パーソナルで個人的な趣味が全面に押し出されたライブを展開した星野源(撮影=西槇太一)

 星野源が9日と10日に、さいたまスーパーアリーナで初全国アリーナツアー『星野源 Live Tour 2017「Continues」』の 追加公演を開催した。初日の9日、開演前から会場内のBGMには細野晴臣やマイケル・ジャクソン、プリンスなど様々なナンバーが流れ、これから始まるライブへの期待感を煽る。本編ではアコースティックコーナーありカバーあり、「恋」や「Family Song」といった人気曲も披露した。

星野の“好き”が反映されたセットリスト

(撮影=西槇太一)

 ステージには、ストリングスやホーンを加えたサポートバンド、さらに12人のダンサーとサウンド面でも視覚面でも魅せる豪華なステージングだった。敬愛する細野晴臣へのリスペクトと現代的なダンスミュージックとの融合も果たした他、OPとEDには、声優の宮野真守演じる“J-POP”と大塚明夫演じる“歌謡曲先輩”のボイスドラマが場内に流れた。歌謡曲、J-POP、そして星野が提言する“イエローミュージック”と、音楽と想いは引き継がれ続いて行く、そんなメッセージが根底に流れていた。

「すごい人、本当に来てくれてありがとう。良いですか、ひとこと言って。“ただいま”。嘘かと思うかもしれませんが、本当に後ろの席の人まで見えています。スタジアムモードで、いつものキャパの2倍の3万人。3万人もいるのに、何か落ち着きますね(笑)。久しぶりのさいたまスーパーアリーナ単独公演です。歌ったり踊ったり、ボーッとしながら見たりと、好きに楽しんでください!」

 1曲目の「Firecracker」では、マリンバの演奏で魅せた。作曲家Martin Dennyの楽曲で、細野晴臣がYellow Magic Orchestraを結成するきっかけになった曲。このツアーのテーマである『Continues』は、脈々と受け継がれていくものや、点と点を線で繋ぐように曲と曲が想いで繋がっていることを表したものだ。終盤にも細野晴臣が40年前に作り、「それを15年前に聴いて、いつか生でやりたいと想っていた」というYMOの「Mad Pierrot」を披露し、星野はこの楽曲に影響されて「時を」を作ったと話した他、「細野さんから“未来をよろしく”と託された」と、細野と共演した時のエピソードも明かした。

 中盤には、アリーナのど真ん中の小さなステージで、ポツンと一人弾き語りを披露して3万人の観客を独り占めし、「穴を掘る」を歌う際には、「すごく昔の曲をやります。手拍子をしたくなる感じの曲なんですけど、初日に手拍子をしてもらったら音ズレがすごくて。手拍子は心の中でやってください」と、笑いを交えながら弾き語りした。

 星野の“好き”が、いたるところに反映されたセットリスト。中盤には、大好きなバンドと話すナンバーガールのカバー「透明少女」をアコギの弾き語りで歌った。

みなさんのおかげで狭く感じます

(撮影=西槇太一)

 終盤は人気曲を連発。「SUN」では星野もダンサーと共に歌い踊り、「ツアーで一番の一体感を感じている」と嬉しそうに話す。「じゃあこの後も、一緒に踊ってくれますか? 去年一番歌った曲です。今年もこれを歌えて嬉しいです。さあ、みんな踊ろう!」と、3万人が待望の「恋」を披露。隅から隅まで本当に3万人全員が踊った恋ダンスは圧巻で、楽曲の浸透力のすごさを改めて実感した。曲の後半では金テープが発射され、星野は「これが恋ダンスだ!」とばかりに、複雑な手振りを見事にキメて拍手喝采を浴びた。

 アンコールでは、毎度お馴染みのニセ明も登場しての「君は薔薇より美しい」や、CMソングでも知られる「Drinking Dance」を披露した。ダブルアンコールでは新曲の「Family Song」も披露され、大きな歓声を浴び手拍子で盛り上がり、最後の“ナナナナ〜”を観客みんなで歌いながら、頭の上で手を左右に振って一体感は最高潮になった。

「こんなにたくさんの人の前で歌える幸せ。中2から曲作りを始め、恥ずかしくて誰にも聴かせることなくカセットで3rdアルバムまで作っていた男です。その男が、今こうして3rdアルバムまで作った地元・埼玉の地で、スタジアムモードで3万人です。スタジアムモード、お客さんが遠くて寂しいかな? と思ってたけど、みなさんのおかげで狭く感じます。本当に狭いですよ!」

 「恋」で大ブレイクした星野。その「恋」のルーツは? 背景は? 星野が本来好んでいる音楽は? 何が好きなのか? よりパーソナルで個人的な趣味が全面に押し出されたライブ。歌謡曲、J-POP、イエローミュージックと、星野の中で時代と共に変遷して来た音楽が、星野らしいユーモアを織り交ぜたMCと共に観客を引きつけ、3万人と1人が本当に1つの想いで繋がった時間だった。

(取材=榑林史章)

セットリスト

01.Firecracker
02.化物
03.桜の森
04.Night Troop
05.雨音
06.くだらないの中に
07.フィルム
08.夢の外へ
09.穴を掘る
10.透明少女
11.くせのうた
12.Mad Pierrot
13.時よ
14.ギャグ
15.SUN
16.恋
17.Week End
18.Continues

-ENCORE-

01.君は薔薇より美しい
02.Drinking Dance
03.Family Song
04.Friend Ship