DOBERMAN INFINITYのMCとして活躍するSWAYが11月1日に、ソロデビューシングル「MANZANA」をリリース。DOBERMAN INFINITYやHONEST BOYZ(R)など、これまで彼はある程度表現したいものを自分なりに表現してきたという。ソロ活動では「SWAYをプロデュースしてもらうというプロジェクトにしたい」と話し、EXILE、EXILE THE SECONDのボーカル兼パフォーマーのSHOKICHIが歌詞を担当するなど、彼がリスペクトするクリエイターが集まって完成させた作品となった。SWAYは「面白いエンターテインメントをヒップホップを通してできたら」とソロデビューでこれからの活動にも意気込む。デビュー作、これからの活動についてSWAYに話を聞いた。【取材=桂泉晴名/撮影=片山 拓】

SWAYとして新しいステージに進む

――ソロデビューという、このタイミングに新たな夢に向かう理由は?

SWAY(撮影=片山 拓)

SWAY(撮影=片山 拓)

 もともとラップを始めたのは16歳のときです。SWAYと名乗り、すすきの(北海道)のクラブでライブをやるようになりました。そうやってSWAYというブランドを持って人生を歩む中で、SWAYをどれだけハイブランドにできるかが目標であり、1つの勝負だと思ったんです。

 昨年30歳を迎え、DOBERMAN INFINITYとしても3年やらせていただいているのですが、自分の人生でグループとして活動することだけがSWAYとしてのゴールではないかな、とは考えていて。自分の中では30歳のときに目標の1つとして「SWAYソロ」がありました。ただ今回、ヒップホップの名門である「Def Jam Recordings」という夢のステージでやらせてもらうきっかけとなったのは、AK-69さんなんです。

 9月13日にDOBERMAN INFINITYとAK-69さんのコラボシングルで、「Shatter」という曲をリリースしたのですが、去年の夏ぐらいにそのコラボのお話をしているとき、余談でAKさんから「SWAYはソロやらないの?」という話を振ってくださったんです。それで「実はSWAYソロはやりたくて。30にもなったので、改めて本気で考えているんです」という話をしたら、AKさんは「俺もDef Jam Recordingsと契約したし、SWAYもそういうステージでできたらおもしろいよね」とちらっと話をされて。「そうか。Def Jam Recordingsも夢のまた夢だと思ったけれども、AKさんが日本に持ってきて下さったんだ」と思い、そこにまた魅力を感じまして。

 それで東京に戻ってSWAYソロの企画書を作り、「人生つねに挑戦者でありたい」というのと「SWAYのソロをやりたい。そして、そのSWAYのソロをDef Jam Recordingsのステージでやらせて欲しい」と書いて、HIROさんにプレゼンさせてもらったのが、このプロジェクトが叶うきっかけになりました。

――AKさんの誘いがあったからこそ具現化したのですね。

 夢を立てたものの、これをどう実現できるんだろうと常に考えていたので。でもDef Jam Recordingsが決まれば、全部いけるとなって。そのイメージができたことは、大きかったですね。

――やりたいことは言葉に出すものですね。

 言霊になりますね。絶対に。

――ソロの初作品をどういうものにするか、方向性についてはどのように決めていかれたのですか?

 逆にプレッシャーとか悩みはなくて。僕はDOBERMAN INFINITYがあり、VERBALさん、NIGOさん、NAOTOさん、MANDYくんというメンバーのHONEST BOYZ(R)というグループもあり、HiGH&LOWプロジェクトで、ELLYやANARCHYくんと一緒に楽曲制作もやっているので、自分のやりたいことは割とやれているんです。逆にSWAYソロをやるときは、結構引き算でした。「これはやったし、これもやったし。ここでやっていないものは、どれかな?」みたいな。

 なおかつ、グループとしてなかなか切れないハンドルも、個人だったらもっと細かく切れるだろうし。SWAYだからこそできるヒップホップは何かと考えたときに、方向性を決めるのはすごく早かったですね。そして、今回Def Jam Recordingsという看板もありますけれど、何よりもそこに集まったスタッフのヒップホップの知識と実績、さらにSWAYというものに対してすごく理解してくださって、見ているビジョンのレベルがすごく高かったんです。自分の感覚とDef Jam Recordingsクルーの皆さんの感覚は遠いものではなかったですし。Def Jam Recordingsサイドからの「最近のトレンドも絶対に入れたい」という要望も「ぜひやりましょう」という感じでした。意思の合致は速攻でしたね。

――タイトル曲「MANZANA」は、それこそ今のトレンドを意識したサウンドのナンバーですね。

 ラテン系とか、レゲトンといったものは候補に挙がって。そういうトピックスがある中で、いろいろな方に楽曲を作って頂きました。それで巡り合えたのが、この「MANZANA」という曲です。もともと歌詞の内容は、もう少しリンゴと女性に特化したものだったのですが、“MANZANA”という言葉はスペイン語で“リンゴ”という意味だと聞いたときに、これからSWAYとしてスタートする上で、おもしろいストーリーになりそうだと思って。そこからまた、作家さんと僕とスタッフで集まって、このリンゴをさらにおもしろい方向に持っていけないかを考えて。

 今回の、黒いリンゴ(MVでSWAYが手に持つ)みたいな。さらにDef Jam Recordingsというリンゴがあって、それをかじって、DOBERMAN INFINITYという枠を超えて、SWAYとしての新しいステージに進むというシナリオができあがりました。

――ラテン系の音楽を表現する上で、こだわったことなどありますか。

 今回、全曲作家さんを立てて楽曲を作っているのですが、ストーリーやプロットは全部自分で書いて。そういうスクリプトは全部自分で作ってやったんです。その中で「MANZANA」に関して「絶対お願いします」と言ったのは、ブリッジのラップの部分でした。“Tiempo”とか“Corriendo”とか、全部スパニッシュで韻を踏むのはマスト。やるなら、とことんこだわりたいという思いがあって。サビの“Fire”の部分もスペイン語にしたかったのですが、今度は分からなくなりすぎるので、そこは英語にしました。でも「このラップだけは、スペイン語にこだわって韻を踏みたい」というのは、あらかじめ決めた部分です。

――ちなみにSWAYさんはスペインというと、どんなことを思い出しますか?

 この曲にはまったく生きていないんですけれども、僕はスペインやメキシコとは昔から関連があるんですよ。19歳のときにカナダのトロントに住んでいて、最初に仲良くなった外国人がスペイン人なんです。マリオという1つ年上、スポーツ万能の超イケメンで。その人がいたので、話すのは抵抗がなくなったというのと、1年近くメキシコ人8人と一緒に住んでいたんですよ。

 サルサソースが常にキッチンのところにあったり。毎日ハウスパーティーみたいな、にぎやかな家で時を過ごしたんです。だから、ラテン文化にもあまり抵抗がないですね。といって、この曲には生きていないですけれど(笑)。

――「MANZANA」のMVではセクシーな場面も登場しますね。

 僕はスニーカーが大好きなんです。全コーディネート裸足という、最高のスニーカーで挑ませていただきました(笑)。

――ダンスも入っていますね。

 もともとヒップホップに出会ったのは、音楽面でいうとダンスが先なんです。今回、昔からの知り合いで、すごくリスペクトしているアーティストのMABUくんに振付をお願いしました。彼に曲を聴いてもらって、歌詞を送り、それで作ってもらったのがサビの部分なんです。音サビに関しては、MABUくんが考えてくれたものと、バッテンするところなどは、実際にスタジオに入って2人で練り直して。

 リンゴをつかむ部分は、もともとMABUくんの方から「こういうのはどうですか?」といった提案がありました。自分も“リンゴダンス”というのは求めていて。しかも初めてみたときに、ある程度踊れるくらいのシンプルさは絶対に欲しいと考えていました。

――観ている人も一緒に踊れるような?

 それはマストでした。あと、あまり難しくしたくはなかったんです。やはりラッパーSWAYでもいたかったので。その中でも、自分がダンスもルーツにあるから、実際にやるのはこの機会にいいかな、と思って。音サビのダンスは、ぜひ皆さんと一緒に踊りたいですね。

「一緒にやる」夢がようやく叶った

――次の「Lullaby」は非常にスイートなラブソングです。

SWAY(撮影=片山 拓)

SWAY(撮影=片山 拓)

 もともとこの曲を作ってくれたSUNNY BOYは、札幌でやっているときから電話友だちだったんです。彼は同い年で大阪生まれハワイ育ちという、なかなかスペシャルなステータスの持ち主で。スーツケースひとつで東京に出てきて、まだアーティストも手掛けられずにくすぶっていて、僕もそういう状態のときにSUNNYといつも電話して。「いつか一緒にやりたいね」みたいな話をずっとしていたんです。それで今回、ようやく夢が叶った制作でした。SUNNYとは一緒にDOBERMAN INFINITYの楽曲で「GA GA SUMMER」という曲で一緒にやらせてもらっていて。

 そのときもSUNNYとの楽曲はすごく相性が良かったんです。それを感じていたから「一緒にスタジオ入っちゃおうか」と言って作ったのが「Lullaby」。最初は歌詞もない中、“ラ”だけでメロディを作って。でもそれが“Lullaby”と聴こえたんですよ。

 「それ、Lullabyっぽいね。でもLullabyは、少し昭和的かな?」みたいな。だけどそれがすごくいいな、と思って。「これは逆にかっこいいワードよりも、ちょっとくさい言い方のほうが、うまい方向に持っていけたときに気持ちいいよね」となって。それで「Lullaby」にしたんです。Lullabyは子守歌という意味ですけれど、自分の過去の恋愛やいろいろなことを見つめ直したときに、女の人と長くいればいるほど、その人の優しさだったり、声や仕草、空気も子守歌のように癒しになるのかなと思って。

 実際なっていたというのもありましたし。そういうものを曲にしたらすごく素敵な作品にならないかなと。彼女とは別れてしまうのですが、別れていなくなってしまった時に、はじめて彼女の優しさが子守歌だったことに気づくというか。今は聴こえないかもしれないけれど、逆に今度は俺が「ありがとう」という意味で、子守歌を歌うよ、という曲にしたかったんです。

 それを物語として書いて、ラッパーのSALUくんに作詞をお願いしました。SALUくんとこの曲はすごくマッチした感じがあって。「ありがとう」というくらいパーフェクトな歌詞が届きましたね。

――余白のある感じがいいですよね。

 そうなんですよ。SALUくんの世界観が曲に合っているし、それに今回、自分が歌わせてもらうというのは、また一つ勉強にもなったので。すごくよかったです。

――3曲目の「La Vida Loca」の舞台は東京ですよね?

 はい。この曲のテーマは東京の友だちのことです。地元の友だちは小学校や中学校が一緒だったりして、必ずどこかでみんな繋がっている。しかも、気を張る必要もなく、気楽にいられる。でも東京の友だちは、結構みんな気が張っているんですよ。もともと東京出身の人もいるけれども、東京出身ではない友だちの方が多い中、僕みたいにSWAYという名前でクラブで遊ぶと、一歩外出たら「SWAYって本名は何?」とわからない人が多いじゃないですか。

 たとえば今回「La Vida Loca」のリリックを書いてくれたStaxx Tくんも大阪出身の同い年なんですけど、Staxx Tという名前は知っているけど、彼の本名を知らないし、彼がどういう人生を歩んできたのかまだ聞いていない。でも、向こうからみれば僕もそうで。それが東京の友だちなのかな、と思うんです。だけど一夜でも一緒にお酒を飲んで、「俺、こういう夢あって」「そうなんだ。俺もだよ」みたいな、そういった一言で一気に壁が壊れて、すごく仲良くなれることもある。なにかそれが東京の友だちかな、と。

――みんな孤独を抱えている中での出会いのような。

 みんな寂しいのだけど、みんな戦っているから。自分の弱いところは見せないし。でも、打ち解けられたときに甘えられるし、ずっと会わなくてもSNSがあって、「あいつCD出したんだ。頑張っているんじゃん」みたいな。人の成功に対して、友だちだからこそ喜べるというか。でもそこに対して、別にアクションを起こすわけでもなくて。「あ、そういえばおめでとう」くらいクールなのが東京の友だちなのかなと。東京って“冷たく熱い”んですよね。「La Vida Loca」はそういった友だちと遊んでいるときに、クラブなどで女の子に軽く「俺らこんな人生なんだけれど。飲もうよ」みたいに誘うナンバーです。

ヒップホップを通し新しいエンターテインメントを

――ラストの「Acting Myself」は静かな情熱を秘めた曲ですね。

SWAY(撮影=片山 拓)

SWAY(撮影=片山 拓)

 この曲は当初SUNNYにお願いする考えではなかったのですが、でも「Lullaby」の完成度が高かったのと、自分の中でまた1つ新しい扉を開けてもらえたという思いがあったので、「もう1つもSUNNYにお願いしたいな」と思って。もともと「Acting Myself」というタイトルだけはつけようと考えていました。自分は16歳のときからずっとヒップホップという、職業にもならないものをやっていて。親からみても「あんた、ヒップホップというけれど、それでやっていけるの?」という心配されていたし、親戚の集まりに行けば、「YO! でしょ」みたいに言われていて。

 でも、それを笑いでごまかして、自分自身を守っている自分がいた。一方で全然お客さんがいない中で、ライブはしなきゃいけない。常に自分の中に、もう1人の自分がいて。この人生、ずっと自分が自分を演じてきていたな、と思って。だからこそ“Acting Myself”をテーマにした曲を作りたかったんです。それをSUNNYにそのまま話をしたら、「SWAYを10代から知ってくれている人といったら、SHOKICHI(EXILE、EXILE THE SECONDのボーカル兼パフォーマー)くんなんじゃない?」とアドバイスしてくれて、それで歌詞をSHOKICHIにお願いしよう、となったんですよ。

 やはり10代の時から一緒にSHOKICHIと音楽をやらせてもらって、自分の色々なものを見てくれているし、この場に導いてくれたのもSHOKICHIだし。そういう部分でSHOKICHIに改めて自分を見てもらって、自分の歌詞を書いてもらうのはすごいことで。ラップの部分はSHOKICHIの歌詞を見てから、自分で書きました。でき上がってから、また特別な、大切な1曲になったと思います。

 サビの<曖昧な空 けどキミは飛べそうかい?>というのは、常に明日の自分に歌えるかな、と思っています。お金がなくて、それでもライブをして「いつになったらプロになれるんだろう?」と思っていた時の自分にも言えるし。さらにDef Jam Recordingsという夢のステージには立てたけれども、あくまでもスタートラインであって、ここから常に空は曖昧で、「このスタートをお前はうまく飛べるか?」と聞いてくれている気がして。でも、そのあとに<一度きりの人生だぞ>と。だったらやるしかないよね、と思いながら歌っています。

――4曲集まると、SWAYさんの多面的な部分が浮き上がってきますね。

 SWAYソロは全曲SWAYプロデュースではなく、自分がリスペクトしている人たちにお願いして、SWAYをプロデュースしてもらうというプロジェクトにしたいんですよ。たぶん、これが人生で初めてのアルバムだったら、自分で全部やっていたんですけど、DOBERMAN INFINITYやHONEST BOYZ(R)もあり、いろいろな場所で自分がしたい表現はやらせてもらったので。

 逆に今のアメリカのヒップホップシーンだと、リリックを他の人が書くのも、すごく当たり前になっていて、そういうのも面白そうだなと。自分だったら、絶対こうやらないというものも、やってみると「あ、こうなるんだ」と勉強になりますし。たとえば「Staxx-Tくんだったら、どういう風なラップ作るんだろうな」とか、そういう興味があって。今回のこの4曲も「すごい! なるほど」ということが多かったので、非常に面白かったです。

――ご自身のやりたいことは他でやっているからこそ、逆のアプローチができるのですね。

 「プロの方と一緒に仕事をしたい」という感覚の方が大きかったんですよ。

――ソロプロジェクトで今後どんなことに挑戦していきたいですか?

 LDHに入って6年目となり、しかも、その最初のほとんどは劇団EXILEという役者としての活動でした。この役者という武器は、SWAYプロジェクトで生かしてみたいという思いもあって。だから、自分が書いたストーリーをもっと形にしてくださる方々と一緒に作り、その作品を今度は役者としてどういうふうに吐き出せるか。音楽とそういう部分の融合を創れたらいいな、という企みはあります。これからも面白いエンターテインメントを、ヒップホップを通してできたらいいな、と思っています。