<記者コラム:オトゴト>
 乃木坂46を卒業することを発表した、中元日芽香(なかもと・ひめか、21)さんが「最後の更新」としてブログに投稿したメッセージ、そして「アイドル論」が泣けるとして話題を集めている。記者はこれまでもアイドルにインタビューや取材をおこなってきた。そのなかでいつも考えるのは「アイドルの魅力とは何か」である。

 女性アイドルの多くは10代からその道を歩み始める。デビューしたての頃は初々しいかった彼女たちは、活動のなかでもまれて成長していく。悔しさで涙を流す時もあれば、喜びで流す涙もある。懸命に歌い、踊り、話す。その陰には努力がある。そうした姿にファンは心を打たれる。彼女たちの笑顔に勇気を得たものもいれば、その姿に憧れてアイドルになるものもいる。

 「楽曲を歌う」「楽曲の世界観を踊りで見せる」ということが活動の前提にあるが、こうしたドラマを含めて「アイドル」であり、それが魅力なのであると取材を通して感じている。それでもずっと「アイドルの魅力とは何か」ということを考え続けている。

 そうしたなかで、一つの答えを提示した人がいた。先の、中元日芽香さんだ。中元さんは22日付のブログで長文に渡り、思いをしたためている。そのなかに、彼女のアイドル論を展開した。以下は、その内容の一部である。

 ◇

綺麗な衣装が着られて楽しい、
お写真撮られるのが楽しい、
ステージに立つのが楽しい、全部本当です。

でもそれ以上に

私はここにいていいんだって
認めてもらいたかった、
その一心で走ってきたような気がします。

この世界にいると、
私を必要としてくれる人が沢山いる。
私だけを見てくれている人が沢山いる。

それが嬉しくて今日まで続けてきました。

がむしゃらに進む姿勢というのは
それだけで人の胸を打つもので

特別な才能があるわけではない私でも
勇気なのか、癒しなのか、希望なのか、
色んな感情を与えられる。

アイドルの一番のウリは
素のキャラクターと
仕事への“姿勢”なんだと思います。

シンガーには敵わないし
ダンサーには敵わないし
芸人には敵わない。

パフォーマンスが完全でない分
いかに目の前のことに真摯に取り組むかが
求められている職業かなと考えた時、

私はアイドルとして何事にも
全力でぶつかってきたつもりです。

 ◇

 このなかで中元さんは「特別な才能があるわけではない私でも勇気なのか、癒しなのか、希望なのか、色んな感情を与えられる」と示し「アイドルの一番のウリは素のキャラクターと仕事への“姿勢”なんだと思います」と綴り、「シンガーには敵わないし、ダンサーには敵わないし、芸人には敵わない」と率直な思いをしたため、アイドルを「いかに目の前のことに真摯に取り組むかが求められている職業かなと考えた」と自論を展開した。

 AKB48の公式ライバルとして登場した乃木坂46。今では絶大な人気を集めているが、順風満帆な船出とは言い難かった。その一期生の一人として歩んできた中元さんだけに、この言葉の説得力は強く、すこぶる感銘を受けた。

 アイドルに限らず、ミュージシャンも、ファンを思い曲を作り、演奏しており、その表現方法がそれぞれ異なるということなのだと感じる。そして、アイドルの場合は「頑張っている姿」というものも一つの表現方法としてあるように思える。

 最近、AKB48グループの取材をおこなったなかで、改めて楽曲と向き合った。すべての楽曲に当てはまるわけではないが、総合プロデューサーの秋元康氏が描く歌詞は、そうした彼女たちの“今”と重なる部分がある。

 当然、聴く人の捉え方によってさまざまに解釈できる。ただ、そうした歌詞の世界観からも、やはり彼女たちのアイドル人生そのものが音楽であり作品であり、魅力なのであると今は感じている。【木村陽仁】

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