報道陣に稽古の様子を披露したenra

 RIZEの金子ノブアキが音楽監督を務める舞台『VOYAGER』の公開リハーサルが25日におこなわれた。金子は不在だったものの、舞台場面の4シーンがパフォーマンス団体のenraによって披露された。団体ディレクターの花房伸行は金子の音楽について「ほとんど修正が無かった。こちらの意図を汲んだイメージ通りの物が届いた」とコメントした。

 この公演はパフォーミング・アーツ・カンパニーのenraによるもの。映像と人間のシンクロを追及する彼らは、映像クリエイター兼ディレクターの花房と8人のパフォーマーによって構成された団体。パフォーマーはそれぞれ中国武術、ストリート、アニメーションダンス、新体操、ジャグリング、コンテンポラリーダンス、バレエなど、得意とする分野を持ちながらも団結し、ひとつの作品を作りあげている。

 これまで東京五輪・パラリンピックの招致イベントへの参加、カンヌ国際映画祭授賞式のオープニングアクト、2年連続の米ツアーなど国内外で高い評価を得ている。以前から金子とenraは共作していたそうだが、本格的にコラボレーションするのは今回が初めて。金子は本公演全体の9割の楽曲を担当したという。

報道陣に公開された稽古風景のもよう

 この日、金子の参加はなかったものの、彼が手掛けた音楽によってリハーサルが進行。まず披露されたのは楽曲「ORCA」によって演じられる「LIFE」という場面。シンセサイザーの音とストリングス、日本語歌詞による歌唱によってダンサーたちが舞う。映像について花房は「90パーセントの進行状況」と語った。リハーサル期間と並行して映像制作は続いているそうだ。

 金子とのやりとりについて、花房は「全体の構成が決まっていて、『このシーンはこういう感じにしてほしい』とお願いして組み立てて頂きました」と明かした。また「金子さんからまとまって音楽が送られてから、ほとんど修正が無かったんですよ。こちらの意図を汲んで頂いてイメージ通りの物が届きました」とも語った。この「ORCA」はこの公演の為の描き下ろし楽曲ではなかったそうで、enra側から「この曲がイメージ通りだったので、金子さんにダメ元でお願いしたら、『是非』と快諾して頂きました」という経緯で採用が決まったそうだ。

 続いてenraは楽曲「Galaxy」を使用した場面を報道陣に披露した。サウンドは、前半アンビエントな音像で、後半は段々とダンスミュージックに変形していく流れ。ダンサーもそれに合わせ自在に踊った。

報道陣に公開された稽古風景のもよう

 パフォーマーのひとり、望月ゆうさくは「途中で光が上っていく瞬間の音が気持ち良くて、僕自身も踊っていて気持ち良くやらせて頂いてます。音楽的に派手になっても、作品に入り込めるように技などの“個”を出し過ぎない様にするのが難しいですね」と話した。

 また本公演の中心的な存在となる、和多谷沙耶は「世界観に合わせた振付を今回は考えました。enraは映像と音と踊りで100パーセントになるように作らなければいけないので、その三者のバランスも意識しています」と、音・光・ダンスの三位一体を語った。

 その後もenraは花房作曲の「Cloud Cluster」と、以前上演したという金子との初コラボ作品「Firebird」を使用した場面をリハーサル。息を切らせながらも各パフォーマーは見事に演じきった。

報道陣に公開された稽古風景のもよう

 さらに、この『VOYAGER』の東京公演では、金子ノブアキ、キーボード・草間敬、ギター・PABLOというメンバーがオーケストラピットで生パフォーマンスするという。これについて花房は「何回か生で合わせるという事もやってきたんですけど、1公演まるまるは初めて」とした。さらに、パフォーマーの石出一敬は「生演奏だと、いつもより1歩上の高揚感があります。ただ、それを出し過ぎてしまうと映像とズレてしまうので、調整しながらやりたい」と期待の伝わるコメント。

 リハーサル終盤、花房は「enraとして新しいチャレンジなんですけど、私が41年間生きてきて思った事の集大成の様な作品。色々な方に観て頂きたいです。是非劇場に遊びに来てください。よろしくお願いします」とメッセージを送った。【取材・撮影=小池直也】