ベッキーにとって特別な番組がこの秋、放送開始1周年を迎えた。一連の騒動で活動休止した彼女が復帰後最初のレギュラー番組の仕事がJFM系FMラジオ『ミッドナイト・ダイバーシティー ~正気のSaturday Night~』だった。昨年と比べ風向きも大きく変わった。あれから1年が経ったベッキーはいま、何を思っているのか。また、番組スタッフからみたベッキーの変化とは。【取材・撮影=村上順一、木村陽仁】

ド緊張だった

 トレードマークだったロングヘアを大胆に切り、ショートヘア姿を見せたのは昨年9月。その数日後に発表されたのは、新しく始まる『ミッドナイト・ダイバーシティー ~正気のSaturday Night~』への月1レギュラーパーソナリティ起用だった。レギュラー番組としては復帰後最初の仕事で、自身初のラジオパーソナリティということもあり、特別な思いがあったはずだ。初回放送は10月1日。それから1年が経った10月8日放送でベッキーはこう語った。

 「1周年が迎えられて嬉しく思っています。初回放送の時に、ラジオ局の下に報道陣の方が沢山いらして、放送(での発言)が注目されていたので、マックスに緊張していて、ワンブロック終わるたびにあの発言で良かったかなと反省して。楽しんでいたけど、やっぱり緊張しました」

 この日の放送もいつもと変わらない姿があった。深緑のニットトップスにロングスカート姿のベッキーがスタジオ入りしたのは10月7日午後11時半。笑顔でスタッフに挨拶すると、そのままブースに入り、自席に着いた。先ほどまで見せていたにこやかな表情は消え、真剣なまなざしで台本をチェック。時折、携帯電話を手にして画面を操作、情報収集に努める。前回取材時と同じ光景だった。8日深夜0時を告げる時報が鳴る。「みなさん、こんばんは――」。いつも通りの挨拶で始まった放送は終始、笑顔が絶えなかった。放送後、本人に話を聞いた。

 「番組スタート当時は復帰後第1弾ということもあって注目されていたこともありますし、言葉選びが慎重だったということもあって、ド緊張と不安の中でのスタートでした。1年が経った今は本当にリラックスして楽しめています。もちろん言葉選びは今も慎重になります。何かをお届けするときには、人を傷つけたくはないですので、乱暴すぎる言葉は選ばないようにと。私はもともとバラエティ番組をやっていた人ですから、共演者さんがいるので、一人で喋るということの経験はなくて。ラジオをやる度に『私って下手だな』と思ってました。この1年、反省と学習を繰り返してます。まだ上手ではないですけど…」

 この日の放送では、スタッフから一風変わった1周年祝いのプレゼントが送られた。ハニカミながらも心の底から感謝している様子がうかがえた。放送終了間際、彼女は「10周年、20周年続けられるように頑張っていきたい。みなさん本当に有難うございました。幸せな1日でした」との言葉を添えた。

 「本当のところは10周年、20周年が目標ではありません。やっぱり目の前の一つひとつの事を精一杯やっていくことが大事だと思うのです。長いことが正しいということでもないと思いますし。今は目の前のことを考えるので精一杯なのかもしれないです。その一歩一歩、積み重ねた先に10周年や20周年があったら最高ですね」

目の前のことで精一杯

番組生放送中のベッキー

 最近のベッキーは、記者から「どういう活動をしていきたい?」と質問されると、決まって「今は目の前にある仕事を一生懸命にやらせて頂くだけです」と答える。活動休止経験が背景にあると思われるが「目の前のことで精一杯」ということなのかもしれない。最近は仕事も増えてきている。この日も放送前にも3つのイベントがあった。その原動力はどこにあるのか。

 「お仕事があるということがありがたいので、頑張るのが当たり前という感じになっています。もうそれが自然なんです。投げ出したいと思うことですか? それはないです。そう思ったとしても最終的にはやらないといけませんから。『やだなあ』と考えること自体が時間の無駄だと思いますし、仕事への使命感もあります。それと、私一人ではなく、マネジャーさんやスタッフさんというチームですから、もう人には迷惑はかけたくなという思いが強いです。今では、しっかりお休みもありますし、バランスが取れていて良い感じです。今日みたいなハードスケジュールな日があると“わたし売れっ子みたい!”と勘違いできるのでいいですよ(笑)こういう日があると嬉しいです」

 昨年12月のあるイベントで、2017年をどういう年にしたいかと聞かれ「(活動休止を経て)初心を取り戻せたので、お仕事をたくさん頑張りたい。真っ直ぐな心を持って日々を積み重ねていきたいなと思います」と答えていた。この1年で景色も様変わりしたはずだが、今も“初心は忘れていない”ように思える。

 「復帰後はあまりお仕事がありませんでした。でもその時に手を差し伸べて下さったのが、JFMさんや今のスタッフさんです。本当に、これからも大切にしていきたい番組です。スタッフさんに恩返しする意味でも、これからも全力で頑張っていきたいと思います」

スタッフからみた変化

ラジオ収録終わりに取材に応じたベッキー

 一方、身近で見て来た番組スタッフはベッキーに対してどう思っているのか。ディレクターの吉岡拓麻さんと、構成作家の原口靖広さんはこう振り返る。

 吉岡拓麻さん 「ラジオの生放送でパーソナリティを務められるのは初めてで、当時は自粛ムードもあるなかで、スタッフとしては、ベッキーさんに放送を楽しんで欲しいという思いがあり、そういう環境になるまでは様子を見ていた感じです。回を重ねていき、周りの空気感も変わってから、毎月、パワーアップしていると思います。ご本人も勉強していると思うのですが、時間の読み方や、メッセージの紹介の仕方などの成長具合はすごいですよ」

 原口靖広さん 「やっぱりスターですからね(笑)。喋りに関しては心配することがおこがましいと言いますか。ただ、吉岡さんも言ってましたけど、生放送は初めてということで、曲への行き方や時間配分はちょっと心配がありました。でも、勘が良いので2回目、3回目からディレクターの方とも阿吽の呼吸が出来てきて、特に指示がなくても分かるようになっていましたね」

 ベッキーの機転の良さは以前から言われていたことだが、本人も語っていたが、これまで力を発揮していたバラエティ番組とは違い、時間配分や曲の入り方など全て一人でこなしていかなければならないのがラジオパーソナリティの手腕の見せ所だ。ベッキーにはそれが備わってきたという。

 吉岡拓麻さん 「とにかく飲み込みが早いですね。通常は毎週やって経験値を積んでいくもので、ベッキーさんは月一度の放送です。なので、一回放送が終わると3週間のブランクが空いてしまうのに、次は必ずパワーアップしているんです。今回の放送もCMをまたぐ時に、次に聴きたくなるような言葉を投げかけたり、自分なりに工夫をしているのが伝わってきます。空気を読むのも上手いと思います。最後は必ず原稿通りに締めてくれる人なんだなと」

 原口靖広さん 「やっぱりバランス感覚が良いんでしょうね。喋り過ぎてしまうとだらだらしてしまうし、この辺で曲にいった方が良いだろうなというのが、回数を重ねるごとに良くなっています。どうしたらリスナーが気持ち良く聴けるかということが、だんだん分かってきちえると思います」

 ラジオパーソナリティを担当する人は多くいる。専門のDJもいれば、タレントや歌手が務めることも多い。何気なく聴いていたラジオだが、トークが盛り上がった場合、話を続ける人もいれば、切って曲を流す人もいる。そこでの判断力や対応力が「上手さ」の一つの指標になるという。

 吉岡拓麻さん 「ベッキーさんは、テーマに沿った楽曲を流した時に、その曲やテーマに対して感想を言ってくれるんです。それは素敵なところだなと思っています。FMラジオというのはトークと音楽がセットというところがあるので、ベッキーさんのそういったところに僕は魅力を感じています」

 原口靖広さん 「ラジオパーソナリティは、プロフェッショナルなのでトークと歌のバランスなど、すごく注意して気持ちよく聴けるようにやります。それが分かってきているというのは、ベッキーさんが凄いなと思うところですね」

 復帰後のベッキーはそれまで、歌手や女優としての活動はあったものの、テレビのバラエティ番組が主にあった。しかし復帰後は、様々な仕事に挑んでいる。例えば、11月から始まる舞台への初挑戦や、このラジオもそうだ。「今は頂いている仕事を精一杯にやらせて頂くだけです」と本人は語っているが、様々な挑戦が彼女の才能開花に繋がっているようにも見える。今は目の前のことを真摯にコツコツと。色々な経験が彼女を大きくさせている。