桑田佳祐が12月30日、神奈川・横浜アリーナで全国アリーナ&5大ドームツアー『LIVE TOUR 2017「がらくた」』の公演をおこなった。アルバム『がらくた』を引っ提げ、全国10カ所、18公演をおこない、31日に同会場でファイナルを迎える。この日は『がらくた』の楽曲を中心に全28曲を披露。還暦を過ぎたとは思えないエネルギッシュなステージで観客を魅了した。【取材=松尾模糊】

帰って来ましたー

撮影=西槇太一

 桑田の地元である神奈川での公演。会場となる横浜アリーナの最寄り駅からアリーナまでの道には多くの人々が押し寄せ、スタッフや警備員がその整理をおこなう光景も見られた。会場前ののぼりや、モニターに映る桑田の姿をバックに記念撮影をおこなうファンも多数いて今年最後の思い出を桑田とともに作ろうという彼らの表情はとても輝いて見えた。

 暗転した会場にバンドメンバーが登場し、歓声と拍手が沸き起こる中、ジャケット姿にハット帽を被った桑田が登場。冒頭のハーモニカの演奏が印象的な「しゃアない節」でステージはスタート。桑田は手拍子の鳴り響く中、〈ようこそ皆さん 横浜アリーナ おっさんと遊ぼうよ〉と歌い盛り上げる。立て続けにブルージーな「男たちの挽歌(エレジー)」で会場をヒートアップさせる。

 ハット帽とジャケットを脱ぎ、赤いTシャツ姿になった桑田は「ういーす!」と呼びかけ、「地元・横浜に帰って参りました。ただいま。新潟から全国回ってきました」とツアーを回想し、「大阪公演で面白かったのは、みんな“バキューン”ってやるとね、みんな“やられたっ!”ってリアクションしてバタバタと倒れてくれるんですよ。やってみる?」と話し“バキューン”と撃つ仕草をしてみせ、観客ものけぞる態勢で応えた。桑田は「横浜もすごい!」と笑顔を見せた。そして、「年の瀬ではございますけども、最後まで皆さんと楽しく過ごしたいと思います!」と呼びかけた。

 「愛のプレリュード」から再びステージを再開。続く「愛のささくれ〜Nobody loves me」では紫色の照明がステージを照らし、エコーのかかった桑田の声が怪しく響くアダルトな世界を演出。管楽器の演奏から始まる「百万本の赤い薔薇」は、アップテンポなナンバー。観客からも手拍子が起こり一体感を高める。

 ここでメンバーを紹介。『がらくた』を作り上げた、河村“カースケ”智康(Dr)、はたけやま裕(Per)、山本拓夫(Sax)、西村浩一(Tp)、金原千恵子(Vl、Cho)、TIGER(Cho)、佐藤嘉風(Cho)、角田俊介(Ba)、中シゲヲ(Gt)、片山敦夫(Piano、Key)、そして斎藤誠(Gt)がそれぞれ個性的なキャラクターを見せ会場を盛り上げる。

 「古の風吹く杜」から再びステージを再開し、後半戦へ。ウクレレの音色が印象的な「Dear Boys」では哀愁漂う歌声を響かせる。続く「東京」で桑田はエレキギターを弾きながら披露。「Yin Yang(イヤン)」では、赤いワンピースを着た2人のダンサーが桑田にまとわり付くように踊り、曲の持つ世界観を引き立てた。

 ステージの合間には、メインスクリーンに稲川淳二に似た「稲川ジェーン」に扮した桑田が映し出され、怪談風の映像を披露。会場が笑い声と拍手で満たされた。

シェキナベイベー

撮影=西槇太一

 桑田は大晦日に放送された『NHK紅白歌合戦』に、この会場から生中継で出演。「今年はお陰さまでツアーも回れてありがとうございました。明日『紅白歌合戦』に出ることになりまして、皆さんにご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」と呼びかけた。そして「私も60過ぎましたけど、まだまだ『ひよっこ』」という合言葉とともに紅白で披露した「若い広場」を演奏。レトロな衣装を着たダンサーとともに肩を組みながら歌唱する場面も見られた。

 『がらくた』の冒頭を飾るロックンロール・ナンバー「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」では最大限のリスペクトを込め、ロックレジェンドのあの人に扮した桑田がスティックを振り回しながら「シェキナベイベー」とステージを駆け巡り、会場をヒートアップさせた。

 ソロデビュー曲である「悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)」では、メインスクリーンに過去30年に渡る桑田の様々な姿が映し出され、ノスタルジックにステージを演出。30年の時を経たとは思えない若々しさを改めて実感させた。「波乗りジョニー」では水着を着たダンサーがステージに現れ、夏の雰囲気を演出し、大合唱で一体感に包まれた。そして、サイケデリックな演出が幻想的な世界観を彩った「ヨシ子さん」で本編を終了した。

 アンコールでは「白い恋人達」や「祭りのあと」などヒット曲を披露し、「明日晴れるかな」でこの日のステージを締めくくった。最後は〈明日晴れるかな〉のシンガロングで大団円を迎えた。桑田は「皆さん、今年も本当にありがとうございました。また来年も頑張るっぺよー」と呼びかけ、一本締めで締めくくり深々とお辞儀をしてステージを去った。

 ソロデビュー30周年を迎え、円熟味を増した桑田だが『がらくた』で掲示したのは、ポップながらも実験的なサウンドに満ち溢れた挑戦的なものだった。そしてソロとして5年ぶりとなるツアーでもエネルギー溢れるステージを披露した。これから更にどんな音楽を届けてくれるのか非常に楽しみである。

セットリスト

01.しゃアない節
02.男たちの挽歌(エレジー)
03.MY LITTLE HOMETOWN
04.愛のプレリュード
05.愛のささくれ〜Nobody loves me
06.大河の一滴
07.簪 / かんざし
08.百万本の赤い薔薇
09.あなたの夢を見ています
10.サイテーのワル
11.古の吹く杜
12.悲しみよこんにちは
13.Dear Boys
14.東京
15.Yin Yang(イヤン)
16.君への手紙
17.若い広場
18.ほととぎす [杜鵑草]
19.過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)
20.オアシスと果樹園
21.悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)
22.波乗りジョニー
23.ヨシ子さん

Encore

24.スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)
25.銀河の星屑
26.白い恋人達
27.祭りのあと
28.明日晴れるかな

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