ファッションや文学などからもインスピレーションを得ているというセレイナ・アン(撮影・片山 拓)

 シンガーソングライターのセレイナ・アンが8月2日にニューシングル「Love & Sweet」をリリースした。日本人の父とアメリカ人の母とのハーフであるセレイナ。日本テレビ系朝の情報番組『ZIP!』の『あおぞらキャラバン』で昨年1年出演し、全国を旅していた事でも馴染み深い。今年7月にメジャーデビュー1年を迎えた彼女は今回のインタビューで、音楽だけでなくファッションや文学などからもインスピレーションを得ているとも語った。「Love & Sweet」では新しい試みをおこなったという彼女。その感性と笑顔の裏側を覗いてみたい。

ナチュラルな音楽を増やしたい

セレイナ・アン

セレイナ・アン

――本日の衣装も、アーティスト写真もオーバーオールですね。

 そうなんです。オーバーオールがトレードマークなんです。オーバーオールは集めているので5、6着は持っています。古着は原宿や下北沢で買います。お気に入りの古着屋がいくつかあって。選ぶときは直感で好きな物を、という感じです。

――普段はどんな音楽を聴かれていますか?

 ジャンル問わず色々聴きます。J-popもK-popも聴くし、洋楽はもちろん聴きます。昔よりも色々なジャンルの音楽を聴いています。主にYouTubeやストリーミングを利用していますね。そこで注目トラックなどをチェックしています。最近聴いているのは、エマーソン・レイク・アンド・パーマー(イギリスのプログレッシブ・ロックバンド)です。古いのが最近多いです。そもそもザ・ビートルズが好きで、そこからオールディーズの曲も聴くようになったのがきっかけです。

――ちなみに日常生活で話されるのは日本語でしょうか?

 普段は日本語で話します。英語も喋ることはできるんですが、やはり母国語は日本語。お仕事は日本語の方が円滑に進みますが、友達作りは英語の方が上手くいきます。相手も英語を話せる場合は、日本語よりも英語の方が早く仲良くなれるんですよ。英語には「敬語」という概念がありませんから、言語としてのフレンドリーさがあるんでしょうね。曲作りに関しては、もともと洋楽をたくさん聴いていたので、英語で歌うことが一番ナチュラルです。

――メジャーデビューから1年が経ちましたが、現在の心境は。

 去年1年間は日本テレビの『ZIP!「あおぞらキャラバン」』に出演させて頂いていたので、すごく忙しかったです。でも今まで以上に成長した気がするので、これからもどんどん色んなものを吸収して成長していきたいと思います。

 成長した例をあげれば、以前は歌い方を色々考えながら歌っていたんです。今はナチュラルに歌う、という意識を持っています。技術も大切だと思うんですけど、私のやりたい音楽のスタイルに合うのは、ナチュラルな歌唱法がベストなのかなと。レコーディングの時などは、色々とノートに書き込んだりするよりも、頭で覚えられる範囲で意識しつつやっています。今は昔以上にやりたいスタイルに近づけていると思います。

 声質的にも「歌い上げる」というよりは、「寄り添ってあげる」という感じで歌っていきたいんです。力強くというよりも、その人の主題歌やBGMという感じでしょうか。色々と伝えたいこともたくさんあるんですけど、逆にリラックスしたメッセージを持って音楽に取り組むのも面白いと最近感じていまして。力強い楽曲がありつつも、ナチュラルな楽曲も増えていったらいいなと思います。

影響を受けたのは、エド・シーランと清水翔太

セレイナ・アン

セレイナ・アン

――ニューシングル「Love & Sweet」の楽曲についても教えてください。

 「Love & Sweet」は私が歌詞を作って、トラック制作(作曲など)はお願いして、これまで体験したことのないくらいの大人数のチームで制作しました。「All I Need」は私が作詞作曲をしています。これまでは事務所の先輩であるマット・キャブさんと私の1対1で作ることが多かったので、「Love & Sweet」については新しい試みで面白かったです。色んな方と曲を作ると、シンガーソングライターとしての立場は少し崩れるんですけど、そういうことも大切だと思うし、これから色んなものを吸収して成長していきたいと思うので、色んな方の影響を受けられるのは良いことだと思います。

 「All I Need」はお家でPCを使いながら、打ち込んで作りました。それをマット・キャブさんの所に持って行って編曲してもらったんです。ピアノから作って、『ZIP!「あおぞらキャラバン」』で去年1年間共にした相棒犬の「そら」との関係や、彼への気持ちなどをメロディに乗せたりしたんです。お別れをする前日に書いた曲だから結構へこんでいたんですけど、それを逆にポジティブに捉えようと思って曲を書きました。

 ピアノよりもギターの方が得意ですが、ピアノで作っていきました。この曲はギターで弾いていたら生まれなかった曲だと思うんです。ピアノは手癖が出るほどまだ上手くないのでわからないんですけど、上手になりたいですね。この前のワンマンライブでも、ちょっとだけピアノを弾いたんです。だから次のライブではちょっとと言わず、2、3曲ピアノでできたら面白いなと思っています。

――新譜にはエド・シーランのカバー「THINKING OUT LOUD」も収録されています。

 エド・シーランは私が1番大好きなシンガーソングライターなんです。高校一年生のときに彼の音楽に出会って、それが、私がシンガーソングライターになろうと決心したきっかけ。それまでは歌が好きで『歌いたいな』と思っていたんですけど、彼の音楽を聴いて、『自分で曲を書いて届けられるようになりたいな』と思ったんです。

 それから、私の音楽キャリアは洋楽のカバーをYouTubeに上げたりした事からスタートしました。その時にエド・シーランのカバーを何曲か上げていて。ファンの方もエド・シーランが好きという方が多いので、「洋楽カバーだったら、エド・シーランでしょ!」となったんです。日本人の中でも、「エド・シーランといったら『THINKING OUT LOUD』」という方が多いので、そこも意識しつつこの曲を選びました。

セレイナ・アン「Love & Sweet」

――エド・シーランのどんなところが好きなんですか?

 全てです。凄く大きなアリーナでたった1人、ループステーション(弾いたフレーズをループさせる機材)を使って、ステージを湧かせるというところが凄い。彼にしかできないことだと思うんです。歌詞の深さも、私が高校一年生の頃に聴いていた他のアーティストとは違いました。日本人で影響を受けたアーティストは、最近だと清水翔太さんです。昔のバラード楽曲も好きですし、最近のR&B調の楽曲も好きです。

――今作のミュージックビデオ(MV)はどういったイメージで撮られていますか?

 これまでのMVは「楽曲のイメージに忠実に作る」という感じでした。今回に関しては、香港で撮影しているのですが、ファッションや色合いなど、映像としても楽しめるものが作りたいと思っていました。私も意見を言いました。ジャケット撮影の時なども、色々な雑誌の切り抜きを貼ったスクラップブックを持って行って、それを見せながら「こういう雰囲気にしたいです」と現場で伝えました。スクラップブックに収めた写真の角度でイメージを伝えたり、背景や洋服の色の合わせ方や、その人の表情、髪、メイク、全部です。

 ファッションやメイク、写真も好きなので、この時代だからこそ、音楽を聴覚だけでなく視覚的にも楽しめるようにしたいと思っています。もちろん音楽が中心にありますが、他の要素もどんどん足していきたい。

――レコーディングのエピソードなどはありますか?

 どちらかというとレコーディングはすんなりといきました。これまで以上に少ない人数でスタジオでやって、私のやりたいようにナチュラルに歌わせてもらったので、凄くやりやすかったです。メジャーデビューから1年が経って、自分の歌声を客観的に捉えられるようになったので、「ここをこうした方が良いから、こう歌おう」ということを自分の中でちゃんと理解できるようになりました。そういった面で成長を感じています。

 テイク選びなども以前は任せていたのですが、今回は自分で選びました。ミックスの時も、前は「このトラックの音量をもっと上げて欲しい」といったことにも色々と意見が言えるようになりました。

違って当たり前だし、違うことが良いこと

セレイナ・アン

――自分から「こうしたい」という時のアイディアはどこから生まれますか?

 色んなものを見ているというのが大きいと思います。ファッションだったらインスタグラムからだったりとか、音楽だったら他の方の作品を聴いたり、インタビュー記事を読んだり。歌詞の内容だったら、映画を観たり小説を読んだりと、色んな方面から吸収しています。

 インスタグラムは大好きです。実は、YouTubeに上げる前にインスタグラムに15秒のカバー曲を上げていたんです。だから最初に他人に私の歌声を聴いてもらったのがインスタグラムで。だから私にとってインスタグラムというのは大きいんです。ファッションをやっている人もいるし、写真や音楽もやっている人もいるし、色んな使い方があるので面白いですね。

――新曲はライブでも披露されましたか?

 はい。やってます。「Love & Sweet」はみなさん乗り良く聴いて下さいましたし、自然と手拍子が沸き起こる感じだったので、凄く嬉しかったです。狙い通りですね(笑)。「All I Need」もショートバージョンをやらせてもらいました。

――ところで夏は好きですか?

 好きですよ! でも、四季が全部好きなんですよ。『みんな違ってみんないい』みたいな(笑)。その時期の音楽、その時期の食べ物、ファッションと。四季がなければダメですね。

――では夏と言えば?

 海、山…難しいですね。街ですかね。お買い物が好きなんです。山とか川とかは、去年1年間で行き過ぎちゃった(番組で)反動かな(笑)。でもたまに緑がいっぱいある所には行きたくなります。それから、『sunrise garden vol.1 supported by FRESH!』(8月13日開催)という日比谷野音のイベントに出させて頂けるんですけど、それが楽しみです。あとは、読みたい本がたくさんたまっているので、それを消化したいです。

――どんな本でしょうか?

 私は食について興味があるので、健康食などの本がいま家にたくさんたまっていて読み切れていないんです。あとは小説です。前は大学の課題で経済の本などばかりを読んでいたので、もっと小説などを読んだ方が歌詞作りにも良い影響が出るかなと思って読み始めたら、小説も凄く好きになったんです。

 以前は架空の話よりも現実の話を読むことが好きでした。ニュースに関連するような現実的な本も読んでいたんですけど、今は小説など、感情に密接に関わる本も色々読んでいます。去年の夏はアウトドアしていたので、今年の夏は篭って本を読んでいようかなと。

セレイナ・アン

セレイナ・アン

――次回作についてのイメージはありますか?

 今まではけっこうハッピーな曲が多かったんですけど、別れがテーマの曲などにも挑戦していきたいと思っています。ハッピーはネガティブの上に成り立っていると思っているんです。ネガティブがなければポジティブもないし、その逆もそうなので、ネガティブな部分にもスポットライトを当ててやってみるのも面白いんじゃないですかね。

 もう曲も作り始めています。デビュー2年目はアルバムを出したいんです。あとは、これまで以上に色んなアーティストさん方と一緒に曲作りをしていきたいです。機会があったら、表舞台に立たれているシンガーソングライターさんなどと一緒に制作ができたら嬉しいです。

――自分が誰かに客演するという可能性も?

 是非やりたいです! 先ほど話していた、清水翔太さんと一緒にやらせて頂けたら感激です。あとは、ギターを弾きながら音楽をやられている方々と一緒に出来たら素敵ですね。平井大さんは、凄く格好良い音楽をやられているので参加させて頂けたら最高。

――今注目しているファッションなどはありますか?

 スポーティミックスなエレガントスタイルに興味があります。私服では、もうそういったスタイルでいるんですよ。とにかく今は古着が流行っていると思うんです。古着のスポーツブランドと、ヒールにレディなバッグを持って、というスタイルが今来ていると思います。ファッションなどをチェックするのは雑誌よりも、YouTubeやインスタグラム。

 中高生の頃は、メイクをYouTubeで勉強していました。色々とチャンネル登録していて、毎朝YouTubeのページを開くのが日課なんです。「この人、新しいのを出してる! 見よう」という感じで。音楽をやっている方のものもチャンネル登録しているんですけど、ファッションやメイクをやっている海外の女の子達をフォローする方が多いです。

――日本と海外のメイクについて思う事があれば教えてください。

 むしろ私は日本のメイクを勉強したことがないんですよ。海外には海外の、日本人には日本人に合うメイクがあると思います。食生活もそう。アメリカ人はアメリカの食生活が合うし、日本人は和食が合う、という感じで『違って当たり前』と感じるんです。身体と心に合うものはみんな違うし、その国の風土や空気によっても変わってくるのではないでしょうか。

――音楽に関してはどうでしょう?

 日本にいるからこそ生まれるメロディもあるし、イギリスだったらイギリスの気候に影響された音楽が生まれると思うんです。エド・シーランの音楽も、イギリスのどんよりした天気があったから彼の音楽が生まれたんだと感じます。LAのピカピカのビーチのもとではああいった音楽は生まれなかったんじゃないでしょうか。

 だから「違いだらけ」とも言えるんじゃないですかね。あまり「違うから」ということは考えたくないんですが、でも私はハーフだから、そういう事を小さい頃から考えてきた方だと思うんですよ。だから今は『違って当たり前だし、違うことが良いこと』という風に考えているんです。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

 直接、リアルタイムにファンの方々と繋がれる事が大好きなので、ライブや生配信を是非観て頂きたいです。

(取材=小池直也/撮影=片山 拓)

ニューシングル「Love & Sweet」試聴・購入サイト
https://virgin-music-japan.lnk.to/VEQVsMu

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