2020年・東京五輪の開幕まであと1000日となった28日、東京・日本橋三井ホールでは、JOC(日本オリンピック委員会)主催のコンサート『日本橋シティドレッシング meets オリンピックコンサート』がおこなわれた。このコンサートはJOCが、オリンピック精神を伝えていく活動の一環として毎年開催しているもので、今回は東京五輪まであと1000日を祝した特別編。1964年の東京五輪や、過去大会の名場面などが全6曲の演奏で彩られた。中盤には、アスリートによるトークコーナーも。盛り沢山の1時間となった。【取材=小池直也】

 演奏はまず「オリンピック・ファンファーレとテーマ」からスタート。梅田俊明氏が指揮をとるTHE ORCHESTRA JAPANによる壮大なファンファーレが鳴り響く。豪華なオーケストラの演奏に合わせて、陸上や体操、サッカーなど世界中でスポーツに親しむ人々がスクリーンに写し出されていった。最後は、綺麗なトランペットのアンサンブルで締め。

『日本橋シティドレッシング meets オリンピックコンサート』もよう

 司会の蒲田健氏がMCを担当し、続くは「序曲『謝肉祭』」。この曲では、冬季オリンピックの名場面をバックに音楽が展開される。弦楽隊が小さな音になる部分も繊細に表現されていた。今回はいわゆるクラシックのホールコンサートではないため、照明も効果的に使用され、雰囲気を醸し出す。

 3曲目は「糸」。前半はホルンが、2コーラス目からヴァイオリンがメロディを引き継いで展開していき、最終的に旋律のバトンがホルンに戻ってくるアレンジだ。スクリーンには、体操の内村航平選手と白井健三選手の競技中の様子や笑顔も。

 ここで『つなごう夢、2020へ』というテーマのもと、ウェイトリフティングの三宅宏実選手、スポーツクライミングの野口啓代選手と野中生萌選手が登壇するトークコーナーへ。

 ウェイトリフティングを始める前はピアノを習っていたという三宅選手は「演奏と映像のコラボは凄く良かったです。うるっときてしまいました」と感想を述べた。さらに野口選手は「初めて観て感動しました。試合前に音楽を聴くことはありますが、オーケストラを聴くのは初めてです」とし、野中選手は「クラシックはなかなか聞くことがないので感動して手が震えました」とそれぞれ述べた。

三宅宏実選手、野口啓代選手、野中生萌選手たち

 その後、東京五輪から種目入りしたスポーツクライミングについて野口選手と野中選手が熱弁。野中選手は「オリンピックは観るもので、出るものではなかったです。昔は同じ年の選手もいなかったので。今は変わりましたね」としみじみ。三宅選手は、リオデジャネイロオリンピックで銅メダルを獲得した時の思い出を「持っている最後の力を出せるのは、皆さんのご声援の力」と自身の経験を語り、「地元の皆さんや、会場から聴いた事のない歓声を頂いたので、それが原動力でした」と重ねてコメントした。

 「交響曲第9番『新世界より』第2楽章」で演奏再開。戦後の焼け跡の映像から、そこからの復興、1965年における東京五輪誘致決定の模様、実際のオリンピック、パラリンピックのモノクロ映像が映し出された。中盤からカラー映像になり、過去の大会が振り返られていく。歴史の重みを感じるひとときであった。これが1000日後、もう一度東京に来る、という感慨とドラマティックな演奏が共鳴し、会場を感動に包んだ。

 そして、中央区・プリエールジュニアコーラスの合唱を加えて「オリンピック讃歌」が披露された。この曲は五輪の開会式や閉会式のセレモニーで必ず演奏される公式賛歌である。未来を担う子供たちのパワーがこの3分間に詰まっていた。アンコールの「時を越えて」は、控えめな伴奏の中で、美しい和製進行が合唱と寄り添う。演奏終了後は大きな拍手と共に、東京オリンピックとパラリンピックのロゴがスクリーンに映し出されていた。

セットリスト

1、オリンピック・ファンファーレとテーマ(ジョン・ウィリアムズ)
2、序曲『謝肉祭』(ドヴォルザーク)
3、糸(中島みゆき)
4、交響曲第9番『新世界より』第2楽章(ドヴォルザーク)
5、オリンピック讃歌(スピロ・サマラ)

アンコール
「時を越えて」(栂野知子)

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