4人組ロックバンドのLAMP IN TERRENが4月21日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで全国ワンマンツアー『ONE MAN TOUR 2018「MARCH」』のファイナル公演をおこなった。4月7日の福岡・DRUM SONを皮切りに全国4カ所をおこなうというもの。松本大(Vo&Gt)の声帯ポリープの切除手術を控える中、このライブをもって一旦活動休止をする。ライブは新曲「Dreams」、「New Clothes」を含む全18曲を熱演。松本は「帰ってくる日を決めました」と8月19日に、東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『ARCH』を開催することを発表した。【取材=村上順一】

全身全霊で届けるということに変わりはない

(撮影=木村篤史)

 この日をもって一旦活動休止となるバンドの勇士をこの目と耳で体感しようと、多くのオーディエンスで賑わうフロア。開演時刻を少々過ぎたところで会場の明かりがゆっくりと落ちると、上手に設置されたキーボードに松本の姿。SEも何もない静寂のなか、松本が奏でるピアノの音色だけが響き渡る。始まったのは「花と詩人」。いつもとは違うある意味、劇的な幕開けだった。丁寧に歌い上げる松本の横をメンバーが一人ずつ合流し、楽器が重なり徐々にアンサンブルとなっていくドラマチックな展開に、オーディエンスも静かにそのサウンドに包まれるかのように聴き入っていた。

 「涙星群の夜」に続いて、「最高の1日にしようぜ!」と高らかに松本が叫び「ランデヴー」に突入したのは良かったが、松本のギターの音が出ないというハプニング。ここで一旦音を止めて仕切りなおすということとなったが、これがライブの緊張感をほぐすかのように更なる盛り上がりへ繋が流という好転劇を見せた。

 「今日は色々ありますが、今の自分を全身全霊で届けるということに変わりはないので、全部受け止めて帰って下さい」と想いをぶつけ始まったのは新曲「Dreams」。松本はキーボードを演奏していたかと思いきや、ハンドマイクでステージ中央に戻り歌唱するというアクティブな一面も垣間見れるなか、光を求め嵐の中を突き進んでいくバンドの意志の強さが感じられた演奏だった。

 中原健仁(Ba)のクールで大気を震わすような低音が印象的だった「at(liberty)」では、まさに自由への渇望を表現するかのようなサウンドで聴くものの感情を震わせ、続いての「innocence」では、運命を受け入れ力強く邁進するバンドの姿がそこにはあった。

 松本は「ポリープが発覚して調子が良い日も悪い日もあったけど、一貫して自分が今伝えたい気持ちは変わりがなかったです。伝わらない時もあるけど、今はキャッチボールが出来ている感じがあって嬉しい。僕はいつでも一対一で歌っていたい」とファンとの距離をグっと引き寄せ、その話に続いて届けたのは「pellucid」。今回松本が歌いたいと思い、投入された楽曲の一つだという。MCで「会話をするように歌っていたい」と話していたように、それを体現するかのような歌を我々に聴かせてくれた。そして、川口大喜(Dr)の軽快なリズムから始まった「オフコース」。オーディエンスもそのリズムに合わせクラップで楽曲に参加し一体感を見せた。

 ここで、リクエストコーナーへ。訪れたオーディエンスのなかから無作為に選ばれた人が、好きな楽曲をリクエストできるというコーナーだ。中原が選んだオーディエンスからのリクエストは1stミニアルバム『PORTAL HEART』収録の「雨中のきらめき」。オーディエンスも久しぶりのナンバーにじっくりと耳を傾けていた。続いて、「喋ることを決めて来たけど気が変わった。歌で聴いてください」と代表曲「緑閃光」を届ける。強い光を放つかのように、この4人である意味を感じさせた好演。そして、このツアータイトルに込められた想いに一番接近していたと感じた「multiverse」。壮大なコーラスを会場全体でシンガロング。ライブならではの臨場感を感じながら、その声を浴びギターソロを笑顔で奏でる大屋真太郎(Gt)の姿も印象的だった。

帰ってくる日を決めました

(撮影=木村篤史)

 ライブは後半戦へ突入。「今日“イチ”の盛り上がりを見せて下さい!」と投げかけ、躍動するダンサブルなビートが体を弾ませる「地球儀」を投下。ライブでは欠かせない曲となった同曲は松本の解放されたパフォーマンスにも注目が集まる1曲だ。この日はドラムスティックを指揮棒の代わりにしたり、フロアに降りオーディエンスに囲まれるなか熱唱。松本は以前、小媒体のインタビューで、オーディエンスのそばに行って歌うことで、曲が主役になる瞬間があると話してくれたが、まさに「地球儀」という曲の存在がより一層際立つ瞬間だった。

 「活動を休止する実感はない…」と話す松本。そして、ここでまさかの発言、「帰ってくる日を決めました」と8月19日に日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『ARCH』を開催することを発表。まさかのサプライズにフロアからは歓喜の声が飛び交った。「全てを持ってこの世界で生きていこうと思います。今日で活動休止ではない、ここから始まりです」と宣言し、松本の雄叫びが響き渡るなか「New Clothes」を披露。覚悟を感じさせる迫真のパフォーマンス、その想いを受け止めるオーディエンスと全てが一体となった空間を作り上げ本編を終了した。

 アンコールの声に松本が一人ステージに。「今の自分を余すことなくみんなと共有して次に行きたかった、自分もお別れの準備とか必要だったので…」と、すぐに休止ではなくワンマンツアーまでおこなった旨を説明。そして、アコースティックギターによる弾き語りで「メイ」を届ける。ラストの歌詞をアカペラで<この声が届いた 今日からまた手に入れてゆく ただひとつの僕らだけの証>と変え、張り裂けそうな歌声を響かせた。

 3人も再びステージに登場し、「離れていても、会えなくても僕らはずっと生きているので…この曲で出発にします! またね」と、ラストは「L-R」を披露。歌詞を“僕”から“僕ら”に変え、バンドの船出を見送るかのように力強くまっすぐ天に向かって拳を掲げるオーディエンスとメンバー。絆を感じさせた一際エモーショナルな時間を共有し、『ONE MAN TOUR 2018「MARCH」』は大団円を迎えた。約4カ月後に開催される野音での復活ワンマンへの期待感を残し、LAMP IN TERRENはステージを後にした。野音でのワンマンライブの先行予約が4月28日からスタート、今回披露した「New Clothes / Dreams」の通信販売もオフィシャルサイトで開始した。