女性ボーカリストの暁月凛(あかつき・りん)が約1年ぶりにシングル「Early Days/Million Memories」を16日にリリースする。15年開催の大型オーディションでグランプリを獲得。翌年に『金田一少年の事件簿R』エンディングテーマ「決意の翼」でデビューした今活躍が期待されている逸材だ。そんな彼女の歌に「夢」という言葉が多く、歌詞には「希望」と「闇」が同居するリアルさに惹かれるという。過去は闇に意識が行きがちだった彼女は今、希望にも向き合え、シンガーとして「人の心と繋がりあう」を追及する。シングル全体で心の本質を立体的に描いたという今作を通じて伝えたい思いとは。【取材=長澤智典】

希望と闇があってリアルがある

「Early Days/Million Memories」通常盤

――まずは、最新シングル「Early Days」を受けとったときの印象から教えてください。

 希望と未来を歌う曲なのに、ちょうどいい感じに闇要素が入ってて、わたしはすごく好きです。

――凛さんは、歌詞に闇を覚えるほうが好きなんですか?

 そうですね。光だけじゃ惹かれないです。もちろん、光のみでも楽曲は成り立つと思うんですけど、人生ってそんなに甘いものではないと思うので。「絶対に夢は叶う」とか「希望は絶対に実る」「努力はかならず実を結ぶ」という気持ちもわかりますけど、何事もそんな簡単に上手くいくわけがない。闇要素があったほうが、わたしの中ではリアルさを感じますし、心に刺さります。

 でも、闇だけだったら鬱になっちゃいます(笑)。もちろん、光だけの人生を歩んでいらっしゃる方もいると思います。でも、わたしの人生は光だけではなかったので。だからこそ、闇の部分もあって初めて惹かれるんだと思います。

――世の中の大半の人たちが、闇要素と戦いながら毎日を生きていますからね。

 そうですよね。人間って究極の幸せにはなれない生き物だと思うんです。今は平和な時代で、当たり前にご飯も食べられてるし、こうやって仕事も出来ています。戦争などに巻き込まれている人たちからしたら、私たちのような環境ってとても幸せだと思うんです。そうした社会のなかでも心が満たされていなかったり、上手くいかずに思い悩むことだってあるわけじゃないですか。人間って、光だけでも。もちろん、闇だけでも生きていけない生き物じゃないかなとわたしは思います。

――歌詞でも冒頭からいろいろ考えさせる想いを投げかけてきます。

 成長するうえで必要な気持ちを歌にしています。一つ前へ進むということは、今の現実を踏まえたその先へ進むこと。現状を変えてでも前へ進んでいきたい気持ちこそが、未来を手に入れることだとわたしは思います。それと引き換えに、ときには過去を捨ててしまうことへ繋がる場合だってある。それでも未来を選ぶのかどうかは、その人次第だと思います。

――歌詞に<夢から醒め僕らは大人になる>とあります。まさに、そうだなと感じました。

 わたしの年代での夢を語らせて頂くのであれば、今就活をしている方がとても多いです。そういう人たちって、今は人生の中、漠然とした夢から醒める段階の時期に来ているのかなと思います。もちろん、この先涙を流す経験だってあるだろうし、迷って立ち止まることもあるんだろうけど。それでも、現実を見据えたうえで夢を追いかける心があればしっかり前へ進んでいける。そういう気持ちで、わたしはこの言葉を捉えています。

――その世代って、まだ漠然とした夢を追い求め続けたい人たちも多いんじゃない?

 そういう方もいらっしゃいますし、現実をシビアに捉えている人もいます。夢という言葉自体が、わたしはすごく奥深いと思うんですね。夢ってポジティブに捉えれば「希望」や「将来」という意味合いがあるんですけど、同時に「幻」だったり「儚いもの」や「非現実」というネガティブな一面も持ってたりするじゃないですか。

 「夢から醒める」という言葉を、わたしは「非現実的な夢から醒めることで、真実の夢、真実の未来へ近づけること」と捉えています。夢って漠然と思い描くものではなく、現実的な段取りをつけ、頑張って実現化させていくもの。非現実な考え方を捨てないと、本当の意味で前へは進めません。だからわたしは、「夢から醒めて大人になること」は絶対にネガティブなことじゃない。むしろ、ポジティブな気持ちなんだと捉えています。

――現実を見据えたうえで、そこから見えてくる新しい夢だってありますからね。

 そうなんです。現実的な夢を見るのも素敵だなとわたしは思います。