歌手のBoAが4月4日、東京・Zepp Tokyoで、ライブツアー『BoA THE LIVE 2018 〜Unchained〜』のファイナル公演をおこなった。

 『BoA THE LIVE』は、2007年にスタートした“いい歌と演奏を届けるライブ”をテーマにした企画ライブ。今年は、3月15日のZepp Sapporoを皮切りに、5都市7公演の全国ツアーとして展開。ファイナルはここZepp Tokyoでの2Daysとして3日・4日に開催された。

 2月にはアルバム『私このままでいいのかな』を、さらに限定盤としてミニアルバム『Unchained』をリリースするなど、1年の“序盤”から猛烈な勢いを見せている。昨年5月には日本デビュー15周年ライブを開催(6月に追加公演)。30代を迎えた彼女が新たな想いのもとで臨む、3年半ぶりの日本全国ツアーが今回の『BoA THE LIVE 2018 〜Unchained〜』だ。

 このツアー来場者には、最新ミニアルバム『Unchained』を全員におみやげとして配布するという趣向も用意されており、“いい歌と演奏を届けるライブ”というテーマへの、BoA自身の思いの強さを物語っている。

ライブ本編で18曲、アンコールで2曲を披露したこの日のステージは、そんな今現在のBoA自身の思いをそのまま示すかのようなライブとなった。【取材=桂 伸也】

「全力で、残す体力なし」のライブの幕開け 登場を待ちわびた観衆

撮影=田中聖太郎

 ステージの開始が近づくと、この日会場を埋め尽くした約1500人の観衆の中から「BoA!」「B,O,A,!」と叫び始める声が。最初は1人、2人だった声が徐々に大きくなり、手拍子とともに一つの塊となった。そしてフッと会場が暗転、ステージ前面の幕が開き始めると、その塊は大きな歓声へと変わっていった。幕の奥からは、一点の眩しいほどの照明が、フロアに向けて照らされる。そして「Where am I now 」のイントロが鳴り響く中、その光の中から、いよいよBoAは登場し、大きな歓声を浴びた。

 ゆったりしたビートの中、ライブでは初披露となる「Where Am I Now」「ありがとうサヨナラ」を届ける。まさしく収録アルバム『私このままでいいのかな』の収録順どおりにスタート。ゆったりとしたメロディの中で、叙情的なBoAの声が響く。そんな歌うBoAの姿に、フロアは既に総立ち状態。ゆったりした楽曲の中で総立ち、というと普通に考えれば変に思われる方もいるかもしれない。しかしそれだけ彼女の登場をファンが心待ちにしていたと考えれば、不思議でも無いことはよくわかるだろう。観衆の姿からは、そんな思いがにじみ出ていた。

 曲の間にBoAは、今回のツアーを振り返る。北海道・札幌から始まった今回のツアー、現地では雪が降っていたこと。そしてこの日迎えた最終日では、半袖姿を見かけたこと。たった1カ月足らずのツアーだったが、そんな季節の移ろいを感じる一方で、自身の内面にも感じるものがあったに違いない。この日を迎えた思いをぶつけるように、BoAは宣言した。「今日は全力で、残す体力なしでやっていきたいです!」

 ステージの前半は、“いい歌と演奏を届けるライブ”のテーマを彷彿する、しっとりとしたナンバーが並ぶ。「一緒に歌ってくれる?」というBoAの呼びかけに観衆が応じた「コノヨノシルシ」、観衆がサビで合いの手を入れる「Only One」、10代の際には感じえなかった深さ、セクシーさを感じるという「DO THE MOTION」。そして「Song With No Name〜名前のない歌〜」からはステージに用意された椅子に座り、さらに歌を際立たせたプレーを披露。観衆はその情感豊かな歌声にじっと耳を傾けていた。

様々な国からの来客に感謝 新たな楽曲作りへの思い

撮影=田中聖太郎

 前半最後にファンキーな「Make Me Complete」が披露されると、一度BoAはステージを去る。その後はバックバンドのプレーがにぎやかに会場を彩る。そのプレーが終わり、次の曲のイントロが奏でられ始めると、BoAは白のジャケットにミニスカートと、前半で見せたドレスとは一転しアクティブな雰囲気のスタイルで登場した。その姿を見た観衆は大はしゃぎで、サッと総立ちに。サウンドも前半とはうって変わってにぎやかなディスコビートでブルーノ・マーズの「Treasure」で大きな盛り上がりを見せる。続いたのは、クールダウンしたバラードでマイケル・ジャクソンの「Man In The Mirror」と、BoAのライブでは初披露となるカバー2曲を立て続けに披露。

 「今から全力で盛り上がらないと、後悔するよ! 家に帰って“もっと楽しんでおけばよかった”とか思わないで!」、そんなBoAの煽りに、観衆は大きく反応する。会場はクライマックスに向けて、徐々に熱を帯びてきた。ここからは白熱のメドレーへ。「QUINCY」「make a secret」「Rock With You」「LISTEN TO MY HEART」「VALENTI」「Shine We Are!」と、BoAの大ヒットシングル曲をノンストップで繰り広げられたBoAの全力のパフォーマンスに、観衆は歓声を止めるタイミングすら忘れ、そのステージを“全力で”楽しんでいた。

 この日のラストナンバーは、「Jazzclub」。ダンサブルなリズムに乗せて歌うBoAの姿を見ていると、思わず聴き側も、座っていても体が上下するような感覚を覚える。立っていればなおさら、フロア席の観衆はBoAが飛び跳ねながら歌い、踊り、ライブを満喫している姿を見て、同じように体を上下に揺らし、その最高の気分に身を浸していた。

 ステージに幕が引かれると、フロア側からは即「BoA!」「B,O,A,!」と再び彼女の登場を求める声が上がり始めた。この日会場を訪れた観衆には、ブラジル、韓国、中国など日本以外から来たファンもおり、そんな声に混じって「BoA! サランヘヨ!」「ウォーアイニー!」などと様々な国の言葉が飛び交う。

 そして、しばしの時間を置いて、BoAはステージに現れ、最新オリジナルアルバム収録の「私このままでいいのかな」「FLY」を披露するとともに、今現在の気持ちを振り返る。30代になり、ラブソング一つとってもただの恋愛ではない、深みのある歌詞を書きたいと思うこと、聴いている人が悩んだり落ち込んだりしているときに、悩みを聞いてくれる、または力になってくれる曲、そんな「友達になってくれるような曲」を書きたいと思うこと。

 アンコールの2曲は、まさにBoAの新たな自分を目指そうとするその姿に、オーバーラップするようでもあった。そしてBoAは“全力”のライブを終え、「皆さんにまた素敵な歌を届けるために、この仕事を続けられるよう頑張りたいと思います!」と今後への“全力”宣言とともに「ありがとうございました! またね! Thanks for coming everyone!  カムサハムニダ! シェイシェイ!」と感謝の言葉を残し、ステージを去った。

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