Anlyが生まれる前に亡くなった兄を思い綴った「北斗七星」

 シンガーソングライターのAnlyが9日に、6thシングル「北斗七星」をリリース。2015年に松坂桃李主演ドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』の主題歌「太陽に笑え」でメジャーデビュー。3月にはスキマスイッチとのコラボで「この闇を照らす光のむこうに」を発表し、大きな話題になった。今作では、Anlyが生まれる前に亡くなったお兄さんを思い、「その人の存在を自分の中で感じていれば、そばにいなくてもいるような気持ちになれる」という気持ちを曲に込めたと話す。「北斗七星」制作の経緯や、地元をテーマに書いたカップリング曲「ie」、6月に開催した1stツアーで感じたことなど話を聞いた。

私にとってこの曲はずっと自分の側にいてくれる

通常盤

――「北斗七星」は、高校生の時に作った曲だそうですね。

 いちばん最初のきっかけは、小学校5年生くらいの時に、実は私には、私が生まれる前に亡くなった兄がいたことを知ったことです。ちょうどシンガーソングライターとして、曲を作ったり歌ったりする人になりたいと思い始めていた時期だったので、じゃあ兄のことを曲にしよう、と。やさしい曲を作りたいというイメージはあったのですが、でもその時は、まだギターも曲作りも技術がなかったので上手く出来なくて。それから何年か経った高校生の時に、夕暮れを見ながら気持ちが高まり「書けそうだ」と思って作りました。

――切なさと温かさがある曲。聴く人にとっては、それぞれの中で、離れてしまった人への気持ちを重ねて聴いてほしいですね。

 そうですね。私自身、顔も見たことないし、声も聴いたことないお兄さんですけど。兄がいると聞いた時から、星を見ても数字を見ても、いろんな形で私にメッセージやエールを贈ってくれていると、感じるようになりました。その人の存在を自分の中で感じていれば、そばにいなくてもいるような気持ちになれると言うことが、この曲のテーマになっています。

――地元では、北斗七星が見えるのですか?

 島からもすごくキレイに見えますよ。よく星を見る会みたいなことをやって。流星群が来る日は、知り合いを集めてギターを弾いたりバーベキューしたりしていました。だから星は、すごく身近にあって、星に関係した言葉は、以前から自然と歌詞の中に出て来ることが多かったです。

――その北斗七星が、いつでも見守ってくれているという意味で、タイトルに「北斗七星」と付けたんですね。

 でも、そういう意味を実感したのは、わりと最近になってからです。たまたま星について書かれた本を手に取ったら、1ページ目に北斗七星のことが書いてあって。星座の説明と共に花言葉みたいな感じで、星言葉のようなことが書いてあって。1年中見られる星座で、あなたが寂しいとか辛いとか孤独だと思っても、北斗七星が見守ってくれているように、必ず誰かが見てくれていますよ、と。

 高校生の時は、星座の意味とかは意識せずにパッと思いついて付けていて。自分でも「何でこのタイトルにしたのかな?」と、不思議に思っていました。でもこの本を読んで、この曲にもそういう意味があるなと、改めて気づかされた感じでした。

――最初から、導かれていたのかもしれないですね。あと、イントロで「きらきら星」のメロディが出てくるのが、かわいいですね。

 高校生の時から、この曲をやる前に「きらきら星」を弾くことをやっていたので、自然とそういう構成になりました。出てくる楽器もフレーズも当時とほとんど変わっていないので、17歳の時に受けたインスピレーションのまま、今の私が歌っている感じですね。

――最初は弾き語りで、途中からバンドサウンドになる構成も感動的ですね。

 最初はピアノだけでも良いかもと思ったのですが、アコギを弾いていないのは私っぽくないかな? と思って、1番はアコギとピアノで弾き語りっぽくしました。イメージで言うと、弾き語りの1番は、私の地元の伊江島(沖縄)の夜空です。音が積み重なってバンドサウンドになる2番は、ジャケット写真の撮影をした長野県阿智村の満開の星空のイメージです。

――デビュー前と後の、両方のAnlyさんがいる曲ですね。そう言えば、Anlyさんのサインには、北斗七星の絵が描かれていて。

 以前からトレードマークみたいに書いていて、よく「北斗七星」という曲はないの? と聞かれて。やっと、みなさんにサインに描く北斗七星の由来を知ってもらえてすごく嬉しいです。

――Anlyさんを代表する曲になりそうですね。

 そうなったら嬉しいです。私にとってこの曲は、ずっと自分の側にいてくれる感覚で、私のお兄さんそのものです。すごく私の気持ちがいっぱい詰まった曲なので、それをみなさんがどんな風に受け止めてくれるか不安もありますが……。これをみなさんに向けて歌うことで、誰かに寄り添うことが出来て、みなさんにとっても大切な曲になってくれたら嬉しいです。

自分の必要としている時に歌が響いてくれたら

Anly

――カップリング「ie」は、軽快なカントリーサウンド。地元や帰る場所といった感じで、伊江島と家の両方の意味になるように、アルファベットにしていて。

 これも高校生の時に作った曲で、以前はライブで「北斗七星」を歌った後に必ず歌っていました。

 レコーディングは、6月に開催した「Anly 1st Live Tour 2017 “anly one”」の合間におこなったので、バンドメンバーもツアーと同じで、メンバーみんなの声が入っていたりとか、ライブを意識した作りになっています。楽しい気持ちがたくさん詰まった曲です。リハーサルから移動、本番と、ずっと一緒にやってきたメンバーなので、何も言わなくてもお互いの気持ちを汲み取ることが出来て。「ここはこうが良い」とか「ここはアコギ一本が良い」とか、いろいろなアイデアを言い合えたのが楽しかったです。こういうレコーディングをやってみたいと思っていたので、今回それが出来てすごく楽しかったです。

――ところで伊江島は、島民が4000人とか。

 島は車で30分もあれば1周出来るくらいで、会う人ほとんど全員が顔見知りなので、島ひとつが家族や親戚のような感覚ですね。

――CDショップとか楽器屋さんはなくて、大きな買い物は沖縄本島に行っていたそうですが。

 そうです。通信販売で注文しても、1週間以上かかりますからね。だから今は東京に住んで、何でもすぐに買えることが、とても不思議な気持ちです。

 子どもの頃は、沖縄本島に行くのが本当に特別なことで、次はいつ行くのかな? と、いつもすごくワクワクしました。ショッピングモールのゲームセンターで遊ぶのが好きでした。いつも太鼓の達人とコイン落としゲームをやって(笑)。後はCDショップに行くこと。ダニエル・パウターが初めて買ったCDなのですが、ラジオで初めて聴いて好きになって、「今度沖縄本島に行ったら、CDを絶対に買うんだ!」と思っていました。この曲を歌うと、そうした島での懐かしい思い出がたくさんよみがえります!

――そして、「この闇を照らす光のむこうに -anly only version-」も収録。弾き語りでより歌が前に出て、また違った魅力を感じさせるものになっていますね。

 ライブみたいな感じで出来たら良いなと思って、ギターを弾きながら歌って一発レコーディングしました。マイクの遠さもそのままなので、歌が前に出れば歌が前に聴こえるし。それもあって、よりエモーショナルな感じに聴こえると思います。全部で7回録りましたが、採用されたのは最初に録ったテイクです。

 歌うたびに曲を作ったときのことや、レコーディングした時のことを思い出して、とても感慨深いレコーディングでした。歌っていると、スキマスイッチの大橋(卓弥)さんの声が頭で自然と聴こえて来たり、最後の節回しのところでは常田(真太郎)さんの鍵盤が聴こえて来たりして。

――自分にとってのこの曲の存在感は、ひとりで歌うことでまた変わって来ましたか?

 ライブではいつもひとりで歌うのですが、毎回歌詞の意味などを考えながら歌っていて。やはりどんな時でも、周りの人や事柄が、「私を助けて手を差し伸べてくれているんだな〜」みたいなことを思います。普通に感じる時もあれば、何だかすごくジーンと胸に響いて来る時もあって。それは聴いてくれる人も同じで、自分の必要としている時に、歌が響いてくれたら良いなと思います。

――当時はまだ闇の中で、光はうっすらとだったかもしれませんが、今はその光のむこうに具体的な何かが見えて来ましたか?

 今も「これ」というはっきりしたものは見えていませんが、でもその時々で「これ」と言うものは、変わるような気がします。「これかも」「これかな?」って、きっとみなさんもそれを繰り返しながら何かを見つけて行くのだと思うし。きっと今活躍されている人でも、時にはブレたりしながら進んでいると思います。落ち込む時があれば、必ず気持ちがあがる時もあるし、よそ見をする時だってあるし。

 だから、そういう光が自分にとって「これだ」と言えなくても大丈夫だよって、私は言いたいです。私の歌が、その人を光に導いてあげられるようなものになったら良いなと思います。

好奇心のようなものを大事に突き進む

初回盤

――10月に「Anly Live Tour 2017 ☆北斗七星☆」を開催しますが、6月におこなった「Anly 1st Live Tour 2017 “anly one”」は、どんな手応えでしたか?

 すごく楽しかったです。初日の名古屋の開演前までは、緊張して「どうしよう〜?」という感じでしたが、ライブが始まったら、みんな楽しみに来ていると感じて。もちろん「あの曲が聴きたい」とか、個々にあったと思うけど、その場の雰囲気を味わいに来ていたり、私のその時々の声を聴きに来てくれていると思いました。そう思ってからは、ライブがすごく楽しいものに変わって、変な緊張はなくなりました。

 前回は名古屋、大阪、東京、沖縄の4カ所5公演でしたが、今度のツアーは7公演で行ける場所も増えるので、今からとてもワクワクしています。

――前回のツアーでは、弾き語りもあれば、ロックもありサイケデリックもありと、本当にいろいろな曲調を披露して、Anlyさんの歌の多彩な魅力が発揮されていましたね。

 本当にいろんな曲をやったし、いろんな声を聴いてもらって。ジャンルレスで音楽をやりたいという、私の意思表示になったツアーだったと思います。これからも、そこからブレるという訳ではなく、「これ良いな」「これをやってみたいな」という、好奇心のようなものを大事に突き進んで、その曲が誰かの気持ちにフィットしてくれたら嬉しいです。「北斗七星ツアー」では、もっといろいろなことを試したいと思っています。

――全カ所楽しみだと思いますけど、どこか特に楽しみな場所はありますか?

 広島など、行ったことのないところに行けるのが楽しみですね。福岡は、キャンペーンで何度も行かせていただいているのですが、ライブでは今回が初めてなので、やっとライブを見ていただけるのが嬉しいです。

 東名阪の会場はCLUB QUATTROで、私にとってはすごく大きな会場なので、そこが埋まるくらい来てくれるのか不安もありますけど、来てもらえるように頑張らないと!

――今もそういう不安があるのですね。

 始まる前は、いつもそうです。不安もあるし緊張もするし。でもそれは、成功するためにいろいろ考えているからこそ感じる気持ちだと思うので。

――そういう不安や緊張を解きほぐすための、何かジンクスはありますか?

 ステージドリンクに炭酸水を用意することくらいですね。水を飲むと、何だか緊張してしまって。それで、たまたま炭酸しかなかった時に、そのままステージドリンクを炭酸でやったら調子が良くて。以降、そのまま炭酸です。まあ、気分の問題が大きいと思いますけど。

◆Anlyとは? 1997年1月生まれ、沖縄県伊江島出身。幼少時代から父親の影響でギターをおもちゃ代わりに、ブルースやロックに親しみ、自然とシンガーソングライターを志すように。高校時代から那覇市内で弾き語りのライブ活動を行い、2015年にドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』の主題歌「太陽に笑え」でメジャーデビュー。3月にはスキマスイッチとのコラボでドラマ『視覚探偵 日暮旅人』エンディングテーマ「この闇を照らす光のむこうに」を発表して注目を集めた。

作品情報

Anly

6thシングル「北斗七星」
8月9日発売

■初回生産限定盤(CD+DVD)1389円(税抜)SRCL-9451 ~ SRCL-9452

■通常盤(CD)1111円(税抜)SRCL-9453

▽CD収録内容

1. 北斗七星
2. ie
3. この闇を照らす光のむこうに -anly only version-
4. 北斗七星 -instrumental-
5. ie -instrumental-

▽初回生産限定盤DVD収録内容
1. 北斗七星 Music Video

ライブ情報

▽Anly Live Tour 2017 ☆北斗七星☆

10月10日 宮城・LIVE HOUSE enn 2nd
10月11日 群馬・HEAVEN'S ROCK宇都宮 VJ-2
10月14日 福岡・Queblick
10月15日 広島・BACK BEAT
10月19日 愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
10月20日 大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
10月24日 東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO

▽Special Unplugged Live

10月29日 沖縄・桜坂セントラル