『スカパー!音楽祭2018』が3月14日生放送され、合計33組のアーティスィストが5時間にわたり52曲をフルコーラスで届けた。司会はベッキーとハマ・オカモト(OKAMOTO'S)。音楽総監督は音楽プロデューサー・アレンジャーの本間昭光氏が務めた。この日のもようは21日午後4時から同9時まで再放送される。それに先立ち、当日の模様を約1万2000字にわたって出演者個別にレポートする。【木村陽仁、村上順一】

八代亜紀

▽八代亜紀(舟唄、帰ってくれたら嬉しいわ)

 トップバッターはデビュー47年を迎える八代亜紀。79年にリリースされた代表曲のひとつ「舟歌」。近年はジャズのアルバムもリリースし、幅広いジャンルで活躍する八代。表情でも表現する八代は遠くを見つめる眼差しが、歌への感情をより強く打ち出していた。安定感のある低音と独特な“こぶし"は情景を映し出し、そのキャリアから放たれる至高のステージ。歌唱後は司会を務めるベッキーとハマ・オカモトとのトークでは「若者に届けたい」とコメント。2度目の歌唱「帰ってくれたら嬉しいわ」では先ほどとは打って変わって金色の衣装で登場した八代。昨年リリースされたジャズアルバム『夜のつづき』から「帰ってくれたら嬉しいわ」を届ける。ジャズで多くのスタンダードナンバーを残した名作曲家出あるコール・ポーター氏の楽曲を、八代は「舟歌」と違ったスイングした心地よいタイム感で紡ぐ。トランペットやサックスのソロでは優雅に踊る八代。本間昭光の憂いを帯びたピアノに、芳醇あ歌声でスタジオをジャズクラブに変えてしまった。八代がナイトクラブで歌っていた頃がフィードバックしてくるようだった。

きゃりー

▽きゃりーぱみゅぱみゅ(原宿いやほい、ゆめのはじまりんりん)

 照明が落とされたスタジオ。下からほのかに赤い色が深く照らしている。背景の折々とあるセットは光と影のコントラスを作り、曲の世界観と相まってどこか都心の街並みのように見える。歌い始めとともにスポットがきゃりーを照らす。4人のキャリーダンサーは着物を思わせる衣装。そのなかできゃりーは白色と薄緑色を基調とした和風ファッションで、ステップ軽やかにそして華やかに歌い上げていった。司会のベッキーから「いやほい!と言いたくなる」と言われたキャリーは「コールが入っていてフェスだと盛り上がると」紹介。ライブでこだわっている点として「一体感を大事にしていて」として「歌を披露する前にアカペラでレクチャーしてから歌ったり。それまでステージとしてやっていたんですけど、おととしあたりから」と語った。また、間を挟んで披露された「ゆめのはじまりんりん」では先ほどとは異なる世界観。袴(はかま)姿で登場したきゃりーは、この3月・4月にぴったりな、別れと新生活をテーマにした同曲を届けた。

ナオト

▽ナオト・インティライミ(Sunday、いつかきっと)

 昨年、約半年をかけてアフリカ大陸など世界の旅に出ていたナオト。世界旅で取り戻した「純粋に音楽を楽しむ気持ち」。帰国後に生まれたのがこの曲だ。軽快なリズムのうえにのるメロディは爽やかで、大人の色気も感じさせる。本間バンドに加え、コーラス2人を付けた編成で、歌い届けたナオトは「(世界旅から)帰ってきて「さあ作るぞ」という前に出来ていた曲です。パーティソングだけど、大人のパーティソングとして作りました」と語った。間を挟んで「いつかきっと」を披露。ナオトの真骨頂である恋の始まりを切り取ったラブソング。<いつかきっと>というナオトの歌声から入るこの歌。メロディアスなナンバー。アコギに持ち替えたナオト。2015年に制作したナンバー。旅から帰ってきてこの曲とも向き合ったナオト。美しい旋律が温かみを生ませる。ストリングの音も感傷的に響く。これまでよりも更に優しく歌っている感じがする。

岸谷香

▽岸谷香(ミラーボール、Unlocked)

 Yuko(G, Cho/FLiP、LAZYgunsBRISKY)、HALNA(B, Cho / ex. HaKU)、Yuumi(Dr, Cho / FLiP)によるバンド「Unlock the girls」で登場した岸谷。自身もエレキギターを引っ提げ、女子感たっぷりなロックナンバーを届けていく。バンドを組むのは3組という岸谷は網タイツにノースリーブのイカしたファッション。まずは、トライセラトップス・和田唱が作曲した「ミラーボール」でスタジオをダンスムードに仕上げていく。ルーズなギターソロも見せる。そのまま自身作曲の「Unlocked」を披露。息を切らせるほどのパフォーマンスをみせた岸谷は今回、エフェクターにワウペダルを追加して挑んだことを明かした。司会のハマ・オカモトからはワウペダルの豆知識も飛び出した。

=LOVE

▽=LOVE(僕らの制服クリスマス)

 指原莉乃をプロデューサーに迎えた新しいアイドル=LOVE(通称・イコラブ)は「僕らの制服クリスマス」を披露。ピンクのグレンチェックのマフラーを身につけたメンバーによるフレッシュなパフォーマンス。マフラーを使用した振付はキュートにステージを華やかに彩った。この時期にクリスマスを感じさせる温もりある笑顔で癒しの空間を作った。トークでは「夏でもこの衣装で行きます」と宣言。しかし、指原から3rdシングルのことはタブーとLINEで念をおされていたようで、司会を務める2人が焦る場面も。

CHARAMEL

▽CHARAMEL(CHARAMEL)

 ふなっしー率いるゆるキャラ・へヴィメタルバンド。ギターはアックマ、ベースはカパル、ドラムはにゃんごすたーという布陣だ。冒頭、遊園地のようなメロディとふなっしーの可愛らしい声が響き渡る。一転、空を切り裂くようにふなっしーがシャウトする。それを合図にサウンドは激しいへヴィメタルサウンドに。ふなっしーはそこでスクリームをぶつける。全英詞。マイクを振り回し、熱く歌う。最後に手を広げて声を張り上げたふなっしーは全てを出し切ったように、その場に倒れた。ベッキーに「自由すぎないかな。マイクが明後日の方向を向いてた」と指摘されるも「やりたいことをやるのがこの番組の趣旨。マイクはインストールされているから大丈夫」と平然。バンド結成のきっかけはにゃんごすたーのドラムさばきとも語っていた。

UNIONE

▽UNIONE(ロンディ)

 16年7月にメジャーデビューした5人組ボーカルグループのUNIONE(ユニオネ)が登場。披露したのは昨年リリースされた彼ら初のバラードナンバー「ロンディ」。「ロンディ」とは“Long Distance Love“の略語で遠距離恋愛を意味する。まばゆい光が後方から照らすなか、しっとりと感情を振るわせ歌い紡ぐ5人。切ないラブソングは5人の個性を活かし表現力豊かに展開。これからの音楽シーンを担う存在になるだろうUNIONEの歌はカメラの先の視聴者にも届いたのではないだろうか。

つばきファクトリー

▽つばきファクトリー(春恋歌)

 歌の世界観をそのまま表現するようにパステルカラーの衣装(ミニスカート、肩だしブラウス)身を包んだメンバー。キレキレの息の合ったパフォーマンスを見せていく。華やかに揺れるスカート。「ですます」調の歌詞がドキッとさせる。<雪解けの新世界 恋を始めましょう。>爽やかな風を吹き込む。「鶯」「シロツメクサ」と春らしい言葉が歌の生還を華やかにさせる。「新生活を始める方にも聴いて欲しい」とも。

PUFFY

▽PUFFY(ジェット警察、パフィピポ山)

 続いては日本を代表する女性ボーカルデュオ、ユニットPUFFYの2人が登場。98年リリースの2ndアルバム『JET CD』のオープニングを飾る「ジェット警察」を熱演。玉田豊夢(Dr)によるアグレッシブなドラムが印象的なイントロから、PUFFYの独特な空気感で、オリジナリティのグルーヴ感でスタジオを満たす。その存在感はキャリア22年で培った圧巻のパフォーマンス。2曲目はハマ・オカモトがベースで参加した15年にリリースされた34枚目のシングル「パフィピポ山」を披露。ハマのダンス系では定番の、オクターブを使用したフレーズで踊れるビートを生成。問答無用に畳み掛ける高速ビートにアタック感のある歌で無敵に突っ走っていく。ハマと目があって嫌だったと大貫亜美が話すと、おじいちゃんに見守られているようだったと吉村由美の言葉でスタジオは笑いに包まれた。

Creepy Nuts

▽Creepy Nuts(ぬえの鳴く夜は)

 MCバトル日本一のラッパーR-指定とターンテーブリストであり、トラックメイカーとして活躍するDJ 松永による1MC1DJユニットのCreepy Nuts。畳み掛けるリリックで扇情させていく「ぬえの鳴く夜は」はロックサウンドをベースに鮮烈な言葉を浴びせるナンバー。エネルギッシュなパフォーマンス後のトークでは、DJ 松永はリハーサルでパソコンを忘れるというハプニングもあったと話し、R-指定はリハ後に一旦帰宅し、寝坊をして入り時間に遅れるというエピソードも。音楽だけでなく、そのユニークなキャラクターでもスタジオの笑いを誘った。

Bitter&Sweet

▽Bitter&Sweet(幸せになりたい。)

 田埼あさひと長谷川萌美によるユニット。歌の世界へと手を差し伸べ導くように2人の優しい歌声がゆったりと流れる。透明感あふれる歌声、美しいハーモニーがスタジオを包む。この曲の誕生秘話として「“ららら”で歌いたいメロディを作って、繋げたのかがこの曲です」とも。

モーニング娘。‘18

▽モーニング娘。‘18(花が咲く 太陽浴びて、五線譜のたすき)

 シンセの音が印象的に導入する。白一色の衣装。クールな表情でビターな色気を出す。静かなサウンドのなかでダイナミックなダンス。白い衣装はライトによって赤く染まる。一糸乱れぬダンスパフォーマンスは華やかで優雅でまるで白鳥のよう。その反面、幼さの残る彼女達の表情は安心感を与える。様々なコントラストをもって表現して魅了した。その後、再び登場したモーニング娘。'18は「五線譜のたすき」を披露。ストリングスサウンドが広がりを与え、彼女たちもそのサウンドに包まれるなか、ハマ・オカモトとのコラボレーションで、しっとりと叙情的に歌い上げる。この曲はモーニング娘。が「愛の種」でメジャーデビューが決定した11月30日にリリースされ、それを継承する意志が込められた重要な1曲。丁寧に情感を込めた歌声で魅了した。4小節に一回転調するという難易度の高さの楽曲で、それをしっかりと歌い上げる彼女たちに感心する本間昭光。

はちみつロケット

▽はちみつロケット(はちみつロケット~黄金の七人~)

 80年代の音楽的要素を感じさせるナンバーで、フレッシュに歌い上げる。高音の歌声がより気持ちを高ぶらせる。元気ハツラツのロケットのように勢よく飛び出した7人。どんどん黄色に染め上げていく。生放送で披露するのはこの日が初めて。播磨怜奈は「ベッキーさんお綺麗ですね」と“すり寄る”も、ベッキーには「嘘つけ!」とツッコミ。森青葉は「緊張したんですけどね。楽しかったです」とも。

シナリオアート

▽シナリオアート(サヨナラムーンタウン、ワンダーボックスII)

 関西出身、男女ツインボーカル3ピースバンドのシナリオアートが披露したのは、昨年9月にリリースした儚さと情熱とが交差する「サヨナラムーンタウン」。男女ツインボーカルでスリリングかつカラフルに聴かせ、時折見せる感情を爆発させたハットリクミコ(Vo、Dr)のドラムは、聴くものを釘付けにする迫真のプレー。情景を映し出すドラマチックなナンバーでその存在をアピールした。BEGINに続き、再びシナリオアートが登場し、青く染まるステージのなか、BEGINの「ソウセイ」を引き継ぐように始まった「ワンダーボックスII 」。グロッケンなど様々な楽器を使用した、<レッツゴー、パレード!>とハットリの元気一杯の歌声と本間バンド総動員の圧倒的な演奏。ハヤシコウスケ(Vo、Gt)は特殊なギターのチューニングで、その世界観を作り出し、シナリオアートのオリジナリティを見せた。

田口 淳之介

▽田口 淳之介(DIMENSION、White Night White Lies)

 薄暗くスタジオのなかで、感情をさらけだすようにそのなかでダイナミックに激しく踊る。4人のダンサーが加わる。スペイシーで、近未来的な部分の要素「Immortal sound(イモータルサウンド)」を入れ込んだ楽曲。田口は以前「自分がいろいろな困難な壁を破って次元を超えていきたい、という思いがあったので、その決意をリリックに込めました」と語っていた。また、MVでは、「光と影をダンスで表現したい」と述べていたが、この日は黒の基調とした衣装に走るシルバーの金具が雨のように、ライトによって光輝いていた。2曲目は「White Night White Lies」。先ほどの「DIMENSION」で見せた黒の世界とは対照的に白の一色の衣装。本間バンドのサウンドをバックに、ゆっくりとそして力強く歌い上げていく。時折膝を曲げて大きく歌い上げ、目で視聴者を抱く。その後のトークでは、ライブの構成や振付も自身で担当していることを明かしながら、最初のツアーがワールドツアーという話題に。「台北も含むワールドツアーを終えました。自分で一から作って、自分で良くできたと満足しています」とも。またダンサーに10代が多いことについて「結果的に10代。若い子たちに、こういう場を与えて成長していく姿をみるのは嬉しい」。今後については「演技の方とかも挑戦していきたい。ドラマ仕立てのMVを作っていきたい」と語った。

ゆず

▽ゆず(愛こそ、タッタ)

 20周年を迎え、昨年末紅白に大トリを務めたゆずが登場。1曲目は「愛こそ」。<愛こそ未来を変える>と希望と強い意志が感じられるナンバーを、2人の極上のハーモニーで聴かせる。民族音楽を彷彿とさせるアレンジ。「21年目を新たな気持ちで進んで行きたいと思います」と北川。続いては、軽快なリズムが心躍らせる「タッタ」を届ける。北川はアコギからタンバリンにチェンジし、2人のバックには同じタンバリンを持った多数のダンサーが楽曲を彩る。<たった一度の人生>新生活へのエール、ポジティブなエネルギーをスタジオに振りまいた。歌唱後のトークでは「昨年は感謝の一年だった、そのエネルギーを返して行きたい」と21年目の抱負を語った。

BEGIN

▽BEGIN(笑顔のまんま/ソウセイ)

 ゆったりとした入り口。夕日に染まるようなラインティング。沖縄のようなのどかな雰囲気で始まった。まずは「笑顔のまんま」はフジテレビ『27時間テレビ』で明石家さんまの発案で作った名曲。過去にBEGINのコンサートにさんまがゲスト出演して歌ったがことがあったが、フジテレビ以外の他局で歌うのは今回が初めて、貴重な歌唱となった。その後に続く「ソウセイ」は地元・オリオンビールの60周年CMソング。そのメロディはリズミカル。琉球太鼓や三線などの楽器がより華やかにさせている。比嘉栄昇は「沖縄にもラップみたいなものがあってね」と言って紹介した口説(くどぅち)も披露された。

Da-iCE

▽Da-iCE(恋ごころ、TOKYO MERRY GO ROUND)

 「恋ごころ」は、2016年にリリースされた10thシングル。4thシングル「もう一度だけ」以来のバラードで、失恋を歌った楽曲。切なく甘い恋心を歌うように消え入りそうな歌声でささやくように歌い導く。スタジオは薄暗いく青色に染められ、シャンデリアも薄く照らす。感情の高ぶりを揺れる拳で表現する。ドラマチックな終盤に向けて感情をあらわにするが、声は冷静。静かに燃えるようだ。「きょう良かった、素晴らしかった、魂こもってたよ」とMCが褒めると、工藤大輝は「エモーショナルに踊られるんで、そっちの方が感情が入られる」とも。一方、イヤモニに凝っている大野雄大は「汗かきで水没した」と笑顔。アイドルにこだわりがある工藤は「ハロプロが出ていて嬉しい」にニコリ。また、「TOKYO MERRY GO ROUND」では華やかなに吸うんだ。キレキレのダンスとポップなメロディは桜の花のように煌びやかだった。

KICK THE CAN CREW

▽KICK THE CAN CREW(千%)

 再始動したKICK THE CAN CREWが登場。昨年7月にリリースされた「千%」を披露。LITTLE 、MCU 、KREVAの3人によるヒップホップグループ。オシャレでソウルフルなバックトラックに前向きな言葉を紡いでいく3人。この3人でしか出すことができない説得力でスタジオを席巻。 14年振りに曲を出すにあたって、「熱いことを熱い気持ちのまま行こう」という想いを語るKREVA。その想いが存分に発揮されたパフォーマンスは唯一無二。オンリーワンのグルーヴ感で番組を彩った。

OKAMOTO'S

▽OKAMOTO'S(90'S TOKYO BOYS、NO MORE MUSIC)

 OKAMOTO'Sは昨年リリースされたアルバム『NO MORE MUSIC』から「90'sS TOKYO BOYS」を演奏。ストラトから放たれるソリッドなカッティングに、そこに乗るオカモト・ショウのアンニュイなボーカルスタイルアダルティなグルーヴで席巻。自身たちのことを歌ったナンバーはリアリティがあり、等身大の彼らを紡ぎ出す。感情の起伏を表すような楽曲の展開は、彼らそのものを表しているようだ。コウキによるブルージーでファンキーなギターソロ、レイジとハマの絶妙なコンビネーションによるビートは、バンドの楽しさを改めて感じさせてくれた。更に間を挟んでそのリード曲「NO MORE MUSIC」を披露。ショウは「音楽が配信で手に入る時代だからこそ言えるメッセージ。挑戦的なタイトルにしました」と同曲に込めた思いを述べた。