年末の風物詩、第68回NHK紅白歌合戦ではさまざまな歌手が多種多様なジャンルの楽曲が歌われ、2017年を締めくくった。日本独自の音楽から、欧米より取り入れた音楽性。日本の歴史あるイベントながら、ある種、ワールドワイドな空気感も味わえるあたり、“日本らしい”と思う節があった。

 日本は“ミックス文化”とよく言われている。中華圏の料理を日本風にアレンジして「ラーメン」を生み出し、国民食として定着させたり、言語にしてもひらがなに片仮名、アルファベットに漢字と、各国の言語文化を取り入れている。ファッションにしても、他の分野の文化にしてもそうではないだろうか。

 紅白歌合戦では様々な国の音楽性を取り入れた楽曲が聴けた。ロック、ソウル、R&B、HIP HOP、エレクトロミュージックと、日本のポピュラーミュージックは、クロスオーバーが標準としてあるということに改めて気付かされた。

 しかしそれは、日本に限ったことではなく、海外でもその傾向はあるようだ。純粋なロック、ソウルミュージック一色で表現しているアーティストは特に近年、どちらかというと少数だ。

 EDMにロックテイストを入れたり、フォーキーなサウンドにラップを乗せたり、あらゆるエレクトロビートを融合させたりと、毛色の異なる音楽を合わせて、新たな色の音楽を生み出して発信する、といったアプローチが多くみられる。

 それは、1990年以降どんどん進化をみせ、あるジャンルの音楽の説明には「〜と〜を合わせて、〜を乗せたような」という、日本でもみられる“ミックス文化”そのものではないかと思ったりもする。

 イギリスにはロック、アメリカにはHIP HOPというように、その国発祥の音楽がある。そこで、日本独自の生粋な“日本音楽”とは何だろうと、紅白歌合戦を観ながら思った。

 そういった視点でまっすぐ飛び込んでくるのは、舞踏をバックにシンプルな日本語で歌う平井堅の歌唱であり、サムライのような物腰で熱唱する竹原ピストル、日本の名月を背後にして歌い上げるエレファントカシマシの“日本男児”の歌だった。

 そして、外国人もきっと「ジャパニーズ・クール」と言わしめるのではないかと感じたのは、石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」であり、坂本冬美の「男の火祭り」であり、氷川きよしの「きよしのズンドコ節」などだった。

 国外の音楽に比べて、日本のポピュラーミュージックは世界に羽ばたくことは比較的少ないという声も耳にしたことがある。しかし、紅白歌合戦で聴けた、先述の歌手の舞台を見ていると、日本が世界に向けて“これぞ日本の音楽”と表現できる音楽は、十分にあるのではないかとしみじみと感じることができた。

 紅白歌合戦は一昨年から、2020年東京五輪・パラ五輪に向けて一貫したテーマを掲げている。2020年に向けて日本の音楽、文化を考えるときに、紅白の存在は重要ではないか。【平吉賢治】

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