昨年デビュー20周年を迎え、初の紅白出場でダンスのアカペラとも言える「無音シンクロダンス」を披露し話題となった三浦大知。今年に入ってからも自身初となる日本武道館2Daysをおこなったことも記憶に新しい。小学生時代から才能を見込まれ、和製マイケル・ジャクソンの異名をとった。しかし、変声期で活動休止。この時期をどう捉えているのか。

 また、三浦大知と言えば類い稀なる歌唱力とダンスパフォーマンスともいえる。「無音シンクロダンス」をどういう経緯で誕生したのか。また、振付を創作する際に心がけていることとはなにか。キャリア初となるベスト盤『BEST』の発売を、3月7日に控える三浦大知。「今まで積み重ねてきたものを感じられる年表のような作品」という本作を通じて、彼の魅力に迫った。

<要旨>
▽リズムだけでなく歌詞やメロディから振付を創作
▽すごくポジティブに捉えている、変声で活動休止
▽三浦大知が考える「失敗」の概念、成功で帳消し
▽「無音シンクロダンス」の誕生秘話、特別空間だった紅白
▽大きな目標を達成するために沢山の小さな目標を

 変化していくこと、失敗を恐れずに新しいことにチャレンジしていく精神などなど、本作、そしてインタビューを通じて、三浦大知の神髄に触れた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

リズムだけでなく歌詞やメロディから振付を創作

――2月14日と15日に開催された『DAICHI MIURA BEST HIT TOUR in 日本武道館』2Daysは、1日目と2日目でそれぞれ趣が異なるステージでした。

三浦大知

 KREVAさんが武道館2Daysをやられた時に、「ゲストDAY」と「ノンゲストDAY」という2日間違う内容でしたので、それを観て僕も(武道館)2日間出来るのであれば違う内容でやれたらいいなという想いがありました。1日目は、昨年からやってきたツアーの集大成で、2日目はお祭りみたいな感じにしたいなと考え、沢山のゲストに出ていただきました。どちらもスペシャルな内容になるように組み立てました。

――2日目はKREVAさんやライムスター宇多丸さん、絢香さん、満島ひかりさんなどそうそうたる顔ぶれでしたが、スケジュール調整などは大変そうだなと感じました。

 そこは大変なんですけど、皆さん快く承諾していただけました。「大知の為なら!」と言ってくださって。それもあって今回の2Daysはすごく楽しかった思い出しかないですね。積み重ねてきたものをしっかりと出せたのかなと感じています。

――今回『BEST HIT』というタイトルでライブをおこないました。「自身のベストを見つけたい」ということを話していましたが、ライブを終えた今振り返って、それは見つかりましたか。

 まず『BEST HIT』というタイトルが昨年のアルバムの『HIT』と今回リリースされる『BEST』に挟まれているということから、このタイトルになりました。まずタイトルから考えて、内容を構築していきました。タイトル自体が、ハードルが上がってしまっているので、それを自分らしく乗り越えていかなければならないなと。

 “BEST”と謳っているので過去のシングル曲などもたくさん盛り込もうと思っていたんですけど、やってみたらちょっと自分の中で違和感がありまして。『BEST HIT』って何だろうなと考えた時に、自分自身がやってないことにチャレンジしていることが“三浦大知っぽい”じゃないのかと。演出やパフォーマンスは新しいことにチャレンジして、新しい三浦大知とチームにしか作れないバランスで今のベストを尽くすことが今の僕の『BEST HIT』なんだろうなと今思います。

――新しいことのインプットはどういうところから取り込んでいるのでしょうか。

 もうそれを探すのが趣味みたいなものなんですよね。見える景色からや、こうやって人の話を聞いていたりする時とか、それがいろんな概念に繋がると思います。もう何でも刺激になりますので。

――「人の話を聞いたり」ということがきっかけで生まれたものなどありましたか。

 前回のツアーで『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2016 (RE)PLAY』の時に、アイデアが思うように浮かばなくて、どうしようかと悩んでいました。当時は「新しいことをしなきゃ」という固定観念があったのですが、KREVAさんと食事に行った時に、「もちろん新しいこともなんだけど、大ちゃんが今まで作ってきたものを、今の三浦大知が表現したらいいんじゃない?」と話してくれまして。それを聞いた時に「まさしく (RE)PLAY」だなと思いまして、そこからヒントをもらってライブを構築出来たということはありました。

――今回のベストアルバム『BEST』もリプレイというところで繋がっている感じもありますね。意外にも今回が初のベスト盤なんですよね。

 そうなんです。僕のキャリアから考えればこれまでに出していてもおかしくはなかったのですが、5周年とかのターニングポイントでは「ベストどうする?」といったような話は出ていました。その時に選曲をしてはみるんですけど、自分のベストとしてはピンとこなくて。自分のベストが聴いてくれる人にとってのベストなのかはわからないじゃないですか? ベストの定義とは何だろうと考えた時に、今やりたいこと、考えていることを形にした方が面白いと思っていて、ベスト盤をリリースすることはなく、新しいアルバムを作るということが多かったんです。

 2016年あたりから三浦大知の音楽やエンターテインメントを沢山の人に観てもらう機会が増えたということもあって、今までのファンの方たちはもちろんのこと、新しく僕を知ってくれた人たちの入門編があった方が良いかなという話になって。ベストといってもこっちで選ぶのではなくて、その言葉を借りて年表みたいな感じで出せたらいいよねということから、初めてのベストはシングルコレクションという形になりました。

――今作のアートワークはシンプルイズベストだと思ったのですが。

 単純に文字要素だけでいける感じが良いかなと思いました。今後はベストという名前を借りてカップリング集だったり、アルバムから選曲したものだったり、様々なものが世に出ていくと思ったので、「これが三浦大知のベストだよね」という自分のビジュアルではなくて、記号的なものを作れるといいなと。

――ちなみに大知さんは、CDは現在でも購入されますか。

 昔よりは減りましたけど、クレジットなどが見たいものがあると購入しています。最近はWebでも確認できるところはあったりするのですが、やっぱりこうやってブックレットを開いてみたり、モノとして所有している感じがCDはいいなと思います。

――ブックレットをめくったりするアナログなアクションが、ダンスに通じるところもありますよね?

 僕はアナログなものが大好きなんですよ。歌とかダンスとか人間がすることを大切にしているつもりです。

――このアルバムを聴いていると歌の変化も楽しめますが、大知さんが歌のターニングポイントとしてあげるとしたら、どの曲でしょうか。

 「The Answer」です。というのも、ここでヴォイストレーナーの方と出会いがありまして、その方のおかげで、今の声にどんどんなっていきました。デビュー当初からトレーナーの方はいたのですが、当時はけっこう声が枯れやすかったりしていたこともあって、発声から見直したいと考えていたところで紹介していただいた方なんです。そこから、自然に声が出せるようになりました。

――声帯の使い方が変わった曲だったんですね。他にも変化が表れた曲はありましたか。

 「Inside Your Head」は自分が初めて振付をした楽曲でして、今の“三浦大知”に近づいた楽曲だったのかなと思います。あと、MV以外にもコレオビデオというダンスをしっかり観られる作品を作り始めたのもこの曲からなんです。

――早い段階から今のスタイルが出来つつあったのですね。

 リズムで作るダンスだけではなくて、この辺りからちょうど海外でも歌詞に合わせて動きを作ったりとか、歌詞やメロディを動きに落とし込んで行くのが流行ってきていた時期でした。それを取り入れて振付を作っていくきっかけにもなった曲です。

――歌詞も書かれますが、すでにダンスをイメージしながら書いて行くこともあるんですか。

 いいえ、歌詞を書いている時はまだイメージしていないです。曲を作っている時にイメージはしているので、歌詞を書く前になんとなくはあるといった感じです。歌詞を乗せた時により具体的になっていくんです。