デビューから18年目に突入した3人組ダンス&ボーカルユニットのw-inds.。昨年リリースされた「We Don't Need To Talk Anymore 」「Time Has Gone」は橘慶太が作詞・作曲、MixDownまでおこない、その高い完成度が評価された。14日には、通算40枚目となるシングル「Dirty Talk」をリリース。前2作に続き、橘慶太プロデュース第3弾作品。M.C.ハマーなどに代表される、80年代後半から90年代にかけて一世を風靡したニュージャックスイングというHIP HOPのビートを取り入れたトラックメイクで、過去の作品とはガラッと趣を変えた1枚となった。楽曲とダンスの関係性から、メンバーが今何に興味を持っているのか、「人の気持ちになるのが好き」だという橘慶太の変わった作詞方法などについて話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

曲がどれだけ良く見えるかがダンスの役割

――今作「Dirty Talk」は記念すべき40枚目なんですね。振り返ってみていかがですか。

橘慶太

橘慶太 もう気付けば40枚という感じです。

緒方龍一 本当にあっという間で。

――年によってはシングルを4枚も出していた時もありました。

橘慶太 そうなんですよね。1年で4回プロモーションもして。今思えば大変だったかなと思いますが、そんなに苦しんだ思いがないのは僕だけですか?

緒方龍一 3人いたので、今日は調子が悪いなというときは、2人にサポートをしてもらったときもたくさんありますし。その点は補いながらできたかなと思います。

千葉涼平 そうそう。

――良い関係性の中で17年やってこれたわけですね。そして、「We Don't Need To Talk Anymore 」から3作連続で慶太さんプロデュース楽曲です。幅広い音楽性を見せていますよね。

橘慶太 w-inds.の音楽性というよりも、世界の音楽の流行とかも変わってきましたし、音楽自体の作り方もそうで、PC一つでも出来たりします。僕達がデビューしてからの17年間で本当にガラっと変わったので、w-inds.の音楽が変わるのも必然だったのかなと思ったりします。

――ダンスも時代によって変わってきていると思うのですが。

千葉涼平 全然違いますよね。

緒方龍一 1年サイクルでどんどん変わって。

――今はどんなダンスが流行っているのでしょうか?

千葉涼平 細かい音を拾ったり…。

緒方龍一 ミドルスクール、オールドスクールというジャンルを中心に踊っている人達もいますけど、若者達が新しいジャンルを生み出したりするというのはありますね。

――細かい音を拾うというのは、トラップなどが流行っていたりして、ハイハットの細かい音なども拾うのでしょうか。

橘慶太 とりますね。細かくパパパっと拾う振りもありますし。昔で言うとキックとスネアの音だけ拾う、ニュージャックスイングとかはそういう感じだったんですけど、今はメロディの歌をとったり歌詞をとったりもしますし。そこのバランスのとりかたが人それぞれで、バランスのチョイスは変わってきます。

――トラック制作をするときはダンスのことも考えて作るのでしょうか?

橘慶太 ダンスのことは最初はあまり考えないです。僕達は結局ダンサーではないので、音楽が良いということを軸として考えていて。言葉の選び方が難しいですけど、ダンスはおかずのような飾り付けなので、曲がどれだけ良く見えるかというのが、僕はダンスの役割だと思っています。

――まずは楽曲の良さを重視しているわけですね。楽曲はどのあたりから作りだしていくのでしょうか。

橘慶太 僕はビートからです。どちらかというと、海外のサウンドが好きです。向こうのサウンドはビート感が日本の音楽と全然違うものが多くて。ビートだけ、上モノがなくても曲として成立するものをまず作ってからコードを足して、楽曲が出来たらメロディを付けて、という順番でやっているんです。でも「たまにはメロディから作ってみようかな」って、ついさっき話していて。

緒方龍一 本当にトラックから構築していくタイプで。

――散歩などで歩いているときなどに鼻歌で作ったりはしない?

橘慶太 歩いているときはないですね。コードが鳴っているときの鼻歌はあるんですけど。コードに合わせてメロディを付けるということが多いです。なので、まず第一段階はコードからメロディ、というのをやってみようかと(笑)。メロディからだと、メロディの展開によってコードを変えないといけないというのが増えてしまって。個人的にコードチェンジが多いのは、ダンスミュージックであまり好みではなくて。

 ダンスミュージックはループのコードをやるというのが自分の中の定義だったりするので、そこをブレさせないためにも、まずコードは3つか4つのワンループでメロディで展開をつけるくらいの方がダンスミュージックとしては、しっくり来るんです。

――海外のダンスミュージックはそういった感じが多いですね。「Dirty Talk」は90年代のニュージャックスイングのテイストを取り入れていますが、みなさんはニュージャックスイングというジャンルは通ってきています?

緒方龍一 青春時代というか、小学校、中学校時代に終わりを迎えようとしたジャンルで、聴いていましたね。ちょうど30年前、僕らが生まれたくらいに出てきたんですよね。

――サウンドなのですが、今作ではイントロでオーケストラヒットが入っているのが確認できます。90年代のテイストを入れるとなるとオーケストラヒットは外せないですよね?(編注=Afrika Bambaataa の「Planet Rock」で初めて使用されたというシンセサイザーの音色)

橘慶太 そうですね。90年代でいうと自分の中では絶対ですね。今回の僕のオーケストラヒットの作り方は、やっている人がいるかはわからないんですけど、音階の下にずっとステイしている音があって、和音っぽく違うコード感に聴こえるようにする工夫をしているんです。ヒットなんだけど、昔とは違う作りかたをしています。

――それで新鮮な感じがするのですね。それでは、なぜニュージャックスイングを取り入れたのでしょうか。

橘慶太 新しいサウンドをやりたいなということがあったのと、w-inds.でニュージャックスイングをやりたいというのは2年くらい前からずっと言っていました。出来るタイミング的になかなか見つからず、去年出した曲がどちらかというとEDMの派生系だったので、2018年に新たな気持ちで楽曲を作るときに、ガラっと曲調を変えてもいいんじゃないかなということで。

――ニュージャックスイングの定義とは何でしょうか?

橘慶太 基本的にはHIP HOPのような重たいビートなんですけど、コードやメロディで疾走感をつけていきます。BPMもわりと速めというとちょっと誤解があるかもしれないですけど…。基本的に疾走感を出す、ビートがちょっと跳ねているのが特徴だと思います。僕達の先輩で言うとDA PUMPさんはニュージャックスイングをけっこうやっていましたし。

――あとM.C.ハマーとか。

緒方龍一 時代的にも踊り的にもドンピシャです。

――今見てもインパクトがあるダンスですよね。それも取り入れたり。

緒方龍一 そうですよね。オールドスクールの動きも。今でも基本のムーヴとして、また違う動きを足して新しい動きとして表現することもあるのでM.C.ハマーっぽい動きも、もちろん取り入れたりすることもあります。90年代で言えばブレイクダンスも出てきた時期なので、時代背景的にはブレイクダンスもダンスの芯の中には欠かせない存在です。

――今作「Dirty Talk」は凄いタイトルですね。

緒方龍一 英語にしているからパッと聞きはそんなにわからないけど。

――“猥談”という意味ですよね。

橘慶太 猥談って出てきますね。

緒方龍一 僕は猥談という言葉自体知らなかったので、あまり馴染みはないんですけど、まあそっち系なんだろうなと思いつつ(笑)。

――でも意味としてはストレートではないと感じ取ったのですが、どのような感覚で付けたタイトルなのでしょうか。

橘慶太 デモを作ったときに、サビのところの吐息がもうメロディでありました。この吐息を活かすには、どういう世界観がいいかなと思ったときに、ちょっとアダルトな世界観でないとこの吐息がハマらないなと思いまして。そのハマりの良い、語呂の良い言葉を考えていたときに、この「Dirty Talk」というところに行き着きました。夜の感じですよね(笑)。セクシーでアダルトな世界観を書いてみたかったので。

――お2人は「Dirty Talk」を最初に聴いたときはどう思いましたか?

千葉涼平 僕はブチ上がりましたね。純粋に。ニュージャックスイングをw-inds.でやりたいなとちょっと思っていたので。サビの落ちる感じがまた気持ちよくて。そこは慶太のセンスはハンパないなと。「Dirty Talk」を聴いて、どちらかというとロマンチックな世界観を想像したので。僕らもこういう年齢ですから、下品な方ではなくて、女性に対しての紳士な感じをイメージしたので僕は好きでした。

――緒方さんはどう思いましたか?

緒方龍一 音数がそんなに多く聴こえないトラックなのに、凄くバランス感覚が良いトラックだと思って。Bメロのハイトーンで、半分シャウトするくらいの気持ちで歌い上げているあの感じとか凄く気持ち良いと思って。もの凄く高いところをキープしてステイしているので、慶太にしか歌えないんじゃないかと思うくらい、ピッタリと声とトラックがハマっているなという印象でした。

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