4人組ロックバンドのRhythmic Toy Worldが4月25日にアルバム『SHOT』でメジャーデビューした。2009年に結成。14年にフランスで開催された『Japan Expo 2014』に出演すると、翌年には『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015』にも出演を果たす。これまでに菓子メーカーのCMソングや、テレビ東京系『ゴッドタン』のエンディングテーマなどにも起用され、なかでも「あの日見た青空はきっと今日に続いている」は、メンバーが出演した映画『何者』の劇中歌に使用された。メジャーデビュー作であり通算4枚目のアルバムとなる本作『SHOT』は、アニメ『弱虫ペダルGLORY LINE』オープニングテーマ「僕の声」も収録。これまでの集大成であり新たな一歩を踏み出した作品ともいえる。メジャーに対する心境変化はすでに2年前から起きていたという彼ら。どのような変化があったのか。そしてバンドとしての理想像とは。内田直孝とギターの岸明平に話を聞いた。【取材・撮影=榑林史章】

みんなの夢を乗せて飛ぶ宇宙船

Rhythmic Toy World

──これまでも数多く作品をリリースしていて、今回がメジャーデビューになりますが、気持ちの違いは?

内田直孝 違いはないと言うかあると言うか……。と言うのも、2年前に「メジャーデビューしませんか?」というお話をいただいたんですけど、その時は「自分たちがメジャーで何をできるのか? メジャーに行っただけで満足して終わるんじゃないか?」と思ったので、お断りしたんです。それからずっと現在まで、「次に信頼できる人とメジャーのフィールドで戦う時に、胸を張っていられる自分たちになっていよう」という気持ちで活動してきました。だから、心境の変化があったとすれば、2年前のその時だったと思います。もちろん自分たちに対して、「もっとこういうことができるんじゃないか」みたいな期待感は増しましたけど、過大なプレッシャーはなかったので、それはすごく良かったです。

──気持ちの準備ができていたんですね。作品に対しても、考え方とか変わりは無かったですか?

内田直孝 今までの自分たちの楽曲を振り返って、ライブだったり音源だったりという部分で、長く愛してもらっている楽曲は何だろう? と考えて、曲をピックアップして。それらを聴き返して気づいたのは、メロディ先行で作った曲が多いということです。まずはメロディがあって、そこに歌詞やアレンジが加えられていった曲が、僕らのライブではマストチューンになっている場合が多くて。それで、メロディ先行で作っていこうということになって。僕がひたすら弾き語りで、曲の卵となるようなデモをたくさん作って。それをメンバーに聴いてもらって、一番グッとくるメロディを選んでいって。そこにギターやベースなどのバンドアレンジを加えて、もう一段階上のデモを作って。それをプリプロで、またさらにブラッシュアップしていきました。

岸明平 前作『TALENT』がセルフプロデュースで作った、自分たちのやりたいことを詰め込んだ作品だったんです。その前に作った『HEY!』は、ライブでお客さんに楽しんでもらうことを第一に作ったアルバムでした。そういう2つの方向性で作った経験をした後での今作だったので、今回の『SHOT』には、自分たちの目線とお客さんの目線が、すごくいいバランスで詰め込むことができました。

内田直孝 1stアルバム『BUFFeT』は、演奏やアレンジの格好良さを追求して、どこまで自分たちらしさを失わずコアな曲を作れるか、限界点を探ったアルバム。2ndは、ライブでお客さんがひたすらノッて歌って楽しめるものを目指した。そして3rdは、お客さんも楽しいけど、まず自分たちが楽しい楽曲に目を向けた。そういう実験を繰り返して全方位を試した上で、それぞれのいいところを切り取って作ったのが、この作品ですね。

──変な意味ではないんですけど、“普通にいい作品”ですね。普遍性がある作品という印象です。

内田直孝 それがいいのかなと思っています。真ん中はなくて、いいか悪いか。絵を観たりご飯を食べたりしたときに、パッと美味しいとかいいとか感じるのと同じように、この作品をパッと聴いて「いいな」と思ってもらえる作品になればと思って作りました。それだけに、聴きやすさがあって、「何かいい!」と気持ちが振れてくれる作品が作れたんじゃないかと思います。

──タイトルの『SHOT』には、いろいろな意味を込めたとのことで。

内田直孝 みんなの心や音楽シーンを「撃ち抜く」という強い気持ちも込めつつ、ロケットや宇宙船の打ち上げを意味する言葉でもあります。僕らは「みんなの夢を乗せて飛ぶ宇宙船」だという気持ちでやってきて、その言葉を作品として形にしたいと思って作ったアルバムです。それでジャケットのイラストは、おもちゃ箱のようなイメージで、宇宙船が描かれています。

──そういう宇宙船とかバンド名に「TOY」と付いているところとか、どこか少年っぽさがあるのは音楽性とも通じますね。

岸明平 今作には「ASOBOYA」という曲もありますし、子どもが遊ぶような感覚が強いバンドです。ライブも、少年の心で楽しむみたいなところがあって、お客さんもそれを一緒に楽しんでくれている感じですね。

内田直孝 僕らのライブは、気構えずに気軽な気持ちで来てほしいんです。友だちがライブをやってるから観にいくみたいな。なるべく、お兄ちゃんとかアニキみたいな近い存在で居たいし。困ったことがあったら何でも相談してくれていいよ! くらいのスタンスです。実際にSNSで相談に乗ることもあるし。自分の人間性とステージでの自分は、なるべく同じでありたくて、それをスタイルとして極めていきたいです。

──親しみやすさですね。

岸明平 お客さんも本当にフレンドリーです。ベースの須藤憲太郎は滑舌が悪くて、MCでしゃべっても何を話しているのかよくわからないくらいですけど、それがもうネタになってるみたいな感じで。けっこう大事なところで何を言ってるかわからないから、お客さんはみんなハテナマークを浮かべて、笑いながらモッシュしてくれています(笑)。

内田直孝 ファニーっていうか、存在にゆるキャラ感があります。見た目もクマさんみたいだし(笑)。

記事タグ