自分を励ますつもりで歌っているけど、同世代ならきっと似たような経験があるから共感してくれていると思う――。若い女性の間でにわかに人気を集めている女性3人組バンドがいる。「わたしのねがいごと。」だ。14年に大学軽音楽部の同級生、ろみ(Vo)とひかる(Gt&Cho)が結成。就活を機にライブ活動を一時休止するも「歌は就職してもやりたい」との思いで、15年に同じ部に所属していた、ちほこ(Key)が加入し再開。現在は、平日は会社勤め、音楽活動は週末というスタイルを送る。「誰かのためには書いていない」という彼女達だが日常生活から生まれる等身大の歌詞は同世代を中心に共感を呼び、支持を集める。彼女達は今何を思い歌っているのか。素顔に迫った。【取材=木村陽仁】

自身を励ます曲が共感を得る曲に

――2014年に軽音楽部の同級生で結成されました。

ろみ 大学の軽音学部に所属していて、就職活動を控えて音楽活動がもうすぐ終わるという時に「歌は就職してもやりたい」と思って、それで同じ部に所属していたひかるを誘いました。それが始まりです。

――その後、ちほこさんも加入されます。

ちほこ 最初はサポートをしていたんです。「次のライブで弾いて」とお願いされて、何度かライブに参加して。正式に入ることになったのが2015年でした。

――皆さんは歌やキャラクターから“癒し系”とも呼ばれています。

ろみ そういう意識は持っていなくて。曲を作る上で、音数が少ないものを作っているからそう言われるのかもしれないけど。そもそも「誰かに伝えたい」から音楽をやっているということもなくて。

ちほこ たぶん考えは一緒だと思います。自分が好きでやっている。

ひかる 好きなことをやりたくてやっていて、誰かの心を動かすよりかは、3人とも自分達の気持ちを「届けている」という感じです。自分が今思っていることを歌っているというか。「誰かの気持ちを変えたい」とか「人のために歌ってあげよう」という思いではなくて、「今の私達を歌っている」という、今私達が思っていることを音楽で形にしている感じです。

――女性の心模様を描いた曲「終電間際」(2017年12月発売ミニアルバム『きこえる』収録)は経験談ではなく創作だと聞きました。ろみさんが書かれる曲はそういうものが多い?

ろみ そうですね。「終電間際」は片思いをしている人に聴いて欲しいというのはありますが、聴いてもらいたい層を定めて、その層に聴いてもらいたいために工夫をした、というわけではなく、ポンポンポンと出てきたものを曲に落としている感じです。

――「RAINYRAIN」(CD未収録曲)という曲の歌詞では、一人称として「僕」という言葉が使われています。曲で自分の内観を映し出しているようにも感じます。

ろみ その通りです。曲の歌詞で「僕」を使うときは、曲の中にぼんやりと「自分」があって、それを「僕が言っている」というイメージで書いています。

――日常の経験が曲に反映されていることもある?

ろみ あるかもしれないけど、それは抽象的に書いています。「終電間際」も自分の経験ではないし、でもリアルさは追及していて。このアルバムでは「ダンス」ぐらいです。

――では「ダンス」はどういう思いで書きましたか?

ろみ これはBメロの<ダンス ダンス ダンス>を先に作ったんです。ノッている曲が作りたかったし、「ダンス」という言葉を入れたかった。初めは英語で「DANCE!!」というタイトルでした。歌で人を救いたいというのはないけど、自分の歌に自分が救われているという意識は凄くあって。「ダンス」は自分を救うための歌でもあります。

――まわりから「癒し系」と言われるように、全体的に雰囲気が夜更けに自分を見つめている印象があります。

ろみ 解釈はそれぞれあると思いますが、確かに曲を書いた時間は夜が多くて。例えば夜中の2時や3時って日中に思いつかないようなことが浮かぶ時間だと思っていて。歌詞もしっくりくるというか、違う世界に行けるような、自分の頭の中のどこか靄や霧がかかったところに行けるような感覚です。

ひかる 聴いて下さる方が私達世代で、私達も仕事などで1日いろんなことがあって疲れて、その中で「聴きたいな」と思う曲が自分達の曲でもあるので、きっと同世代の方々は同じ経験をされていると思うから共感もしてもらえていると思います。私達が見ている景色って普通の方と変わらないと思うんです。私達も、聴いている皆さんの気持ちとリンクしていることが多い。ろみが先ほど「自分を励ますために書いている」と言いましたけど、例えば歌詞に描かれている思いとか、ろみと同じような状況にあると人は同じように励まされると思います。そこが私達の強みでもあると思うし。

 自ら「癒し系」を名乗ったわけではなくて、周りに言われて気が付いて。たぶんそれは、スタートはボーカルのろみと、アコースティックギターの私というシンプルな編成だったことや、ろみの歌い方が優しいというのがあったからだと思いますが、そうした同じ悩みや同じ喜びを味わえる同世代だからというのはあるかもしれないです。