「中途半端な作品には絶対にしたくない」との思いを胸に「熱源」を作りあげたcinema staff

 メジャーデビュー5周年を迎える4人組ロックバンドのcinema staffが5月17日に、通算6枚目となるアルバム『熱源』をリリースした。2013年アニメ『進撃の巨人』ED曲「great escape」がヒット。その後も衝動的なギターロックサウンドで魅了。昨年リリースのフルアルバム『eve』ではプロデューサーを立てコンセプチュアルに制作したが、今作では再びセルフプロデュース。作詞を担当したベースの三島想平は「このアルバムは20代最後の録音物になるからこそ、中途半端な作品には絶対にしたくない」と語っている。彼らはどんな想いをここに詰め込んだのか、歌詞の捉え方など4人に話を聞いた。

メロディを意識せずにアレンジ

 

――通算6枚目となるアルバム『熱源』が誕生。タイトル通り、凄まじい熱を放つ曲を数多く詰め込みました。詳しい内容の話へ入る前に、アルバム『熱源』を作るに当たってどんな意図や狙いを持っていたのか教えてください。

三島想平 僕ら、今回でアルバムは通算6枚目。メジャーになってからでも5枚目になるんですけど。インディーズ時代のcinema staffは、初期衝動に満ちた作品を作っていました。メジャーに進んで以降は、アルバムごとでいろんなことに挑み続けてきた。中でも前作の『eve』ではプロデューサーを立てたように、コンセプチュアルに作った作品でした。

 『eve』に関しては、あえてキャッチーな方向というか、ポップな質感を狙って作りあげたこともあって、新作は一度、原点回帰をした姿のもと、cinema staffが本来持っているナチュラルな形で作品を制作しようというところから始まったんです。それが、初期の頃のバンドが持っていた熱を帯びているのと同じ感じというか、“フツフツ“と熱が沸いてくる(音的な)表情でした。中でも、タイトルにもなった「熱源」が生まれたことは、アルバム制作を押し進めていくうえで大きかったです。

――『熱源』は、衝動へ満ちた曲たちを詰め込みたい意識を持って作り始めたのでしょうか?

三島想平 メンバー4人でガッと音を鳴らしたときに生まれる衝動が、やっぱみんな好きなんですよ。もちろん、メロディが良くなければ駄目というのはずっとあることですけど。ここ数年、メロディに対してどうアレンジしていくかを重きに置いていたので、今回に関しては、「メロディを意識せずにアレンジしよう」という、昔と同じ姿勢で向かったところはありました。

――本作へも、メロディアスな歌と歪んだギターが絶妙に絡み合っていく楽曲を多く詰め込んでいますよね。

飯田瑞規 自分の歌自体が聞きやすさを持っているように、演奏と歌声とのせめぎ合いで生まれる音楽こそがcinema staffの武器だなと思っているし、今回はそういう曲たちを詰め込んだアルバムですからね。

――収録した「souvenir」はまさに、メロディアスなギターと歪みを上げたギターが絶妙に重なりあった曲。そういう音楽スタイルを、最初から意識して制作に入ったわけですよね。

飯田瑞規 そうですね。サウンドと歌声のマッチの仕方はずっと求め続けてきたことなんです。『熱源』というアルバムに関しても、制作へ入る前はもちろん、入ってからもメンバーやスタッフとそこを見据えた話をし続けていました。

――メンバー全員が、同じ意識を持ってアルバム制作へ向かっていったわけですね。

久野洋平 アルバム作りを始めるたびに意識の共有はしていくんです。今回に関しては、前作からの反動もあって、みんな同じことを考えていたようにすごくわかりやすかったというか、「こうだろうな」という意識を制作前から共有出来ていたのは、デカいことだったかも知れないです。

――『eve』というコンセプチュアルなアルバムを作ったからこそ、その反動から衝動に満ちた作品へ意識が向いたということですか?

久野洋平 そうですね。『eve』でやりきった感があったからこそ、自然と今回のような方向性でアルバムを作りたかったというか…。

辻友貴 スタッフを含めたみんなの意識が自然と同じ方向へ向いていった感じはありました。

――前作『eve』にプロデューサーを据えたことは、バンドにとって大切な経験になりました?

辻友貴 『eve』に関してはプロデューサーの方とどう進めてゆくかを、話しあいながら作りあげたように良い経験になりました。

――プロデューサーが居る、居ないという制作環境の違いには、けっこう大きな差異も感じます?

辻友貴 だいぶデカいですね。『eve』はプロデューサーの意志を信じて作っていった。でも『熱源』というアルバムは、全部自分たちでジャッジしようという感覚だったんで。

――自分たちでジャッジしたほうがしっくりくる?

三島想平 僕ら4人がいいと思ったものをジャッジする面では、腑に堕ちるところはありましたけど。野球でいう監督のようにプロデューサーの意図へ従うことに『eve』では意味があったように、そこは一長一短だと思います。

 僕らに関してはセルフプロデュースでやってきた時期のほうが長いように、自分らだけでやる方法論はもちろんあること。ただ、昨年の一年間はプロデューサーを立ててやることへ舵取りをし続けていたことから、今回は、改めて自分たちなりに「昔はどうやって作っていたんだろう?」と思い出しながら進めていった面もありました。