ロックバンドのBLUE ENCOUNTが、17日に東京・新木場STUDIO COASTで東名阪ツアー『TOUR 2017-2018 ~VS~ リクエストワンマン』東京公演を開催。同ツアーは、ファンから募ったリクエストでセットリストを構成する『リクエストワンマン』と、対バンを迎えた『ツーマンライブ』をセットにして、昨年11月からおこなっていたもの。ツーマンには、9mm Par-abellum Bullet(名古屋)、sumika(大阪)、My Hair is Bad(東京)がそれぞれ出演し、熱いバンドバトルを繰り広げた。リクエストワンマンでは、東名阪それぞれの会場でリクエストを募集し、全公演まったく異なる内容でライブをおこない、コアなファンの胸をも熱くさせた。【取材=榑林史章】

名古屋公演の雪辱

BLUE ENCOUNT(撮影=浜野カズシ)

 「去年は“晴れバンド”と呼ばれたのに、今日は雨だし。平日とか、明日も会社や学校があるとか、今年一発目のライブだとか、けど、そんなことは関係ねえ!」

 開始早々、満員の会場を見渡して吠えた田邊駿一(Vo&G)。1曲目から最新シングル曲である「VS」を披露し、<LAI LAI LA LAI LAI>というコーラスをファンも一緒に歌って、頭から会場の一体感は最高潮になり、ファンがどれだけこの時を待っていたかが伝わった。

 熱気が高まるなか、6曲目に演奏したのはリクエスト3位の「ロストジンクス」。メジャー第1弾EP『TIMELESS ROOKIE』に収録の楽曲で、トリッキーなギターが印象的。辻村勇太(Ba)が「かかってこいよ!」と叫び、ドラムの高村佳秀も「オイっ! オイっ!!」とかけ声をかける。

 続く「パラノイア」は、3rdシングル「はじまり」に収録のナンバー。名古屋と大阪のリクエストには未ランキングの曲だったものの、名古屋では特別に演奏したとのこと。「1〜2年やってなくて、名古屋では鼻血が出るほど失敗したんです。その曲が、東京のランキングではギリギリで19位に入ってくるというのが、実にブルエンらしい」と田邊。

BLUE ENCOUNT(撮影=浜野カズシ)

 この日は名古屋とは一転、イントロをキメるとメロディをスピーディーに繰り出し、グルーヴ感あふれる演奏を聴かせて、会場からは「神かっこいい」など声があがった。

 同様に東京のみランクインした楽曲として、7thシングル「さよなら」のカップリング曲「The Chicken Song」も演奏。ドラムのシンバルから始まる楽曲で、田邊はハンドマイクでステージを駆け回りながら歌う。ギターの江口雄也はエモーショナルにフレーズを奏で、ドラムの前に集まってメンバー同士向き合いながら演奏する場面もあり、笑顔があふれる楽しそうな演奏を聴かせた。

 ライブの中盤で、ファンの胸を熱くしたのは、ランキング2位の「HANDS」だ。田邊は「今日は新春一発目なので、お前らと新年を迎えた気持ちです。できればここに泊まってオールナイトでやりたいくらい(笑)。お年玉を贈る気持ちで歌います。お前らが挙げてくれている、その手が救いです」と気持ちを語ると、タイトなビートに合わせて、観客は手を挙げてクラップ。「お前らも一緒に歌っていいんだよ」と田邊。それに続く観客の歌声が会場に響いた。

自信と誇りを持って、歌を届ける

BLUE ENCOUNT(撮影=浜野カズシ)

 ランキング1位の「もっと光を」は、本編のラストに披露。歌う前に田邊が「ごめん、お前らのせいにした。お前らにセトリを作らせて、ダメならあわよくばあんたらのせいにしようとしてた。ごめんな。でも自分たちのバカさを知った。どんな曲が1位でも、どんな曲が50位でも、大事なのは、あんたらの前で歌うことだ。見とけよ! お前らが俺らに感じた失望とか離れていった人とか、みんな取り戻してやるから。ブルエンを聴いていることが格好いいと思わせてやるから。明日のこととかどうでもいい。今日、お前らと死んでもいいと思う日を作ろう」と呼びかける。

 そして、目を潤ませながら「3年前に作った曲だけど、今俺らが自信を持って前に進むために歌います。今までありがとう。紹介します。今、自信と誇りを持って、歌を届けるバンドがいます。紹介します、BLUE ENCOUNTです!」と叫び演奏。

 そんな田邊の素直な気持ちを聞き、涙ぐむファンも。リクエストワンマンを通して、さまざまな意見を聞き、さまざまな気持ちを抱え、気持ちもあらたな一歩を踏み出したブルエン。

 さっきまでのブルエンと同じようでいて、まったく違うブルエン。その証拠に、この日聴いた「もっと光を」には、過去最高の感動を受けた。歌詞に込められた、人を思う心と前を向いたメッセージが、放たれた矢のように真っ直ぐ伸びて観客一人ひとりに刺さる。その力強さが、勇気を奮い立たせてくれる。田邊がマイクを客席に向けると、観客の<もっと光を〜>という大合唱が、会場中に響き渡った。

 さらにこの日は、3月21日にニューアルバム『VECTOR』をリリースすることや、全国ツアーをおこなうことなども発表。アンコールでは『VECTOR』に収録の「灯せ」をいち早く聴かせるプレゼントもあった。

 現在のメンバーになっておよそ10年。その一発目のライブを、どこよりも熱いファンとともに迎えたブルエン。この日気持ちもあらたに、新しい日本のロックの歴史を作るためのスタートダッシュを切った。