気象庁によると、17日に、東京で桜(ソメイヨシノ)の開花が観測された。平年より9日、昨年より4日早い開花だという。日本気象協会が14日に更新した予測では、3月末には満開を迎えるという予測が出されている。

 この時期は卒業や入学、退職や入社など人生において大きな転換期を迎える人は多く、同時期に満開を迎える桜はそのような人々にとって心象に大きく残るシンボルとなっているのではないだろうか。

 そういう意味では、この時期になると観たくなる映画や聴きたくなる音楽というものも少なからずあると思うし、この時期にヒットする作品は春の象徴として印象を受けることが多い気がする。

 音楽においては、やはり桜をキーワードにした曲というものがこの時期にヒットしている。スピッツの「チェリー」、福山雅治の「桜坂」、コブクロの「桜」、宇多田ヒカルの「SAKURAドロップス」、河口恭吾の「桜」、いきものがかりの「SAKURA」、森山直太朗の「さくら(独唱)」など、思いつくだけでも様々なアーティストが、桜というキーワードをもとに名曲へと昇華している。

 しかし、これだけ多くの“桜ソング”があるだけに桜をキーワードに個性的な曲を制作するということは同時にとても困難を極めることも想像に難くない。

 先日、取材で森山直太朗の生歌唱を聴く機会があった。披露されたのは、フジテレビONE/TWO/NEXT×J:COM共同制作の連続ドラマ『記憶』の主題歌として書き下ろされた「人間の森」だ。「さくら(独唱)」と同じく、ピアノの弾き語りで歌われたその曲には生々しくも、温かいぬくもりを感じることのできる世界観を生み出す荘厳な雰囲気があった。

 森山が「人間の森」について「この歌を歌うことを通じて初めて人生について考えることができました」と感慨深く語っていたことも印象的だった。

 インタビューなどでも語られているが、「さくら(独唱)」は発売当初、森山自身がギターを持って、地方のラジオ局やレコード店などに直接売り込みに行ったという。地道なプロモーション活動が、ミリオンセラーという満開の花を咲かせたわけである。

 取材をしていく中で、いつも感じることは華やかな世界で活躍するアーティストや芸能人も、やはり皆何らかの苦労や、下積み時代を経験しているということだ。

 桜の咲く季節に、大きな転換期を迎える人も、変わらない日々を送る人も辛く悲しい出来事を、どうか桜の花のように咲き誇るような華々しいものへと変えて欲しいと、春の訪れを感じながら、密かに願う今日この頃である。【松尾模糊】

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