様を以下にレポートする。【取材=桂泉晴名】

4人のかっこいい女子バンドを率いて

コレサワ(撮影=小坂茂雄)

 白い衣装で統一されたサポートメンバー、ひぐちけい(G)、なかむらしょーこ(B)、U(Dr)、藤澤有沙(Key)がステージに現れて、最後にコレサワが真っ赤な衣装でギターを抱えて登場。「コレシアター」のコンセプト通り、映画館の上映開始を告げる開演ブザーが鳴る。「どうもコレサワです」とあいさつし、4月4日にコレサワのキャラクター・れ子ちゃんとコントロールベアが合体したぬいぐるみにおまけCDとして付けられた楽曲「君とぬいぐるみ」を伸びやかに歌う。

 満員のフロアを見て「なんか泣きそうになっちゃった。人がいっぱいいて」と冒頭からうれしい気持ちを素直に表すコレサワ。「じゃあ、わたしの弟の歌を聴いてください」と紹介されたナンバーは「お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな」。実家で離れて暮らす弟との関係が題材になっている曲だ。お互い煙たいような態度を取ってしまうけれど実は心の底でつながっているという、姉弟の微妙な距離感が描かれている。

 このナンバーを歌いながら、コレサワはバスケットに詰め込まれた「れ子ちゃん×コントロールベア」コラボぬいぐるみをフロアにポンポンと投げていった。オーディエンスの目をじっくり見つめて、コミュニケーションを取る。いくつものぬいぐるみを投げ込んだため、「めっちゃ、太っ腹じゃない?」と苦笑し「しかもサイン入りやねんで。パンツに書いてんねん」と告げるとオーディエンスも大喜びする。

 美女揃いだけれど、中身は男前なバンドメンバーを紹介。4人の突き抜けた演奏を背に受け、それまでの和やかな雰囲気から一変、3曲目の「バックアップ」は一気にダイナミックに加速していく。「ギター! けいちゃん!」とコレサワが紹介し、ひぐちけいは濃厚なギターソロを聴かせた。続く「トーキョー」では「ヘイヘイ!」とオーディエンスと一体となって叫ぶ。

フロアいっぱいのタオルに大興奮

 「超、久しぶりの曲をやります」と宣言してインディーズのEP『君のバンド』に収録されている「わんちゃん」に。家具量販店で購入したという犬のぬいぐるみを抱えながら、「もうあなたはあの人のもの」という切ない心情を伝えてくる。

 そしてグッズのタオルを手にし、過去にお客として参加したライブでトラウマがあって、立って観るライブに怖くて行けなかったことを回想。意外にもタオルをフリフリするライブをあまり見たことなかった、と告白。しかし先日タオルを回している現場を見てコレサワは「ウチもやりたい!」と思い、「死ぬこと以外かすり傷」で実行することに。フロアに高速で回るタオルを見て「すごーい!」と大喜び。終わった後に「めっちゃ涼しかった!」と新鮮な感想を語った。さらに新しい曲「いたいいたい」を披露。女の子の切ない気持ちを綴った歌詞だが、鋭くタイトなバンドの演奏が光る、疾走感のあるロックナンバーだった。

 しっとり聴かせたのは「笑えよ乙女」。基本的に女の子を応援する曲が多いコレサワだが、「笑えよ乙女」はそれがストレートに込められている。途中から入るコーラスも気持ちを後押ししているようで、「ライブのお客さんは昔は男性が多かったけれど、最近は女の子のお客さんが増えている」というのもうなずける。そしてこの曲には、コレサワの歌声の魅力がつまっていた。声を張り上げるところだけではなく、ピアニッシモのささやく音もしっかり聴かせるところが見事。さらにほかの曲でもそうなのだが、コレサワは最後の一音まで大切に置きにいっていて、それがコレサワの音楽が持つやさしさや温かさの源泉のひとつになっているように感じられた。

ツアーファイナルはマイナビBLITZ赤坂

コレサワ(撮影=小坂茂雄)

 「笑えよ乙女」でオーディエンスをぐっと引きこんだ直後、「コレサワのイントロクイズー! …の前に、何言っているかなクイズ!」とライブの空気をまたガラリと変えるコレサワ。コレサワが「×××××!」と早口で言った内容を観客が当てるというクイズ。和やな雰囲気のもとで届けられ、そして本題の「何の曲かを当てる」のイントロクイズに。キーボードの藤澤有沙が一音を鳴らしただけで、フロアから「洗濯物!」と回答が飛び出し、一発で正解にいきついた。「じゃあ、久しぶりの『洗濯物』。聴いてください」。

 曲が終わると、れ子ちゃんが自分の服を脱いで洗濯し、あたらしい衣装になる、という映像が流れる。それに合わせて、本物のコレサワも「洗濯してきました!」と新しいTシャツ、スカート姿で再び登場。

 「一緒に歌ってください」と促したのは、<あたしの好きなバンドはなぜかちっともちっとも売れない>という印象的な詞の「君のバンド」へ。この曲には<あたしの好きな音楽はちゃんと目を見て歌ってくれる>というフレーズがあるのだが、ライブ中にオーディエンスと密接にコミュニケーションをとるコレサワの姿と重なる。

 ライブも後半、クライマックスに向かう。別れた人への後悔の気持ちを描いた「たばこ」は、多くの人の共感を呼び、先日動画再生回数が1000万回を超えたという。アコギとキーボードの音色にコレサワのため息のようなボーカルが乗って、オーディエンスは息をひそめてステージに見入っていた。

 「たばこ」で涙した心を浮上させるのは、「失恋ソングを歌ったあとに」。バックにカラオケの映像を流して、オーディエンスとともに歌った。1stアルバム「コレカラー」のオープニングを飾った「SSW」では、さきほどの「死ぬこと以外かすり傷」に続いてタオルを回す。

 本編ラストは「好きな人の白いシャツに染みをつけたい」という「君とインドカレー」。「今日はみんなが帰り道に、コレサワに染みつけられたな、と思ってもらえるようなライブにしたかったんですけれど…染み、つけられましたかね?」と問うと、オーディエンスから歓声が上がる。途中<「バターチキンが一番甘いですよ」>とセリフの入るところでは「今日のインド人役はウチボリシンぺです!」と叫び、コレサワのすべてのアートワークを手がけるイラストレーター・ウチボリシンペにスポットライトが当たった。

 会場で大きなアンコールの声が起こる中、中央のスクリーンで新たな告知が行われる。そこでは2018年9月19日に待望の2ndアルバム「コレでしょ」をリリース。ワンマンツアー開催、ファイナル公演が12月23日マイナビBLITZ赤坂で行われることが発表された。

 最後はとびっきりキュートな「あたしを彼女にしたいなら」を歌唱。1曲1曲全力投球だったコレサワは、「ちょっとやりすぎたわ」「満腹にさせちゃったね」と充実したライブを振り返った。

 自分のやりたい音楽をつきつめながら、それをとても楽しく軽やかに手掛けるコレサワ。そんなコレサワが作り出す世界は、これから確実に広がるに違いないとこのライブで感じさせた。