個性的なキャラクターで人気を集める、りゅうちぇるが2月、アーティスト「RYUCHELL」として楽曲「Hands up!! If you’re Awesome」でデビューした。なぜ、アーティスト活動を始めたのか。そのきっかけは討論番組で自身の生い立ちを告白したことだったことは前編で既報(RYUCHELL、なぜ歌手活動を始めたのか 動機となった生い立ち)の通りである。後編は、デビューソングへの想い、そしてこだわりについて。また、りゅうちぇるの妻でモデルのぺこが第一子を妊娠した。そのことによって考えもかわったという。アーティスト・RYUCHELLの顔をのぞきながら、その点についても話を聞いた。【取材=木村陽仁/撮影=片山 拓】

(歌手活動への動機となった想い、前編の一部から抜粋)

 討論番組に出たあたりから自分で詞を書くようになって、歌をやりたいというお話をして、1年くらい前から歌の話が動き出しました。音楽だと、MV(ミュージックビデオ)やファッション、メイクでも自分を表現ができる。バラエティよりも、3、4分の曲の中に自分の経験から得たメッセージと自分の好きな世界観を凝縮することができるということに魅力を感じて。

 学生時代に悩んでいたときに「前を向こう」と思えたのが、ミュージカルドラマの『GREE』で、歌って凄いパワーがあるなと。その歌詞だけを言葉で聞かされても心は動かなかった。「じゃあ僕が今からするべきことって歌かも」って思って1年前からそう決めて、それからボイトレ、ダンスレッスン、色んな人と打合せをして、よりデビュー曲にふさわしい曲を作り上げさせてもらいました。それがアーティストデビューに向けての流れです。

ダサくしてください

RYUCHELL

RYUCHELL

――現在は音楽の道を進んでいますが、どういった世界観を出したいですか?

 世界観、サウンドという部分では、僕は80年代から90年代の洋楽が大好きで、服もそうなんですけど。服と音楽って比例している気がして、洋楽の中でもアメリカの音楽が大好きなので、そこをちょっと意識して作りました。MVも90年代の要素多めで。「いまどきその振りはない」という振りばっかりなので、そういう部分ではカメラワークも意識して、「カッコ良く撮らないでください」「ダサく撮ってください」って口癖のように。「歌も、もっとダサくしてください。これカッコ良過ぎます」とか。MVも「これは2018年でも通用するMVなので、本当に昔にしてください。1995年発売のMVにしてください」って言ったのと、そこはこだわりました。

――「ダサくしてください」というのもなかなか言わないですよね。

 フフフ(笑)。僕のなかではそれが一番可愛いと思っているけど、伝わりやすいのが“ダサく”なので、僕はダサいと思ってないけど、あなたの思う“ダサい”が、たぶん私の思う“可愛い”だから、という風な伝え方ですよね。自分は超可愛いって思っているんですけど、みんなからしたら、若いときに見ていたものなので、僕が生まれる前のやつなんですけど、そういうのが新鮮で可愛いと思うので。だからやっぱり伝え方! 今回こうしたい、というのが頭の中ではできているのを伝えるのはこんなに難しいんだと。こだわっているからこそ、そういう部分は凄くありました。

「Hands up!! If you’re Awesome」

――この1年間、音楽を制作していく過程で自分の気持ちで変化した部分はありますか?

 ありますね。まず、歌にパワーをもらって前を向けた瞬間はこれまでの人生でたくさんあったので、みんなが新しい自分で明日を迎えるきっかけになるような歌を、やるからには届けたいと思っていたので。頭の中、心の中に描いていたものがみなさんのおかげでだんだん形になっていくのは、凄く楽しかったです。「自分こういう仕事好きかも」って本当に思えました。

 今回の歌はデビュー曲なので、もっともっと伝えたいことがある中で、まだ1%しか出せてないんです。だからただの1曲目なので。でも、ちゃんと良いスタートになる1曲になったと思います。バラエティとかだと緊張しないで、ずっと素で喋っているんですけど、歌だとイメージがどんどん出てきて、その風船で飛んでいってるイメージです。

――イメージをどうサウンドに落とし込んでいったのかという点も気になりますが、工夫したことは?

 大好きなアーティストの歌、MVの好きな部分の題材を送るんです。ニュアンスでもいいから、まずはわかってもらうという作業でした。お互い初めましてで、最初はタレントのりゅうちぇるのイメージがあるので、ぶっちゃけみんなは「こんな頑固なんだ、こんなにこだわっているんだ」と絶対思われたと思うんですよ(笑)。

 1曲目で凄くやる気があるので、自分がしたいことを全部伝えて、ちょっとでも違ったら「違う」と言って。出てみないと歌ってわからないじゃないですか? ちょっとタイプじゃないなという歌が出ちゃって、それでその歌を聴いて「これがりゅうちぇるなんだ」と判断される方が嫌だし悔しいと思うから、そういう部分では、人の意見というよりも自分らしく思う世界観を作ってみようということに、みんなが協力してくれたので、本当に自信満々な感じになれたと思います。

――聴く方を想像しながら作ったのでしょうか?

 普通に悩みもなく生きているとか、格好良い人でさえも実は個性を出せないとか、「どうやって個性的な服を着ていいのかわからない」とか、自分を表現できないとか、本当は表現したい自分がわかっているにも関わらずできないとか、色んなパターンがあって、そういう人を想像しながら歌詞を書かせてもらいました。世界観という部分では、僕と同世代の方だったら、生まれる前の世代のサウンドなので、新鮮だと思うんです。

 お母さん世代からしたら「懐かしい!」「ダサっ!」ってなっちゃうと思うんですけど。バブリーダンスが流行ったような「何だこれは?」という感じの。そういう新鮮さはあると思います。歌詞は僕が書いたことを英語にしてくれたり、いい感じに並べてくれた感じでした。ずっと2人で打合せもして。