スーパー3助とアンゴラ村長で結成されたお笑いコンビ、にゃんこスターが『キングオブコント2017』で、結成5カ月にして2位に入賞しました。優勝は逃したものの、他の出場者とは一線を画すネタで注目を集めています。

 彼らのネタはいわゆる「リズムネタ」。音楽に合わせてお笑いを展開していく、近年定着したスタイルです。私は、お笑いに詳しいという訳では全くないのですが、お笑い芸人の音楽への接近を興味深く感じています。

 「お笑い芸人の音楽への接近」と言いましても、ちゃっきり娘、横山ホットブラザーズ、堺すすむを代表されるように、昭和から音楽を取り入れた漫才などはありました。正しく言えば、「楽器を使った漫才は近代、リズムネタを派生させた」ということでしょう。

 漫才やコントに限らず、楽器のできる芸人、歌って踊れる芸人は現在、珍しいものではなくなってきました。

 さて、そもそもなぜ「リズムネタ」という名称が定着したのでしょうか? 「楽曲ネタ」とか「ソングネタ」とかでも良い様な気もします。「歌ネタ」という言葉もありますが、定着度としては「リズムネタ」に軍配が上がる印象です。そして「リズムネタ」という名称の方がしっくりくる感じもあります。

 個人的な仮説なのですが、その理由は恐らく、この音楽にネタを載せるスタイルの重要な点が『リズム』であるからだと思います。と書きますと、お笑いの話題ですので「そのままだろ!」というツッコミが入りそうですが、そのままです。

 古典的なコントでは『ボケ/ツッコミ』が間のリズム(タイミング)で展開されますが、リズムネタは楽曲のビートに合わせて『ボケ/ツッコミ』が発動する仕組みになっています。つまり、いわゆるコントは人間がリズムを作っていきますが、リズムネタの場合は楽曲のリズムに同期していく。これは音楽的に考えると、詩吟とダンスミュージックの違いに似ていますね。そういう意味でリズムネタの隆盛は、お笑いリズム感覚の変化とも言えるかもしれません。

 私見では、こういう理由で「リズムネタ」という名称に落ち着いたのだなと感じます。そして、にゃんこスターの新しさは恐らく、ビートが鳴り続けているなかで踊っている人と踊っていない人が共存している事だったのではないでしょうか。旧来と近年のお笑いリズムのハイブリッドになっているからです。あるリズムを鳴らしながらも、それに同期しない(フロウする)というのは、ブラックミュージックの構造にも似ていて興味深いと感じました。【小池直也】