女優・タレントの片瀬那奈が、映画『こいのわ 婚活クルージング』(11月18日公開)でヒロインを務める。

 『こいのわ 婚活クルージング』は、広島県の協力のもと「県が手掛ける結婚支援事業の場」という一つの機会を舞台に、社長を解任された65歳のバツイチ男性と、元キャンギャルで35歳の独身女性編集者が婚活に奮闘するうちに、互いの気持ちに気づき近づいていく様子を描くラブコメディー。監督は『DEATH NOTE デスノート the Last name』などを手掛けた金子修介氏。ヒロインを務める片瀬は、『DEATH NOTE デスノート the Last name』にも出演しており、再度の金子組参加となる。また、ヒロインの相手となる65歳のバツイチ男性を俳優の風間杜夫が演じ、さらに共演には八嶋智人、白石美帆、中山忍らが名を連ねる。

 本作の主題歌はシンガーソングライターの杏里が担当、映画に楽曲「Precious One~かけがえのないストーリー」を提供している。杏里が映画に楽曲を提供するのは、1999年の劇場版『天地無用!in Love2~遥かなる想い~』に提供した「LoveSong聞こえる」以来、18年ぶりとなる。

 近年プロ野球の広島東洋カープのリーグ躍進等、全国の中でも活気あふれる広島を舞台に、少し変わったラブストーリーを展開。“ミスター赤ヘル”の名で親しまれる、プロ野球解説者の山本浩二氏も出演している今作。観ていても何かほんわかとした笑いや感動に包まれるこの作品。

 今回は印象的なヒロインを務めた片瀬に、撮影のエピソードや役柄を務めた所感などを尋ねてみた。また、片瀬はシンガーとしてCDもリリースしており、近年でも各地の音楽フェスに足を運んでいるという大の音楽マニア。そんな片瀬に自身にとって音楽とは? 話を聞いた。

今は年上志向!許容範囲が広がりました(笑)

――今回の映画に関して、一番大きなテーマになる部分というのが、風間さんとの共演で披露される、年の差カップルによる恋愛の部分ですが、いかがでしょう? 風間さんみたいな方は、普通に憧れる感じでは?

 正直、映画の撮影が始まる前までは「多分お父さんみたいな感じなんだろうな」と思っていたんです。恋愛対象には、ならないだろうな、と。でも、撮影が進むにつれて、それは風間さんのパワーなのかはわからないのですが、イケるなと思うようになりました(笑)。年下や同世代にはない、年上の男性だからこそ出せるちょっと一枚上手な感じ。

 特に風間さんは優しくて、すごくお茶目で、モノマネなんかもしてくれて(笑)。すごく可愛らしい方で、私的には年齢の許容範囲がかなり広がりました(笑)

――では逆に役作りみたいなところをあまり意識する必要もなかった?

 そうですね。私は、普段からあまり役作りというのはしない方なのですが、今回は特に等身大に近いと思います。金子監督があて書き(出演者に当てて、脚本を書くこと)して下さったこともあり、限りなく私に近い役だと思います。脚本を読ませて頂いた時に、「うわっ、私っぽい」と思いました。

――金子監督は、演技の部分でこういう風なところはこうしてくれ、みたいなところは、それほどない感じで?

 それが、無いんですよ。金子さんはそういうことを全然しない。でもカメラ位置とか、撮り方の雰囲気で、お互い何を欲しているのかがわかったりするんです。だからお互い目を見ながら、それほど会話をせず「あ、さっきのほうが良かったんだな」「これはこっちに動いたほうがよさそうだな」とか、考えながら演じて、うまくいったという感じです。

――映像で女性を表現することに定評のある金子さん的なこだわりかもしれませんが、全編、ずっとミニスカートだったが印象的でしたね。

 それは完全に好みかと思いますね、金子さんの趣味趣向もあるかと(笑)。

――あの年齢(35歳)設定の女性で、ミニスカートが似合うのは片瀬さんしかいないのではないかと。広島という地方の場所柄的にも、ミニスカートの女性もあまり想像できない感じでもあったのですが…。

 図々しく履いていましたけど、言われてみれば確かにそうですよね。だから、せめてもの抵抗なんでしょう、ナギ(片瀬の劇中の役名)の。「私は足しかないぞ」と攻める感じで(笑)。

――テーマとしては恋愛的なところがあって、風間さんというお相手はいますが、一方では、劇団EXILEの町田啓太さん演じる若い男性もナギに気持ちを寄せる人物として登場します。片瀬さん的にはどちらがお好みでしょうか?

 今は、年上かな。もちろんどっちも来い! って感じですけど(笑)。やっぱり年上のは面白いというか、知っていることを教えてくれるし、知らないこともまた一緒に共有できるのが良いなと思います。いろいろな経験をされているので、大人として、先輩として安心感もあるし、その反面、大人だからこそ、はしゃいでいたりするところは面白かったり。大人でキャッキャしているのも、なんか素敵だと思いました。

 もちろん町田くんも素敵な人ですよ! イケメンだし、すごく良い人だし、優しくて。でもちょっとごめんなさい、今は風間さんが。年上のダンディーな人がいいなと(笑)。

街が活気づいていた広島

――広島という場所はいかがでしたか? 昔から何回か行かれたことのある場所ですか?

片瀬那奈

 はい、大好きな場所です。歌をやっていた時も、舞台をやっていた時も、よく来ました。フラワーフェスティバル(毎年ゴールデンウィークに広島の平和公園近辺でおこなわれるイベント)でも歌いましたし。あとは個人的に、熊野(筆の生産で有名な産地)はすごく好きなので、よく行きますね。

――そうでしたか、私は広島出身なので「広島を全面フィーチャー」というのはすごくビックリしました(笑)。

 はい、本当に全部広島です。普段行く観光地だとか、知っているところもあったけれど、こんな風に1カ月もの長い期間居たことはなかったので、今回の撮影では、普通の街並みの中で、ボーっとできる時間もありました。あとはちょうど広島東洋カープが優勝した時期だったので、すごい盛り上がりで、街中が真っ赤に染まって、すごく活気づいていて、楽しかったですね。

――その中で難しかったのは、広島弁ではなかったかと思うのですが、以前に何かの演技で?

 広島弁は、初めてでした。なので、難しかったですね。広島でも、場所によって感じが違う喋り方をされるんですよね。「そうじゃけえのう」とか、強い感じのするところがあったり、いろんな広島弁があって。私が今回喋ったのは、割と優しい感じというか、聴きやすい広島弁だったので、楽しかったです。私は東京出身なので方言にすごく憧れがあって、なんか可愛くていいな、って思います。

――女性が話す広島弁は、すごく可愛らしいと以前から思っていました。懐かしさもあったのですが、ああいった雰囲気を、片瀬さんを始め皆さんがすごく出されていて、良いなと思いました。

 そうでした? 良かったです。でも大丈夫だったかな?(笑)

――撮影の中で苦労されたエピソードはなかった?

 映画のポイントでもある船にたくさん乗ったことですかね。母の田舎がホタテを養殖しているので、よく漁船に乗っていたこともあって、船酔いはしなかったのですが、とにかく四六時中船に乗っていたので、なかなか地上に上がれなかったのが(笑)。でも、お芝居はすごくやりやすかったなという印象が強いです。

――片瀬さん的には、恋愛以外にもポイントがあると思われますか?

 そうですね…私は幼稚園、小学校、中学校、高校とバラバラで、その区でずっと同じ、幼馴染みたいな友人関係がなかったので、友達との関係が結構、途切れ途切れなんです。「小学校の時の友達」「中学校の時の友達」みたいに。だから、地元での集まりというのが本当に皆無で、映画の中で表現されている地元愛には思いを馳せました。

 やっぱり、めぐみちゃん(ナギの幼馴染で親友)とのシーンは、「あ~なんかそうだったね」「昔からあんたはこういう人も好きだよね、そうそう」「この時はこんなだったじゃん」みたいな会話を、ちょっと憧れの意味もありつつ、こういう友達やこういう地元があるっていいなと思いながら、演じていました。

――それは、広島という場所でやった意味が大きい感じがしますね。一方でなにかすごいゲストもおられましたね、元広島東洋カープの山本浩二さんも出てこられたり…。

 本当! 「ミスター赤ヘル」が出て下さって(笑)。ギリギリまでわからなかったんですよ、出られるか出られないか。でも私は会えませんでしたね。山本さんは単独のショットだったので、他の役者さんは誰もいなかったんですよ。金子さんズルい! 金子さんは超カープファンなんですよ。すっごくズルい!(笑)

――広島のマツダスタジアムの、大盛り上がりの中での観戦シーンなどもありましたが、それも金子さんの独断で決定された?

 多分一番盛り上がっていたのではないかと思います(笑)。嬉しそうでしたもん。ずっとカープの帽子をかぶって(笑)。可愛かったですね。スタッフさんにも結構広島ファンの方が多かったんです。

――片瀬さんとしては、場所としてはどこが一番印象的でしたか?

 やっぱりスタジアム。以前から行ってみたくて、念願が叶ったのですごく感動しました。

――映画の中でも、確かにここは見どころの一つともいえるところでもありましたしね。

 そうですね。あとはやっぱり宮島(厳島神社)が好きかな。撮影の合間に少し時間ができて、ちょうど宮島のフェリー乗り場の近くで撮影していたので、「みんなで宮島に行こう!」って。私はすごく眠くて、もう完全に電池が切れかけ寸前だったんですけど、そこで八嶋さんが「あ~じゃあ行こう!」って(笑)。で、宮島に行って。

 「寝たい!」って思いながらも、ここしか思い出を作れそうにないと思って、無理やり行ってきました。でも行ったらメチャクチャ楽しくて。はしゃいでいたら逆に元気になって、行って良かったなって思いましたね(笑)。みんなで、海辺でジャンプして写真を撮ったり、ちょうど潮が引いていて、鳥居の近くまで行って写真を撮ったり、修学旅行生みたいな気持ちで。

――では撮影もバカンスみたいな雰囲気で楽しそうな感じだったのでしょうね。

 本当にいろんな観光地に行けたので、旅行気分で撮影しているという感じがして。楽しかったですね。

音楽は生活の一部

――劇中では杏里さんの歌が主題歌に使われるなどのポイントもありますが、一方で片瀬さんは音楽マニアだというお話をうかがったことがあるのですが…『フジロック』にも毎年行かれているそうで。

片瀬那奈

 そうですね…多分マニアだと思います、相当(笑)。フジロックは初回の1回目だけ行けてないのですが、それ以降は皆勤賞です。フェスは十代のころから好きで、各地のフェスにも行っています、時には海外にも。

――そうでしたか。過去にはご自身でCDもリリースされたり、ライブもされていましたが、今もああいった活動は?

 今は全くしていないです。もともと自分で作っていましたし、音楽も好きなんで、打ち込みなんかもできるんです。趣味ではすごく好きなんですけど、当時はまさか自分が歌を歌うとは思っていませんでしたね。一生懸命自分では、ダンスミュージックをJ-POPに落とし込んだつもりではいるんですけど。

――片瀬さんのMVを拝見した際には、ここまで本格的にやられていたんだということがうかがえました。今後、音楽活動を再開される予定はないのでしょうか?

 また何か機会があればやってみたいですね。MONDO GROSSOの大沢(伸一)さんともお友達なので、“私はいつでも待っている”と(笑)。とりあえず、今のところ声はかかっていないんですけど…(笑)。

――片瀬さんにとって、音楽とはどんなものなのでしょうか?

 う~ん、どうでしょう…でも音探しが趣味で、絶対毎日何曲かはダウンロードしていて、一日平均20曲くらいは、なにか新しいものをゲットして、自分でつないで聴いてみたりするのが好きなんです。自分の体の一部、というとすごくアーティストっぽいですけど…この気持ちの時はこういう音楽を、と、全部自分で決めているので本当に生活の一部みたいなものですかね。

 聴くものも、割と踊れるものばかり聴きます。ただマニアとはいっても、ボサノバやジャズなんかは実はそれほどでもなく。好きな感じとそうでもない感じはすごく両極端だったりして、ボーっと聴くというよりは、「これはすごく踊れそうだな!?」とか、これはみんなで盛り上がれるな、といったものを探しています。

【取材=桂 伸也/撮影=片山 拓】

【へアメイク=面下伸一(FACCIA)/スタイリスト=大沼こずえ】