4人組ロックバンドのTHE ORAL CIGARETTESが2月15日に、大阪城ホールでワンマンライブ『唇ワンマンライブ 2018 WINTER「Diver In the BLACK Tour~ReI of Lights~」』をおこなった。昨年から続く『Diver In the BLACK Tour』の集大成でこの日はこの地に由縁が深い「N.I.R.A」や「大魔王参上」、16日に無料配信された新曲「ReI」などアンコール含め全21曲を披露しオーディエンスを熱狂させた。山中拓也(Vo.Gt)は「これからも僕らは闇を歌っていきます。でも、その中に一本通っている光を見失わないように…」と想いを告げた。闇の中にさす、一筋の光を感じさせたライブのもようを以下にレポートする。【取材=村上順一】

約4年前の悔しさをバネにここまで来れました

(撮影=Viola Kam 【V'z Twinkle Photography】)

 大阪城ホールには多くのファンが集結し、既にアリーナは臨戦態勢。大型スクリーンにはアクアリウムが映し出され、オーディエンスは潜水艦の乗客として、謎が多い深海へと旅立つ直前。乗組員の2人がライブの注意事項を伝えていると山中の声が。聞こえてきたのは恒例の4本打ちで一体感が高まる。そして、エマージェンシーの警告音、赤いライトが緊張感を煽るなか奈落から4人がゆっくりとせり上がってくる演出に大興奮の会場。

 オープニングナンバーは「カンタンナコト」。躍動感あふれるライブ定番ナンバーは現実を断ち切るようにオーラルの世界へいざなう。バンドが繰り出すビートにオーディエンスも体を弾ませ、ホールを揺さぶる。続いての「CATCH ME」から「あの時オレをバカにしたあいつに...。大阪だから出来る曲!」と「N.I.R.A」を投下。ミラーボールがピンクとグリーンの光を乱反射させ、あきらかにあきら(Ba、Cho)のベースが牽引して行くグルーヴィなナンバーに酔いしれる。

 中西雅哉(Dr)による畳み掛けるビートがアグレッシブな「Uh...Man」に続き、<大阪に歌ってほしいの♪>と歌詞を変え聴かせた「Shala La」と幅広い音楽性で楽しませる。そして、大阪時代を思い出し、上京して辛かった時に書いた楽曲「リメイクセンス」を披露。情感を込めた山中の歌声は、情景を鮮明に映し出すかのような表現力を見せた。

 「マナーモード」を皮切りに、ここからさらに深い海へと潜って行く。戦争について書いた「WARWARWAR」、鮮烈なメッセージを放つ「接触」、ネガティブな言葉をリフレインする「嫌い」と深い闇へと導いていく。そして、「暗闇の中に光がある」と投げかけ、深海に一筋の光が差し込むような感覚を与えた「Flower」へ。ストーリー性を感じさせる流れはオーディエンスを扇情させていく。山中は「会いたい人に会いに行ってください」と亡き人へ送った「エンドロール」は、聴くものの感情に直接語りかけてくるかのような、想いがこもった歌声が大阪城ホールに響き渡る。

 MCでは、バレンタインが近かったということもあり、大阪だから喋れるというバレンタインエピソードで盛り上がり、続いて、大阪城ホールに初めて立ったカウントダウンイベント『「Ready Set Go!!」 Count Down Live2013 ⇒ 2014 』を振り返る山中。このステージにオープニングアクトとして立ち、「全然振り向いてもらえなかった、その時の悔しさをバネにここまで来れました」と話す。その悔しさが残るイベントだったが、その時に披露した楽曲で大阪城ホールでワンマンが出来るイメージが一瞬湧いたという「大魔王参上」を久しぶりに披露。あきらのリズミカルなハイキックが印象的なナンバーに心踊る。「オーラル史上最大の声を聴かせてくれ」と投げかけコール&レスポンスはこの日一番のボリュームで鳴り響いた。

 続いて、鈴木重伸(Gt)のスリリングなギターフレーズが高揚感を誘う「5150」。間奏では、スクリーンに金色に輝く煌びやかな映像、そこにオーディエンスのシンガロングが、マイナスをプラスに変えるかのように美しく響き渡る。そして、一際大きな歓声が上がったインディーズ時代のナンバー「mist...」ではオーディエンスによるサビのシンガロングに「生きてきた中で一番気持ち良かった」と歓喜する山中。

大切な仲間たちと一緒にてっぺんを目指して行きます

(撮影=鈴木公平)

 ここで大阪城ホールで演奏してみて感じたことを語る。「ワンマンはイベントとは全然違った。もっと強くならなきゃという瞬間に確実に繋がりました。圧倒的に強くなってあなたたちと一緒に上を目指して行きたい。どんなバンドよりオーラルの方がモンスターバンドだと言わせてみせます」と決意を告げる。

 さらに次の目標として「今日の大阪城ホールが気付かせてくれました。どんな場所でやるかよりも、ステージに立つ人間、フロアにいるあなたたちがどういう人間なのかが大切。その人間の間に何が生まれて、素晴らしいものに変わっていくのかが大切なんです。オーラルといたらワクワクするし、自分も成長できるような気がすると思える人間になろうと心に誓いました。僕は人間としてレベルアップして、新しい人間になってライブで再会したい。人生は難しい方を選んだ方が楽しくなると思います。次に会う時、どんな人間になっていますか?」と、投げかけ約束の歌「ONE’S AGAIN」そして、「トナリアウ」とエモーショナルなナンバーを畳み掛ける。

 ライブはラストスパートへ。「楽しいことも、辛いことも共有しよう」と「狂乱 Hey Kids!!」に突入。盛り上がり必至のキラーチューンは凄まじいエナジーがみなぎり、ライブならではの臨場感を強く感じさせ、「ここに立てているのはあなたたちのおかげです」と感謝を告げ、中西のラウドなドラムサウンドが迫り来る「BLACK MEMORY」へ。炎やスモークが噴き出したりと演出もド派手に、怒涛のハードサウンドを叩きつけ本編を走り抜けた。

 アンコールではワンマン恒例の中西による「まさやんショッピングコーナー」で盛り上げる。中西は「加入した当初は大阪城ホールでワンマンが出来ると思っていなかったけど、ここまでこれるんやと自信が持てた1日でした」と、この公演の喜びを話す。メンバーが再びステージに集結し、山中は「予定はないけど有言実行していくのがオーラルだと。アリーナツアーをやるぞ〜!」と目標を宣言。「大切な仲間たちと一緒にてっぺんを目指して行きます」と初心を忘れちゃいけないとデビュー曲「起死回生STORY」を届ける。1万人以上による迫力の高速クラップにあきらも嬉しそうな表情を浮かべていたのが印象的だった。

 流行りじゃなく、伝えたいメッセージは何なのかと自問自答を繰り返し、長い年月をかけて悩みに悩んで作った新曲「ReI」を披露。「全部消えてしまったわけじゃない、残ったもので未来へ繋げて欲しい」と自分たちのためではなく、初めて誰かのために書いた曲で、対価を求めてはいないと「ReI」に込められた想いを話す山中。

 「大切な人へ、ハードルなく聴いてもらいたい。僕が大切に思うように、あなた達の大切な人に伝えてあげてください」というオーラルの願いから「ReI project」第1弾としてこの楽曲はフリーダウンロードにしたという。「これからも僕らは闇を歌っていきます。でも、その中に一本通っている光を見失わないように...」と話し、ライブは大団円を迎えた。山中は去り際に「夏までにニューアルバム出します」と残し歓喜の声が上がるなか『Diver In the BLACK Tour~ReI of Lights~』の幕は閉じた。

 闇があるから光があり、観に来てくれる人がいるから今の自分たちがある。全ては対となって存在しているということを感じさせたライブだった。そして、今までも有言実行してきた彼らのことだから、近い将来アリーナツアーもきっと実現することだろう。ハードモードで走り続けてきたTHE ORAL CIGARETTESだからこそ、表現出来た今宵のステージ。バンドは音楽の本質、力を追求するために、さらなる高みへ向け新たなスタートを切った。

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