新世代ネオ・ソウルサウンドを担い、秀逸なグルーヴを秘めた新鋭バンドのRAMMELLSが、12月6日リリースのアルバム『Authentic』でメジャーデビューする。黒田秋子(Vo、Key)、真田 徹(Gt)、村山 努(Ba)ら3人のメンバーに、2016年に彦坂 玄(Dr)を迎え4人体制となりライブ活動を本格的にスタート。ブラックミュージックを基調としたグルーヴ感溢れるサウンドのRAMMELLSは、メンバー全員がソングライティングを担当、音大出身という音楽的基礎体力、演奏スキルの高さも売り。結成から僅か2年余りにも関わらず、先鋭的なリスナーから特に注目を集めている。メジャー第1弾『Authentic』のリリースにあたり、RAMMELLSの音楽的系譜、グルーヴの正体、メンバーの機材など、サウンド面に特化したインタビューをおこなった。【取材=平吉賢治/撮影=村上順一】

RAMMELLSの結成・キャリア

「Authentic」ジャケ写

――RAMMELLS結成のいきさつは?

真田徹 2年前の夏、SuchmosのYONCEらと組んでいたOLD JOEが解散して、黒田を誘ったんです。そこから8カ月くらい経って、今のメンバーになりました。最初はサポートで色んな人を呼んでやっていました。

――ドラムの彦坂玄さんは最後に加入したメンバーですね。これはどういった経緯でしょうか?

真田徹 村山君の知り合いだったみたいで、ある日、連れて来てくれたんです。

彦坂玄 僕はこの3人とは違う学校だったんです。村山さんとは1回ライブをしたくらいで、真田と黒田の2人とは面識がありませんでした。最初はサポートで参加していたんです。

――みなさんは音大出身?

彦坂玄 そうです。僕と真田がジャズ科で、村山はポピュラー音楽科です。

――ポピュラー音楽科ではどういったことを学ぶのでしょうか?

村山努 音楽理論の勉強もしますし、楽器のレッスンもあって、最低限のピアノのレッスンもあります。打ち込みの授業もありました。英語の科目もあるんです。

――英語の科目もあるのですね。

真田徹 大学なので、英語は必修らしいんです。ジャズ科でもそうでした。

――みなさんの楽器のキャリアについてお伺いします。

真田徹 僕は14歳の頃にギターを始めました。サッカー少年だったのですが、クラスの友達とギターをやろうという話になって、YAMAHAの無料体験レッスンに行ったんです。当時Mr.Childrenさんが好きでアコースティックギターを弾いて歌いたかったのですが、体験レッスンに行ったらエレキギターだったんです。「いや、エレキじゃん!」って(笑)。

――ご友人はエレキを弾くつもりで真田さんを誘ったんですね。

真田徹 そう。「アコギでしょ!」ということで、そこからギターを始めました。

黒田秋子 私は4歳の頃からクラシックのピアノを習っていたんです。その後も音大のボーカル科でピアノもやったりしましたが、ちゃんとやり始めたのはRAMMELLSを組んでからです。

村山努 僕は高校1年生からベースをやっています。軽音楽部に入ったのと同時くらいでした。当時はASIAN KUNG-FU GENERATIONさんなどのJ-ROCKをやっていました。

彦坂玄 僕は中学2年生くらいからでした。僕もASIAN KUNG-FU GENERATIONさんやBUMP OF CHICKENさんの世代だったので、そういう音楽を聴いたりしていました。ドラムを始めたきっかけは、もともとRIP SLYMEさんが凄く好きで、ライブビデオを観ていたら、コラボしているドラマーが叩くフィルインが抜かれるカットがあったんです。それを観て、カッコいいなと思って始めました。後は、文化祭で先輩がドラムを叩いているのを見て始めようと思った、というのもあります。

RAMMELLSのルーツ・ミュージック

黒田秋子

――RAMMELLSのサウンドは一貫性がありながらも、みなさんの音楽の好みはそれぞれ異なるそうですね。影響を受けた音楽は?

彦坂玄 ドラマーとしては玉田豊夢さんが好きです。スタジオミュージシャンとして斉藤和義さんなど、多方面で活躍している方なんです。影響を受けた人といったら、玉田豊夢さんです。

――音楽の種類的には?

彦坂玄 ネオ・ソウルや、新しめのブラックミュージックなどです。

――90年代あたりからのソウルでしょうか?

彦坂玄 そうですね。エリカ・バドゥ(米ミュージシャン)やジル・スコット(米ソウル歌手)など、その辺りですね。

村山努 僕はソウルミュージックなどを大学に入ったあたりから聴き始めて、それまではJ-POPや海外のメタルなどを聴いていました。Dream Theater(米プログレッシブ・メタルバンド)などちょっとプログレ寄りなものから、メタリカ(米ヘヴィメタル・バンド)やモトリー・クルー(米ヘヴィメタル・バンド)なども。ソウルやHIP HOPなども聴くのですが、年数的にはメタルなどの方が聴いていた時期が長いんです。最近はジャズ寄りのHIP HOPをよく聴いています。ロバート・グラスパー(米ジャズピアニスト)とかケンドリック・ラマー(米ラッパー)、サンダーキャット(米ミュージシャン、ベーシスト)も。

黒田秋子 私は、小さい頃からずっと好きなのが『メリー・ポピンズ』の映画音楽で、最終的にはああいう音楽を自分も作れたらなと今も思うんです。小中学校ではJ-POP、最初に買ったCDはthe brilliant greenさんでした。椎名林檎さんも聴いたりしていました。メロディが残る音楽が好きです。曲を作るときもメロディが印象に残るか、残らないかという点を大事にしています。

――真田さんは作品から多彩なギタープレイが印象的ですが、どういった音楽を聴いていますか?

真田徹 ギターのことで絞ったら、ギターを始めた頃はエリック・クラプトンとVAN HALEN(米ハードロックバンド)が大好きでした。10代後半くらいから古いソウルやファンクを聴きました。コーネル・デュプリー(米ギタリスト)とか、クリーンサウンドのギターカッティングがカッコいい人などですね。

――真田さんのカッティングは凄く凝っていますよね。

真田徹 いやいや(笑)。コーネル・デュプリーみたいに、ギターソロを弾かなくてもカッコいい人というのが一番好きだった期間が長いんです。ウィルコ(米ロックバンド)のギタリスト、ネルス・クラインとか、エスペランサ・スポルディングの作品でもフィーチャーされていたギタリストのマシュー・スティーブンスなどの、バンドサウンドに対して変なことというか、「ちょっと合っていないんじゃないか?」というサウンドが出せる人にハマっています。

RAMMELLSのこだわり機材

真田徹

――機材にもこだわっているんですか。

黒田秋子 私はRolandのJUNOシンセサイザーを使っています。結成時からずっと使っています。

――JUNOシリーズはいいですよね。

黒田秋子 「新しいのを買え」って、さっきも言われたんですけどね(笑)。あとはTC HELICONのVoiceLive Touch 2で、ライブではエフェクトをかけたりします。

――今作『Authentic』でもダブのようなボーカルエフェクトが聴けますが、ライブではリアルタイムでエフェクトをかけるんですね。

黒田秋子 そうなんです。アルバムでは後から処理したんですけど、ライブではリアルタイムでやるんです。

――シンセサイザーはエレピやローズの音色が多く使われていますね。

黒田秋子 基本的にエレピの音色が多いです。PCで繋いで音を出したりもします。

村山努 MIDIで繋げて別の音源を使って録音をしたりもしました。

――真田さんのメインギターは何でしょうか?

真田徹 1962年製のジャズマスターです。録音では借り物の1966年製のジャガーと、パチもののフライングVも使っています。

――パチもの(偽物)というと、メーカーが謎のフライングVでしょうか?

真田徹 そうですね。少なくともギブソン製ではないという。でも中身は全部ギブソンの部品、みたいな(笑)。凄く良い音がするんです。アルバムでは「AMY」、「HERO」のバッキングで使用しました。

――ベースも何本か使い分けたのでしょうか?

村山努 今回は一本だけで、Nash Guitarsのプレジションベースを使いました。音もほとんど変えていないんです。所々オクターヴァー(*オクターヴ音を加えるエフェクト)をかけたりしているくらいです。

――レコーディングでのドラムセットはどのような感じでしたか?

彦坂玄 自分のものを持ち込んで録りました。シンバルは一つのメーカーのもので揃えるということはせずに、色んなものを使うんです。Premierというイングランドのメーカーのシンバルなどです。

――9曲目「HERO」はアレンジ・プロデュースを元ミュート・ビート、MELONのドラマーである屋敷豪太さんが手がけていますが、屋敷豪太さんからドラマーとしてアドバイスを受けたりもしましたか?

彦坂玄 そうですね。僕はすぐにシンバルやフィルを入れたりするんです。「HERO」では最初そうしていたら、「シンバルが多い」、「そこでフィルを入れないでみよう」など、グルーヴに徹するという感じのディレクションをしてもらいました。それでやったらメチャクチャ難しくて…。

――手数が少ない方が逆に難しかったりしますね。

彦坂玄 そうですね。リズム、ビートに対してゲシュタルト崩壊しました(笑)。ずっとループ、みたいな感じが一番難しくて。

RAMMELLSのグルーヴの正体

村山努

――その部分に徹した、ということからも窺えますが、今作はミドルテンポの楽曲が多い中で、聴いていて自然と身体が動く“グルーヴ”を特に感じました。今作ではグルーヴ面にはこだわりましたか?

彦坂玄 こう、村山さんの顔色をうかがいながら(笑)。

――村山さんのベースプレイは静かに攻めている感じですよね。

村山努 4人なので、ベースがシンプル過ぎても、ちょっとつまらないかなと思って、メロディをなぞったり、そういった点も意識しつつもグルーヴを崩さないように、という点は意識しました。

――グルーヴとアンサンブルのバランスについて、真田さんはどのような解釈でしょうか?

真田徹 グルーヴに関しては3人にやってもらって、それをできるだけ僕が壊す、みたいな(笑)。どの曲も1カ所くらいずつギターがうるさい所を作っているんです。

彦坂玄 キックとベースの位置を合わせているような曲でも、カッティングがまた別のリズムアプローチだったりするのが面白いよね。

真田徹 ドラムとベースがあって、その上に自分が一番カッコいいと思うカッティングを入れると、ああなるんだよね。

彦坂玄 ドラムとベースのパターンに合わせ過ぎて、みんな一緒になっても面白くないので、そっちの方が面白いんです。ライブでは難しいですが。16ビートという点ではみんな一緒なんですけど、アクセントの位置が違うので、難しいと思いつつも面白いんです。

――ミックス面という部分もありますが、各パートがしっかりと分離して、それぞれの楽器のプレイがくっきりと聴こえます。各楽器のPAN(ステレオの左右の振り幅の位置)の振り分けをダイナミックにするには、演奏がしっかりしていないとズレて聴こえてしまいますよね。その点でRAMMELLSの演奏は巧みだと感じました。

村山努 エンジニアさんがそういうミックスを勧めてくれたんです。演奏がちゃんとできるから、音が分離したミックスにしたい、ということを言っていまして。

――各パートがしっかりとプレイをしているということからの判断なのでしょうね。

彦坂玄 裸にされている感もありました。大丈夫かなと(笑)。

アルバム『Authentic』解説

彦坂玄

――「image」は黒田さんが作詞作曲で、黒田さんは全曲で楽曲制作に関わっていますね。

黒田秋子 そうですね。メロディを作ることが多いんです。

――RAMMELLSはメンバーみなさんが作詞作曲をされますが、各々どのように曲を持ち寄るのでしょうか?

彦坂玄 黒田さんは弾き語りで持ってきて、他の3人は各トラックを作って持ってきます。

黒田秋子 弾き語りはアコギだったりピアノだったりです。

――2曲目「2way traffic」は作曲が「RAMMELLS」名義となっていますね。

彦坂玄 そうです。これはジャムセッションで作った楽曲です。最初はドラムパターンが全然違うもので、ポストロックぽい複雑なものだったんです。そこからみんなで合わせたんですけど、だんだんそのドラムパターンが鬱陶しくなってきたので、ドラムはシンプルな感じにして…という流れでした。ひたすらビートを叩いて、ベースラインやギターリフが出てきて、最後にメロディを付けてという感じです。そういう作り方は今までしてこなかったんです。

――「2way traffic」の印象的なギターリフはジャムから生まれたのですね。3曲目「swim」はミドルテンポのグルーヴが特に映えていると感じました。この曲はどのようにして生まれましたか?

黒田秋子 これはテツ(真田徹)が最初にトラックを持ってきて、そこに私がメロディを付けました。この曲はけっこう出来上がったデモを、テツ(真田)が持ってきたんです。

村山努 ほとんどそのまま弾いた感じでした。

――5曲目「authentic」は村山さん作曲ですね。作曲はどのように進めるのでしょうか?

村山努 これは家でギターから作りました。リフやコードワークから作って、後からリズムパートを重ねていきました。アレンジは9割くらい自分で作った元のままでした。

――6曲目の「CHERRY」ではポップな雰囲気とメロディが聴けますね。

黒田秋子 この曲はテツがトラックを持ってきて、またそこに私がメロディを付けました。

――この曲に限ったことではありませんが、ストリングスなど、実際にバンドが演奏していないアレンジのアプローチが一切ありませんね。

村山努 入れることはできるんですけど、ライブで演奏するということを考えると…。

彦坂玄 ストリングスを入れるという発想はないですね。今は自分達で再現できる範囲で、という感じです。

――時折、ドラムのスネアの音数を抜いたりしていますが、このアプローチは?

彦坂玄 それは僕やりがちです。そういう感じに景色が変わる所がないとつまらないかなと思って、だいたいどの曲でもやっちゃいます。

――そこが凄く特徴的で、楽曲がより映えると感じました。ダンスミュージック的なアプローチですが、エレクトロミュージックはよく聴かれますか?

彦坂玄 最近ちょっと聴くくらいですけど、影響を受けているという程ではありません。ただ、ビートを変えないと一本調子になっちゃうなということで、パッと出てきたのがああいうのです(笑)。

――7曲目「AMY」は、歌詞やサウンドからちょっとダウナーでドラッギーな感情を受けますが、どういった心境で書かれた曲でしょうか?

黒田秋子 最初のブロックだけエイミー・ワインハウス(英シンガーソングライター)なんです。そこから場面が展開していくんです。

――「AMY」とは逆に、「daybreak」は明るく開けた印象を受けましたが、この楽曲をアルバムのラストに位置づけたのは何か意図があるように思えます。

黒田秋子 この曲は、私が寝ていて夢の中で“朝が広まった”というフレーズが出てきたんです。起きて、いい言葉だなと思って、そこからギターで弾き語ったんです。

――“朝が広まった”というワンフレーズが起点なのですね。

黒田秋子 そこから歌詞とメロディが一気に出てきたんです。アルバム全体を通して浮き沈みが激しいし、「良い日と悪い日」があっても、どんな日でもみんなに朝が来るということを最後に持ってきたかったんです。

――アルバム全体を通してのテーマは何でしょうか?

黒田秋子 その時々の気持ちしか歌詞にできないんですけど、自分の中や、周りの強さと弱さ、それらを自分でしっかり見ていられるように自分にも言い聞かせる、という点があります。

――人間的な揺らぎを表現している感じがあるのでしょうか?

黒田秋子 そうですね。

――RAMMELLSは、これからどのようなサウンドで展開して行きますか?

彦坂玄 まずはこれを通過して、また変わっていくのだろうなという予感があります。

真田徹 サウンドは常に新しいものに挑戦していきたいです。ギターもそうですし、全体的にもそうです。

――『Authentic』のジャケットのモチーフは?

真田徹 これは雲なんです。オレンジ色がメインという話になって、6種類くらいジャケットデザインの候補があったのですが、これが一番意味がわからなかったから(笑)。

黒田秋子 闇がある感じがRAMMELLSっぽいなって。アー写の私のシャツの色もオレンジで合わせています(笑)。

真田徹 自分がCDショップに行ったときに、知らないバンドだけどジャケ買いするようなジャケットが好きなんです。そういう点でもこれは良いんじゃないかと思いました。みなさんに是非聴いて欲しいと思います。

(終わり)

作品情報

RAMMELLS
Debut Album『Authentic』

CRCP-40537 2315円(税抜)

【収録曲】

01.image
02.2way traffic
03.swim
04.slow dance
05.authentic
06.CHERRY 
07.AMY
08.playground
09.HERO
10.daybreak

※All songs arranged by RAMMELLS
(expect.M-9 「HERO」屋敷豪太プロデュース)

イベント情報

<RAMMELLS、アルバム「Authentic」発売記念ミニライブ&特典会>

【開催日時】 2017年12月9日 13時スタート
【内容】ミニライブ&特典会
【場所】 タワーレコード福岡パルコ店

【開催日時】 2017年12月10日 19時30分スタート
【内容】ミニライブ&特典会
【場所】 タワーレコード池袋店 6Fイベントスペース

※イベント詳細はこちら:http://www.crownrecord.co.jp/artist/rammells/whats.html