「Charaさんの温かいお人柄に引っ張ってもらう制作だった」と振り返る新山詩織

 シンガーソングライターの新山詩織(21)が9月6日に、ニューシングル「さよなら私の恋心」をリリースする。2013年にシングル「ゆれるユレル」でメジャーデビュー。2016年にはフジテレビ系月9ドラマ『ラヴソング』に出演し、福山雅治が提供した劇中歌「恋の中」が話題を集めた。今作はCharaが作曲し作詞を共作、学生時代に片想いをした時の気持ちなどを話しながら製作したと言い、「Charaさんの温かいお人柄に引っ張ってもらう制作だった」と振り返る。単なる失恋ソングではなく、そこから立ち直るまでの繊細な気持ちを表す曲となった。また本作のミュージックビデオは、彼女もファンである、映画『リリイ・シュシュのすべて』などで知られる岩井俊二監督がメガホンを取った。どのような制作だったのか? Charaと岩井監督の魅力など聞いた。

中学生の時に『スワロウテイル』を見て

新山詩織とChara

――「さよなら私の恋心」は、Charaさんの提供曲で作詞を共作されていますね。経緯やCharaさんを知ったきっかけを教えてください。

 「次のシングルはどうしようか?」と、スタッフさんと相談していく中で、以前にCharaさんの「ミルク」をカバーさせていただいたことがあったので、自然とCharaさんのお名前が挙がり、お声がけさせていただきました。

 最初にCharaさんの存在を知ったのは、中学生の時に父がDVDを借りて来た『スワロウテイル』です。その時は、Charaさんを女優さんだと思っていたのですが、主題歌の「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」を聴いて、“ひと聴き惚れ”をしてしまって。それからCharaさんのアルバムを聴くようになりました。中学時代はあまり学校に馴染めなかったのですが、「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」に支えられていました。卒業式の前日には、いろいろなことが重なって、一人で泣きながら「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」を聴いていた思い出があります。

 初めてライブを見たのも中学3年生の時で、ステージに出て来た瞬間に、そこが“Charaさんワールド”になるような、すべて包み込む感じがあって。本当にすごいと思って、感動した気持ちを今も覚えています。その時も「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」を歌って下さって、生で初めて聴いたので、とても感動しました。

――Charaさんとお会いしたのは、今回が初めてですか?

 はい。Charaさんのライブの後にご挨拶をさせていただいたのですが、後日Charaさんのプライベートスタジオにスタッフとお邪魔させていただき、コミュニケーションをはかると同時に、どういう曲にするか、深くお話をさせていただきました。その時は、Charaさんが「何色が好き?」「どんな音楽を聴くの?」など、いろいろ聞いてくださって。実際にお目にかかって知った、Charaさんの温かいお人柄に引っ張ってもらうような雰囲気で制作が進みました。

――「さよなら私の恋心」というタイトルと冒頭のフレーズは、恋愛のことだけではなく、少女から大人になるイメージも重なり、それが新山さんのウィスパーな声とはまっていますね。

 曲の冒頭のフレーズは、Charaさんのスタジオでお話をさせていただいた時に、「詩織ちゃんと初めて会った時に浮かんだ、フレーズがあるんだよ」と歌って下さって。初めてお会いしたライブの日の帰りに浮かんだそうで、そのワンフレーズを聴いた時は、とても感動しました。このフレーズに私自身を委ねるような感覚で、言葉を探して行きました。

――歌詞は、切ないものの前向きな力強さも感じられますね。

 はい。失恋した女性の複雑な心情を描いていますが、単なる失恋ソングではなくて。相手の気持ちを吹っ切るまでの葛藤している様子、表には見えづらいとても繊細な気持ちを曲にすることが出来たと思います。

 曲を制作する過程では、私自身が学生時代に片想いをした時の気持ちをCharaさんにお話させていただいたこともありました。それに対してCharaさんは、そういう気持ちも大事で、心のどこかに残しておくことも良いけど、しがみついていては前に進めないと。また「だからこの曲は、新しい種を蒔いて前に進んで行けるような曲にしたいね」ともおっしゃっていて、だからこそ強く前を向く気持ちがたくさん入ったものになりました。

――今までの新山さんとは違う、何か新しい扉を開いたような曲だと思いますが、ご自身では何か感じましたか?

新山詩織とChara

 確かにレコーディングの時は、今までの歌い方とは違う意識で歌っていました。それこそCharaさんのように優しく…。主人公が葛藤している気持ちを、何とか優しい方向に向けるような感じで、囁くとも違う、語るとも違う。リラックスして、心をストンと落とした状態で歌う感じだったと思います。

――レコーディングには、Charaさんの作品によく参加されている名越由貴夫さん(Gt)などが参加し、バンドの形態でも、いわゆるバンドサウンドとは違った感じになっていますね。

 とても好きな世界観です。デモを作っていただいた時に、「弾き語りでもやるよね?」と言っていただいて。それで、若干アコギ色が強く出て聴こえるサウンドにしてくださったと思います。

 アコギは、いつもはバンドのレコーディングを終えてから最後に録るのですが、この曲ではCharaさんの意向で、私のアコギに音を合わせたほうが良いということで、最初に録らせていただきました。それによって、今までとはまた違った雰囲気を出せているかなと思います。

登場人物たちが自由

「さよなら私の恋心」通常盤ジャケ写

――MVは、岩井俊二さんが監督を務めて、とても不思議な感じの映像になっていますね。

 岩井さんは、Charaさん同様、映画『スワロウテイル』を観たことがきっかけで好きになり、それから『リリィ・シュシュのすべて』や、今アニメ映画で公開されている『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』も観ましたし。とても好きな監督なので、今回は本当に嬉しかったです。

 岩井さんの作品は、素朴な世界観の中で登場人物たちが自由と言うとあれだけど、みんな生き生きとしていて。その登場人物も個性的な人ばかりなので、見ている私も受け入れてもらえたような感覚になれます。『リリィシュシュのすべて』は、本当にそんな気持ちになりました。

――岩井監督の作品は、女の子が魅力的に描かれているものが多く、このMVもそんな作品ですね。

 たくさんの女の子が出てきますが、女の子のいろいろな心情があって、それを私が歌うというイメージです。岩井さんからは、「女の子たちに寄り添う気持ちで歩いて欲しい」と言われて。

――歌いながら歩く映像をワンカットで撮影していますが、どういうところが大変でしたか?

 ワンカットなので最初は難しくて、ぶつかりそうになった時もありましたけど、岩井さんからの言葉や楽曲に、引っ張ってもらいながら作れた感じだと思います。

 デモを聴いて岩井さんの中でイメージがあったと思いますが、当日のリハーサルや本番の中で、たくさん出てくる女の子たちが涙を流す表情、立ち位置や私の動線など、その場でどんどん変わっていきました。今までのMVは、ギターを弾きながら歌うシーンが必ずあったのですが、今回はそれがなくて。ギターを持たずに歌を口ずさみながら歩くというのが、とても新鮮でした。

同年代の就活生を応援

「さよなら私の恋心」初回限定盤ジャケ写

――カップリング曲の「らくがきちょう」は、アッパーで前向きなバンドサウンドで、爽やかな青春といった感じですね。

 これは就活生応援ソングとして書かせていただきました。私自身だけでは、就活の大変さを本当の意味では理解出来ないと思って。ちょうど作った時は、友だちが就活している時期だったので、友だちから体験話を聞いて参考にしました。

――作詞は新山さんですが、友だちの話を聞いてどういうイメージで書きましたか?

 結局、自分は何をしたいのか分からない、面接で上手くいかなかった、言いたい言葉が出て来なかったなど、友だちの話を聞いて。だからこそ応援と言っても、私なりにどのように背中が押せるかなと思って。

 それで一緒に並んで、幼かった頃に自由に絵を描いていたことを思い出し、その続きを一緒に描いて行けたら良いなと思って。最後の<君の続きを>というフレーズも、夢の続きや、未来に向かってなど、いろいろ表現方法があったのですが、就活生は「みんな夢がはっきり見えないから迷っているんだよな」と思って。あえて夢という言葉を使わず作詞しました。

――こういう感じの曲は、今までにも?

 ここまで休憩なく最後まで進んで行く曲は、初めてかもしれません。レコーディングの時は、息継ぎのタイミングを念入りに決めました。ただ歌うだけでは、そのまま流れて行ってしまう感じになるので、それでメリハリを出すような感覚で。

――LIVE盤には、昨年から今年にかけて開催されたツアーから、東京公演の模様を5曲収録していますね。

 初日は、地元で初めてのワンマンだったし、お客さんもとても温かくて。ツアーのスタートを良い形で切れたと思います。本当にいろいろあったツアーで、ちょうど大雪の日と重なったこともあり…。年をまたいでのツアーも初めてだったので、自分自身で常に構えていた感じもあって。あまり気持ちを緩めないように、と思っていたことを思い出しますね。この映像を見て、私のライブに行ってみたいと思ってくれる方が増えたら嬉しいです。

【取材=榑林史章】

◆新山詩織とは 1996年2月10日生まれ、埼玉県出身の21歳。16歳の時に「Treasure Hunt〜ビーイングオーディション2012〜」でグランプリを獲得し2013年に「ゆれるユレル」でメジャーデビュー。これまでに映画『絶叫学級』主題歌「Don’t Cry」など発表。2016年にはフジテレビ系月9ドラマ『ラヴソング』に出演し、劇中歌「恋の中」が話題を集めた。

作品情報

新山詩織
ニューシングル「さよなら私の恋心」
発売日:9月6日

▽CD収録曲
01.さよなら私の恋心
02.らくがきちょう
03.さよなら私の恋心 –instrumental-

▽初回限定盤DVD収録内容
「さよなら私の恋心」Music Video+Making

▽LIVE盤DVD収録内容
新山詩織 全国ツアー2016-2017「ファインダーの向こう」
01.あたしはあたしのままで
02.部屋でのはなし。
03.気まぐれ
04.Sweet Road
05.Snow Smile

公演情報

▽新山詩織 PREMIUM 弾き語りライブ「しおりだけ~ひとり唄~」

9月2日 東京・EX THEATER ROPPONGI

▽「歌で紡ぐ、トアに続く」
9月26日 兵庫・神戸VARIT.

▽東海大学熊本キャンパス 東熊祭・数鹿流祭
11月3日 熊本・東海大学熊本キャンパス 野外ステージ