シンガーソングライターの笹川美和が1月31日にニューアルバム『新しい世界』をリリースした。彼女にとって4年ぶりとなるこの作品は、自身初となる提供された楽曲とカバーを中心に構成されたもの。また、今年デビュー15周年を迎える笹川は「今はこれまでで1番恵まれた楽しい環境」と現在の活動の充実ぶりを語る。今作のアートワークが象徴している様に、彼女は音楽的にも裸になったと言う。4年という歳月を経た今の心境とデビューから年を重ねたアーティストとしての変化を彼女に語ってもらった。【取材=小池直也/撮影=片山 拓】

ライブ感のある緊張と集中が好き

――今作はシンガーソングライターというよりも、いちシンガーという形で制作されていますね。まずはそれについてお伺いしたいです。

 前作『そして太陽の光を』が4年前という事で。それだけの期間があると環境の変化だったり、心境の変化も沢山あって、「表現をする」という事に興味を持つようになったんです。ざっくり言うと「歌が上手くなりたいな」と思っていました。表現力だったり、声の使い方だったりなんですけど。そう思ってずっと活動していて、ライブもそんな想いのなかで歌っていたんです。

 そして去年、事務所に新しく入って、ここから体制を立て直して作品を出していくという時、当時のディレクターに「楽曲提供してもらうのはどう?」と提案してもらいました。それは表現力をつける事にも繋がって、凄く良いなと思えたんですよ。そこで「やりたい!」と答えて、今回の作品が実現しました。なので、心境の変化もありながら、自然な流れでここに繋がった感じです。

――今まで自作曲を歌うという事にこだわりがあったわけではない?

 楽曲提供はしてもらえないものだと勝手に思っていました(笑)。頼めば良いんですよね、今思うと。「作れるのに作らないのは手抜きなのかしら」、「作らなければならないのだろうな」くらいにどこかで思っていたのかもしれないです。

 そこまで頭が及ばなかったのが、先ほどの色々な事が重なって、たどり着いたんですよ。ディレクターにも「そろそろ他の人の曲を歌っても『笹川美和の世界』で歌えるんじゃないか」と言ってもらえたという事もありましたね。調べてみて、シンガーソングライターの方でも楽曲提供してもらっていて、それが多くの方に浸透もしているという事も知れましたし。

――ブログには「たくさんの才能との出会いがあった」とも綴られていました。ソングライターの人選に関しては、どの様にして決まったのでしょうか。

 人選はディレクターが私に合う音楽家の方を選んでくれたんです。当の私もそれを聞いて反対は全くなくて、「本当に作って頂けるの?」という感じでした。そのディレクターさんへの「この人なら私の世界をもっと広げてくれるかな」という信頼関係があっての上なのですが。自分からも指名したりはしなかったですね。

――そういえば、Spotifyで笹川さんが自ら30曲を選曲したプレイリスト『なにもしたくない』が公開されました。その中に、今回新作に参加された大橋トリオさんの名前が含まれているのも気になりました。

 ベッドの上で目がカサカサになりながら頑張ったんですよ、あれ(笑)。光栄な事だったんですけど、私は音楽を沢山聴く人ではないですし。ただ選曲すれば良いわけではなくて、曲順とかもあるじゃないですか。

 大橋トリオさんについては、もちろん存じあげてはいたんですけど、曲を頂ける事が決まってから、過去の音源を改めて聴き返したんです。そしたら、やっぱり素晴らしくて。選曲させて頂きました。

――各作曲家の皆さんとのやりとりはどの様に?

 ディレクターさんによると、丸投げだったみたいです(笑)。「笹川美和というアーティストがいます。この人間に合う音をお願いします。全てお任せします」と投げて、出来上がった曲も完成されてから聴かせて頂きました。どの曲もアーティストさんの色と個性ががっつり出ている完成形。これを今度、自分色にして出さなくちゃという想いが生まれて、それが楽しみではありました。

 でも、皆で「せーの」というやり方で録ったので、レコーディングに向けての練習は出来ませんでしたね。デモ音源を聴き込んで臨んでも、ミュージシャンの方が実際に入ると別の物になってしまうんです。大体のアレンジは頭に入っているのですが、基本はその時の出た所勝負。当日にマイクに向かって皆さんがどう出てくるかを聴き、あとは楽しく頑張るという感じです。

――なるほど。一発録りだったんですね。

 一発録りが凄く好きなんですよ。ライブ感のある緊張と集中が好みで。その形のレコーディングはここ何年かやっています。なので、とても楽しかったですね。今回は昨年の夏くらいから3回に分けて録ったのですが、最後に録ったのはカバー曲(「KYOTO」、「今宵の月のように」)でした。

 このカバー曲に関しても、スタッフ一同から歌ってほしい曲を募りました。タイトルが『新しい世界』と決まっていたので、私が歌わなそうな意外性のあるカバーをという事で。けっこう候補が上がっていたのですが、私はこの2曲がもともと好きだったので歌わせて頂きました。

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