5人組ロックバンドのキュウソネコカミが12月6日に、4thアルバム『にゅ〜うぇいぶ』をリリース。2009年に結成、所構わず噛みついて歩くような皮肉っぽい歌詞とノリの良いバンドサウンドが話題となり、インディーズ1stミニアルバム『ウィーアーインディーズバンド!!』が、第6回CDショップ大賞部門賞・ニューブラッド賞を受賞するなど注目を集め、2014年にアルバム『チェンジ ザ ワールド』でメジャーデビュー。2年ぶりのアルバム『にゅ〜うぇいぶ』は、ゆるいタイトルとは対称的に、決して他のバンドが歌わないテーマの曲がずらりと並び「もう一回深夜枠に戻れた」と話す作品。ヤマサキセイヤ(Vo&G)とヨコタシンノスケ(Key&Vo)が、アルバムに詰め込んだ気持ちを語った。【取材・撮影=榑林史章】

アルバムは“あらびき”です!

『にゅ〜うぇいぶ』通常盤

――アルバム『にゅ〜うぇいぶ』は、格好良さもありながら、面白くてツッコミどころも満載ですが、何か青写真はあったのですか?

ヨコタ ないです。毎回ないです(笑)。

ヤマサキ うちはボツ曲が少ないんです。何をやってもOKなので、曲ごとにコンセプトがバラバラになってしまって。

ヨコタ その都度考えていたことが曲になっているので、この2年の揺らぎが込められています。

ヤマサキ それがキュウソっぽいのかなって。毎回アルバムは、あっちに行ったりこっちに行ったりしているので、今回もきちんとあっちに行ったりこっちに行ったりすることが出来たと思います。

――それが正しいキュウソの形なんですね。タイトルの『にゅ〜うぇいぶ』は、どういう意味合いで付けたんですか?

ヤマサキ 前作は『人生はまだまだ続く』というタイトルで、「キュウソどうした? 悩んでるのか?」「終わるのか?」などと言われてしまって。それで、めっちゃ考えました。そこで気づいたんですよ。タイトルを漢字にすると、曲がどんなに軽くても重く受け止められて、深読みされてしまうことに。『にゅ〜うぇいぶ』って、めっちゃ軽くないですか?

――軽いですね。ひらがなで、「〜」を使ってるところとか。

ヨコタ 良い意味で、力が抜けていると思います。

ヤマサキ その軽いままのテンションで、構えずに聴いてほしいです。

ヨコタ 基本的に楽しくワイワイやりながら作ったし、明るくて軽いタイトルのほうが、自分たちに合っていると思ったし。

――でもファンは、この『にゅ〜うぇいぶ』というタイトルでも、その裏側を読もうとしたりするんでしょうね。

ヨコタ まあ、そういうこともありつつ(笑)。

ヤマサキ 何にしても、聴いてもらえれば良いんです(笑)。ニューウェーブという言葉には、パンクと似た意味合いもあるらしいですけど。

ヨコタ 音楽ジャンルとしてのニューウェーブとは別に、それ以前のポップスに対するアンチの存在を、総称してニューウェーブと呼んだそうです。そういう意味でも、最近はポップ寄りになっていたキュウソなので、そこをもう一度覆そうという意味も、あるのかないのか(笑)。

ヤマサキ どう考えても、僕らの存在ってアンチじゃないですか。カウンターの存在って言うか。

ヨコタ 最初はタイトルを聞いて「は?」って感じだったんですけどね(笑)。意味を聞いて僕は「なるほど」と思って同意したんですけど、発表するギリギリまで、納得していなかったメンバーやスタッフもいたほどです(笑)。

ヤマサキ 初めて僕が、独断で決めました。それくらい悩んでたんです。でも今は、これを付けてめっちゃ良かったと思っています。話し合いをしすぎて、結果が良くなることはないですから。

ヨコタ 曲作りもそうで、あまり話し合いすぎると、クセがなくなって普通でつまらない曲になってしまいがちですよね。だからこのアルバムの曲は、あまり他人の意見が入っていないうちに作った、当初のイメージを大事にしてレコーディングしました。

――雑という意味ではなく、良い意味で“荒さ”が出ているわけですね。

ヤマサキ あらびきです。『あらびき団』っていう番組があったじゃないですか。

ヨコタ でも、まさしくそれ。『あらびき団』です。キュウソとして、もう一回深夜枠に戻れた感覚があります。もともと僕らは、深夜枠のようなバンドですから。

――ハリウッドザコシショウ的な(笑)。

ヨコタ ああ〜! あそこまでの粗さが出せているかは、分かりませんけど(笑)。

「メンヘラちゃん」の反響は想定済み

キュウソネコカミ

――「メンヘラちゃん」という曲は、サビがキャッチーでものすごく耳に残りますね。曲としてはめちゃめちゃ良いのですが、すでに物議を(笑)?

ヤマサキ この曲は、アルバムのリリースより前にMVを公開しているのですが、すでにいろいろな反響があって…。

ヨコタ 前に「サブカル女子」という曲を出したときと、反応が似ていますね。「これはメンヘラじゃない。こんなのはファッション・メンヘラです!」とか言われています。この曲はあくまでも「メンヘラ」ではなく、「メンヘラちゃん」なんですけど、なぜ「ちゃん」を付けたのか、意図をなかなか分かってもらえてなくて。

ヤマサキ でもそういう反応は、キュウソに関わる大人たちが最初から予測していたので、想定済みではあったんですけどね。でも一方で「こういう子いる!」「めっちゃ分かる!」という反響もあるのも事実です。

――BRAHMANのTOSHI-LOWさんの名前をそのままタイトルにした「TOSHI-LOWさん」という曲も。接点がなかなか見つかりませんけど(笑)。

ヤマサキ これは、TOSHI-LOWさん本人からの言葉で、作れと(笑)。2マンとかもやったことはないんですけど、フェスのバックヤードで話す機会があってそのときに。

ヨコタ さっき出た「サブカル女子」の歌詞に細美武士さんが出てくるので、「細美が出てくる曲があるのに、俺の曲がないのはおかしいだろう?」って(笑)。まあ冗談で、そういう話をしていたことあがったんです。それからしばらくして、セイヤが間を取り持ってBRAHMANさんも出演することになったフェスがあって、せっかくの機会だから作ってこの日にお披露目しよう、と。

――TOSHI-LOWさんは、曲を聴いて何と?

ヤマサキ 最初は「おまえらな〜」って、しかめっ面をしながら、でもすごく笑ってくれました。

ヨコタ シャレの分かる方なので。許可を得るときも、「気を使わず本気で思い切りやってくれ」と、むしろ背中を押してもらいました。

ヤマサキ そういうことでもないと、「TOSHI-LOWさん」という曲を作ろうと思うバンドは、日本にいないですよ。みんなから「キュウソ死ぬ気なの?」って言われましたし(笑)。

ヨコタ でも難しかったですね。変にディスるのもあれだし、ただ賞賛するだけでも自分たちらしくないし。

――「ギラギラおじさん」は不倫がテーマの曲で、途中で演歌調になるっていう。

ヤマサキ ノリです!

――でしょうね(笑)。

ヨコタ 悪ふざけ(笑)。こういう曲作りが、キュウソの原点でもあります。

――演歌のところが、以外にしみますね。箱根、熱海、行くよね〜って。

ヤマサキ でも最近の不倫は、箱根とかには行かないらしいです。

ヨコタ ステレオタイプの、昭和の不倫ですよ。今は1周回って、箱根は若者が行くオシャレスポットなので。

――なるほど。箱根にしみるのは、オジさんの証拠なんですね(笑)

ヤマサキ そういうことです(笑)。

しょうもないアルバムが出来ました

キュウソネコカミ

――「TaiFu is coming to Town」なんかは、オルガンっぽいシンセも入ってて、すごくポップですね。

ヨコタ 最近の曲です。今年は本当に台風が多かった印象で、そういうことも作るきっかけになりました。

ヤマサキ スマホに思いついた曲のテーマをどんどんメモしているんですけど、メモを見ながら、そう言えば台風の曲はなかったなと思って。

 子どものころは台風が来ると、不謹慎にもワクワクするところがあって。学校が休みになるし停電したりとか非日常感があって、うれしかったんです。でも大人になると、めちゃめちゃ迷惑なものになっていて。そういう両面をうまく歌えたらと思いました。

ヨコタ 好きなバンドで、台風をモチーフにした曲があるんです。フジファブリックさんとか、くるりさんとか。だから、そういうバンドに対するオマージュも少し込めさせていただいているので、そこも含めて聴いてもらえたらうれしいです。

――曲の途中で急に晴れやかになるところがあって、そこがすごく良いですね。

ヨコタ そこは、台風の目です。

ヤマサキ 台風の目に入ったことあります?

――ないです。

ヤマサキ ヤバイですよ。巨大な台風だと目の境目がはっきりしていて、本当に急に晴れて風も止むんです。「え?何これ!」って。それを子どものころに経験したことがあって、それを音で表現してほしいとメンバーにお願いをしました。

ヨコタ 台風の目をバンドで表現するのは、だいぶ大変でした。こっちは台風の目なんか、入ったことがないですから(笑)。でもイメージは出来たので、上手くできたんじゃないかと思います。

――「俺は地球」という曲もあって。四つ打ちのダンスチューンですが、以前は安易な四つ打ちロックに対して否定的だったような気が。

ヨコタ まあ確かに(笑)。アレンジも最初の段階から、すごく変わりましたね。最終的に全部四つ打ちにするというシンプルな考えになったらスパッと出来たんですけど、こんなに時間がかかるなら、変に四つ打ちを否定するんじゃなかったなと思いました(笑)。でもこういう重い感じの四つ打ちは、他のバンドはもうやらなくなっていて、みんなが四つ打ちロックに飽きているところで、こういう曲を提示するのも面白いと思って。

――天邪鬼過ぎる(笑)。でも、どうして地球をテーマに?

ヤマサキ 僕だってたまには平和とか歌いたいんですよ。NO WARとか(笑)。みんなだって平和が良いと思っているのに、僕がそれを歌うと「ウワ〜」って引かれてしまうんですよね。

――キャラじゃないぞと。

ヤマサキ そう。そこで、上手いやり方はないかと考えた結果、「自分が地球になれば良いんだ!」と思いついた。自分の言いたいことを、地球に言わせれば良いんだと。

ヨコタ 地球はそんなこと言っていないなんて言う人は、誰もいないでしょう(笑)。それにこういうテーマって、音楽を介して耳にするとスッと入ってきます。それが音楽の良さでもあるし。

――あと、「サクランボウイ」という曲もあって。これは童貞賛歌みたいな?

ヤマサキ いえいえ、逆に少子化問題を憂いています(笑)。「ギラギラおじさん」もどちらかと言ったら、性欲旺盛なおじさんの歌で、不倫のことは置いといても、少子化問題のためには草食男子よりも頑張っているわけです。

 それに今は、スマホやネットでエロいものがすぐ手に入りますよね。昔のように、親が寝静まってからドキドキして深夜番組を見るようなこともなくなったし、エロ本も見かけない。そういう意味では、見る側に生々しく働きかけるエロが減ったと思うんです。

ヨコタ 手軽に見られるから、自分とはかけ離れた世界に思えるんですよね。

――昔は通学路の橋の下に、エロ本がたくさん落ちていましたよ。

ヨコタ 公園の脇に落ちていたりしていました(笑)。

ヤマサキ そういうのは、トラックの運転手が投げ捨てたるらしいですよ。

ヨコタ 自分たちも、そういうちゃんとした大人にならないといけないな(笑)! ツアーで、一カ所一冊ずつ捨てていこうか。

ヤマサキ それで、「機材車の窓からエロ本投げ捨てていた!」って、SNSであっと言う間に拡散される(笑)。

――しょうもない話だ。

ヨコタ そうそう。そういうしょうもないアルバムが出来ました(笑)。

ヤマサキ そのくらいのテンションで聴いてほしいです(笑)。

(おわり)

作品情報

キュウソネコカミ
ニューアルバム『にゅ~うぇいぶ』
12月6日発売
初回限定盤(CD+DVD)3500円(税抜)VIZL-1263
通常盤(CD)2800円(税込)VICL-64880

▽CD収録内容

1.5RATS
2.サギグラファー
3.メンヘラちゃん
4.TOSHI-LOWさん
5.☆断捨離☆
6.自由恋愛の果てに
7.NO MORE 劣化実写化
8.ギラギラおじさん
9.冬幻狂
10.邪邪邪 VS ジャスティス
11.TaiFu is coming to Town
12.俺は地球
13.サクランボウイ
14.わかってんだよ

▽初回限定盤DVD収録内容
●キュウソネコカミ×マグロック2017
1.ファントムヴァイブレーション
2.KMTR645
3.NO MORE 劣化実写化
4.家
5.DQNなりたい、40代で死にたい
6.何も無い休日
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった
●おまけ(恒例本気リハーサル)
1.TOSHI-LOWさん

ライブ情報

▽DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018 –Despair Makes Cowards Courageous-

3月2日 北海道 Zepp Sapporo
3月4日 宮城県 チームスマイル・仙台PIT
3月8日 福岡県 DRUM LOGOS
3月10日 熊本県 熊本B.9 V1
3月11日 鹿児島県 CAPARVO HALL
3月15日 新潟県 NIIGATA LOTS
3月17日 富山県 MAIRO
3月21日 広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
3月24日 香川県 高松festhalle
3月29日 愛知県 Zepp Nagoya
4月5日 東京都 新木場STUDIO COAST
4月6日 東京都 Zepp DiverCity TOKYO
4月14日 兵庫県 神戸 ワールド記念ホール
4月21日 台湾 台北WALL

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