シンガーソングライターの家入レオが2月21日に、5thアルバム『TIME』をリリース。2012年にメジャーデビューし、5周年を迎えた昨年は初ベストのリリースや初の日本武道館公演を開催。同年にテレビ東京系『新宿セブン』で初の連続ドラマ出演も果たした。本作には元Galileo Galileiの尾崎雄貴をはじめ、Soulifeや杉山勝彦といった、欅坂46や乃木坂46の楽曲を手がける作家も参加し、本人も7曲で作詞や作曲で参加し、音楽的にもバラエティに富んだものになった。家入は「みんなから時間の前借りをしている。預けてもらった時間を、少しでも「聴いて良かった」という思いに替えられたらいいなという気持ちで制作した」と話す。そのためにどんな制作をおこなったのか。また各曲に込めた思いとは。【取材=榑林史章】

私に興味を持っていない人に興味を持ってもらう

――『TIME』は、今までの家入さんにはなかった曲も多数あって、非常にバラエティに富んだ内容のアルバムになりましたね。

『TIME』通常盤ジャケ写

 はい。バラエティに富んだ私らしい作品にしたいという思いは、みんなで共有していました。ただ、アルバムのテーマみたいなものは特に考えてなくて、1曲1曲に磨きをかけていくことが、アルバム全体のクオリティを高めていくはずだ、と信じて制作しました。

――多彩な作家陣が参加しているのもポイントですね。

 作家陣というところでお話をすると、今アイドルの方などに楽曲提供して活躍されている、杉山勝彦さんやSoulifeさんとご一緒させていただきました。また、元々私のフェイバリットアーティストでもあった、元Galileo Galileiの尾崎(雄貴)さんからは、洋楽的な雰囲気が漂う、肩の力が抜けた3曲を提供していただきました。アルバム全体のバランスが、絶妙に取れていると思います。

――確かに尾崎さんが作詞作曲した3曲が、アルバムに色を与えているなと思いました。

 3曲通して思ったんですけど、尾崎さんの曲は少女性が強くて、逆に私の声は少年っぽいと言われることもあるので、相反する感じが味になっているのかもしれないですね。

 「Relax」では、私の声とエレクトロなサウンドは意外と相性がいいと気づかせてくれたし、「パパの時計」は、歌詞の設定からしてズルいですよね。一本の映画を観ているような、小説を読んでいるんじゃないかというくらいのストーリー性があります。それにこの曲には、男の子と女の子、そして実はストーリーテラー的立ち位置の人もいるのでは?と感じたので、3人それぞれの声を使い分けて歌いました。

――尾崎さんの「大事なものすべて」は、ライブの情景も浮かべているのかなと思いました。

 おっしゃっていただいたように、初めてこの曲を聴いた時には本当にライブの映像がバッと浮かびました。みんなが笑いながら泣いているイメージが、なぜだか心に広がったんです。実際にそういうシーンを体験したことがあったわけでもないのに。

 この曲をラストに収録したのにも理由があって。昨年テレビ東京系ドラマ『新宿セブン』に出演させていただいたのですが、演技に挑戦したことによって、発信者と受信者の目線が、自分の中に生まれたんです。台本を読んでセリフの裏の裏を読むようになり、その経験から曲を作る時も、この歌詞を聴き手がどう感じるのかをより考えるようになって。結果アルバム全体を通して、聴いてくれる人をすごく意識して制作することに繋がりました。自分がアルバムを作るのも歌うのも、みんながいるからで。みんなが笑顔になってくれたらいいなというところで、「大事なものすべて」をいちばん最後の曲にしました。

――また「春風」は、淡い恋を描いたショートムービーが公開されて話題ですね。

 今大事にしていることの一つが、私に興味を持っていない人に興味を持ってもらうことです。そこに対するアプローチをいろいろ試していきたいと思って、MVを観てもらうこととは違った心の動かし方をしてもらいたいと思って、監督とお話をしてショートムービーを作ろうという流れになりました。

――新規のファンをもっと増やそう、と。

 はい。新しい仲間、新しく手を繋げる人を増やすことで、今手を繋いでいる人との手の繋ぎ方をより強いものにできると思うし。リード曲を「春風」にしたのも、いろんな人にとっての入り口になりやすい曲だな、と思ったからです。

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