暦の上では秋色に染まる頃だが、セミの声も聞こえ、暑い日々は続いている。まだ夏色といったところで、夏の余韻に浸れている自分がいる。そうした空気感に触れていると、あの曲が無性に聞きたくなる。ZONEの楽曲「secret base ~君がくれたもの~」だ。

 「secret base ~君がくれたもの~」は、ZONEが3枚目のシングルとして2001年8月8日にリリースしたもの。TBS系ドラマ『キッズウォー3』の主題歌で、オリコンチャート2位を獲得した。

 主題歌に起用されたことだけでなく、ガールズロックバンドのSCANDALやSilent Siren(現=SILENT SIREN)らがカバーしたことや、アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』では劇中に登場するキャラクターがエンディングテーマを歌ったこともあって、認知度は高い。

 そして、この曲の魅力の一つに、歌詞がある。夏の思い出を鮮明に蘇らせてくれるのだ。<君と夏の終わり 将来の夢 大きな希望 忘れない>から始まる歌詞は、<出会いは ふっとした 瞬間 帰り道の交差点で>と物語が描かれていく。

 歌詞は、主人公がある人と出会い、2人で夏休みを過ごすものの、その人は転校してしまい、会えなくなってしまう。悲しい気持ちに浸るなか、10年後の8月にまた会えることを信じる、という内容で、夏休みを舞台にした2人のピュアさが伝わってくる、とても心が打たれるものだ。

 社会に出れば、心がすさんでいくこともある。いつの間にか、笑顔が無くなっていることも。会社勤めなら、上司に怒られたり、成績が上がらなかったり、望まない転勤や残業もなかにはある。

 そんなとき、希望の光として、あの頃のピュアな心に触れるのも一つかもしれない。青春時代に過ごした夏休み。あのキラキラとした想い出はきっと、心を潤してくれるだろう。そして、そんなきっかけをくれる曲の一つに、「secret base ~君がくれたもの~」があると思う。一度聴いてみてはいかがだろうか。【文=橋本美波】