ロックバンド・MUCCのボーカリスト逹瑯が率いるコピーバンドのワンマンライブ『PANDORA JUKE VOX』が1月30日、東京・新宿ReNYでおこなわれた。『PANDORA JUKE VOX』は1月15日、16日に大阪・STUDIO PARTITTA、29日、30日に新宿ReNYで開催され、この日が最終公演。逹瑯がリスペクトする数々の楽曲を演奏するスペシャルな一夜となった。会場は満員のオーディエンスで埋め尽くされ、バラエティ豊かなロック・アンセムが轟き、大盛況のステージとなった。【取材=平吉賢治】

『PANDORA JUKE VOX』とは?

逹瑯

 1月に大阪・東京と計4公演が開催された『PANDORA JUKE VOX』というイベントは、逹瑯がリスペクトするアーティストの楽曲の数々を、百戦錬磨のミュージシャンで形成されたバンドによってコピーし、全力で演奏するというもの。日本のロックレジェンドである、BUCK-TICK、THE YELLOW MONKEY、L'Arc~en~Ciel、尾崎豊、THE BACK HORN、DIR EN GREYなど、そしてMUCCの楽曲も惜しみなく披露されるというスペシャルなイベント。

 逹瑯率いるコピーバンドのメンバーは、ギターにMiA(MEJIBRAY)、ベースにMasa(NOCTURNAL BLOODLUST)、そしてドラムスに足立房文(ex.フジファブリック)という顔ぶれ。

 青い和風の“かぶき者”的な衣装に身を包んだ逹瑯と、本イベント限りのメンバーは「街」(SOPHIA)「ピンクスパイダー」(hide with spread beaver)と、往年のロック・アンセムを立て続けに披露する。そして、逹瑯は「知ってる遊び、知らない遊び、全部楽しんで帰ってくれ!」とオーディエンスを煽り、フルキャパシティのフロア全員のレスポンスを得て、THE YELLOW MONKEYのナンバー「ALRIGHT」へと繋いだ。

 ステージ狭しと裸足で駆け巡り豪快なパフォーマンスを魅せる逹瑯、高貴な立ち振る舞いでフライングVを愛撫するように奏でるMiA。クールなプレイスタイルながらも、色鮮やかにボトムを支えるMasa。しなやかな色彩のビートとシンバルさばきに加え、同期サウンドの制作、マニピュレーターをもこなすマルチスキルを展開する足立房文。“本気の遊びコピーバンド”というコンセプトもある本イベントだが、『PANDORA JUKE VOX』は余りにも本気過ぎる。

無茶振りパンドラボックス

ステージの様子

 「かかってこいよ!」という逹瑯のシャウトから「V.I.P」(NOCTURNAL BLOODLUST)など、V系ロックが中心のセットリストで会場を湧かせるが、「東京テディべア」(ボーカロイド楽曲)などの変化球的な楽曲も織り交ぜる。ごく最近の楽曲である「灰色と青」(米津玄師 + 菅田将暉)も披露し、逹瑯は同曲を情熱的に歌った。

 そして、「うちのドラマーはピアノも弾けるんだぜ」ということで、足立房文はピアノプレイにシフトチェンジし、MiAはアコギに持ち替え、尾崎豊の名曲「OH MY LITTLE GIRL」をアコースティックバージョンで披露するなど、バラエティに富んだステージを展開。“逹瑯節”の尾崎豊は、かなりレアな歌唱だろう。

 ライブ中盤では、Masaがベースを縦に振り回し、足立房文は立ち上がり、燃え盛るようなテンションでオーディエンスを煽る。会場一致で掲げられた両腕は曲中で下がることはなく、ヘッドバンギングをする者もちらほらだ。後半ではかなりの人数がヘドバンをおこなっていたのは印象的だった。

 「ご希望や無茶振りをご記入ください」という内容の用紙をあらかじめ集めておいたものが、何枚も収められている“パンドラ・ボックス”。この中から1枚づつメンバーが引き、内容の無茶振りに応えるというMCコーナーも盛り上がり、イベントの絶妙なスパイスとなっていた。

 「カラオケデビュー曲はなんですか?」という質問に、逹瑯は「中学1年生『TRUE LOVE』」と答え、「X JAPANの演奏が聴きたい」という要望に「高いわ!(キーが)」とツッコむ。

 また、「自分以外のPANDORA JUKE VOXメンバーになれるなら誰?」との質問に逹瑯は「足立になってみたいかな」と答え、ファンとの間接的なやりとりをライブでおこなうという、何ともほっこりしたコーナーで会場の雰囲気も和んだ。さらに、MUCCメンバーのYUKKEと生電話を交わすという場面も。

 そしてライブも佳境、「極東より愛を込めて」(BUCK-TICK)、「Shout at the Devil」(L'Arc~en~Ciel)と続き、逹瑯のエネルギッシュなパフォーマンスとシンクロする聴衆の熱気は最高潮へ。「女々しくて」(ゴールデンボンバー)では4つ打ちのビートに合わせて新宿ReNYがかなり揺れる。2階席までズッシリと強拍を刻んでいた。そして、本編ラストは「コバルトブルー」(THE BACK HORN)でフィニッシュとなった。

 アンコールでは「予感」(DIR EN GREY)、そしてMUCCの楽曲「蘭鋳」と、豪華な“おかわりタイム”をオーディエンスへおみまいし、ヘドバン・サークルモッシュが多発する大団円を迎えた。『PANDORA JUKE VOX』は本公演で終了だが、逹瑯はライブ後、「このイベントは今回で終わりですか?」という問いに対し、満身創痍の表情で「楽しかったです。またやりたいですね」と答えた。

 逹瑯がリスペクトする数々の楽曲を演奏するイベント『PANDORA JUKE VOX』は、MUCC・逹瑯率いるコピーバンドによって、再び開催されるのだろうか。きっと、1月の全公演、そしてこの日のパワフルな新宿ReNY公演大盛況が、彼らの背中を押してくれるだろう。

記事タグ