ツアー初日公演のもよう/撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)

 5人組ロックバンドのGOOD ON THE REELが3月24日に、神奈川・クラブチッタ川崎でワンマンツアー『GOOD ON THE REEL 2017 TOUR「グアナコ の行進』の幕を開けた。2月8日リリースのアルバム『グアナコの足』を引っさげてのツアーで。全国20公演をおこなう予定。ファイナルは6月16日の中野サンプラザで迎える。初日のこの日は、アルバムの世界観を存分に見せた。フロントマンの千野隆尋は「僕たちもここに一歩踏み出した。この日が新たな始まりの一歩になったら嬉しいです」とツアーへの期待感を示した。

この日が新たな始まりの一歩になったら嬉しいです

撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)

 演奏は、音という蹄を上げながら心地好く駆けだした。ジワジワと上がる楽曲に乗せ、千野隆尋が言葉を紡ぐように一言ひと言を歌いあげてゆく。冒頭を飾った「砂漠」が、演奏の昂りと重なるように触れた人たちの感情を心地よく上げだした。雄大な楽曲だ。でも、疾走する楽曲は確かに鼓動を打っていた。もっともっと昂りたいんだろうと…。

 その歌と演奏は、漲る力を蓄えていた。GOOD ON THE REELは魂の昂りを「雨天決行」に込め力いっぱいぶつけた。沸き上がる想いを受け止めようと、フロアからは無数の手が舞台上へ伸びてゆく。“ここに生きてるぞ”と言わんばかりに、腹の奥底から吐き出すよう千野は熱く歌いかける。場内にこだまする<オーオー♪>の声。その歌は生きていた。心の傷さえ晒しながら命をぶつけていた。

 重厚な音を背負いながらザクザクとした演奏が走りだした。その音と歌声が照らしたのは、沸き上がる興奮を抑えきれない観客たちの心の声。大勢の人たちが拳を振り上げていた。千野の突き上げる拳に、己の拳も照らし合わせずにいれなかった。

 千野は「ツアーがスタートしました。これから新たな旅の始まりですよ。『グアナゴの行進』というだけあって、一歩一歩進めたらいいなと思います。人間どんなタイミングでも一歩を踏みだすことが出来る。僕たちもここに一歩踏み出した。これから、同じ空間を一緒に共有出来るのを嬉しく思います。この日が、新たな始まりの一歩になったら嬉しいです」とツアー初日の想いを話した。

 演奏は一気に弾け飛んだ。突き上がる衝動を演奏へぶつけるように、込み上がる感情を歌声に変えながら、輝きに向かって「いなくなる日」が力いっぱい駆けだした。一緒に駆けだしたい、共に息を切らして走りながら興奮という音を味わいたい。フロアでは大勢の人たちが、時にメンバーたちの高揚してゆく姿を凝視しながらも、拳を突き上げ演奏へ身を浸していた。

この時間も当たり前に過ぎてしまうからこそ大切にしよう

撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)

 「いつも当たり前のようにあるものがずっとあるわけじゃない、だからこそ大切にしましょう。当たり前って気付けないんだよね。だから、何時も言わない『ありがとう』と意識して言ってみたり。そうやって大切に過ごしていくと、いつしかそれは当たり前じゃなくて大切なものに変わっていくと思うんです。この時間も当たり前に過ぎてしまうからこそ大切にしよう」と千野が時間の大切さを投げかける。

 そして、生々しいギターのリフレインが、その温かい歌声が、ひと筋の光として心へ射し込んできた。触れた人たちの気持ちをゆったり弾ませるように流れたのが「24時間」。言葉のひと言ひと言を想いを告白するように歌う千野。その歌声へ切なくも優しい色を添えてゆく演奏陣。抱きしめられている感覚。この曲に触れている間、そんな温かさに抱かれていた。音に、歌に、想いに抱きしめられたとき、人はこんな痛心地好い気持ちを覚えるのだろう。

 ゆったりとしたうねりのなか、スケールあふれる演奏が描き出したのは、胸をギュッと潤してゆく切ない物語。今にも壊れそうな声色や切々とした旋律を通し、GOOD ON THE REELはミドルバラードの「エターナル・サンシャイン」を披露。雄大な楽曲だ。だからこそ詰め込んだ切なさや悲しみが、気持ち潤すドラマとして心を支配していた。

 タイトな高橋誠のドラムの上で、軽やかに岡崎広平のギターの音色が滑り出した。まるで氷上をスーッと滑走するようだ。「zzz」に触れながら、いつしか笑みを浮かべていた。それは、軽やかに舞い踊る演奏が連れだした歌のマジック。<眠れない夜♪>と歌を連呼してゆく千野、僕らは笑みを絶やすことなくこの曲に酔いしれていた。

 フィードバックしたギターの音からの幕開け。どこか冷たさを抱きながらも広がり続ける歪んだギターの音色。シューゲイズした音の上で、抑揚を抱きながら千野は「冬の羊」を歌いあげてゆく。揺れ動く音のうねりに包まれながら、ゆっくり気持ちを上げたかった。次第に昂る鼓動の音に合わせ、ただただ身体を揺らしていたかった。

憧れのステージに立てて嬉しいです

撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)

 「ワンマンは楽しいな。待ちに待ったこの日、改めてありがとうございます。男が増えたね、この長い歴史の中、ホント女の子ばっかだったもんね、それはそれで幸せだったけど」(宇佐美友啓)

 力強さを抱きながら演奏が走り出した。たぎる感情を歌にぶつけてゆく千野。炸裂したエナジーは熱情的な演奏に姿を変え、眼前へ降り注いできた。一緒に熱くならないかと誘いをかけるように、「夜にだけ」が魂を揺さぶりだす。歌も演奏も、とても情熱的だ。マイナー調の演奏にも関わらず、いや、クールな音の中に秘めた熱いたぎりが、生々しいままに解き放たれてゆくからこそ、心がそう感じていた。

 伊丸岡亮太の掻き鳴らすギターの音の上で、力強く歌いあげる千野。高橋のドラムビートが重なると、楽曲は「アイスランド」へ。演奏が進むごと、楽曲が熱を帯びてゆく。緩急巧みに色を変えながら、一度上がった熱をしっかり抱いたまま演奏はどんどん躍動し続けていた。抑揚した声で沸き上がる想いを叫ぶように歌う千野の姿も、眩しく瞳に映っていた。

 ヒステリカルでフリーキーなギターのアンサンブルが印象的だ。重く躍動した演奏が、身体を熱く刺激し出した。凛々しく、雄々しく音を突き付けた「REM」に触発され、会場中の人たちも拳を天高く突き上げ、昂る気持ちを舞台上へぶつけていた。雄々しく震える気持ちを熱に変えていた。

 爆発したい…。熱した観客たちの感情を刺激するように豪圧なギターロックナンバー「Drop」が飛び出した。炸裂するギターの音の唸りが、身体中の血管を熱く脈動させてゆく。爆走する音と一緒にスパークしていけばいい。突き上げた拳に、己の叫びを込めて打ち放てばいい。轟音と激情した歌声に包まれていることが何よりも心地好かった。想いのあふれでた歌と演奏と一緒に踊っていた。大きな大きな音のうねりの中で、心地好くとろけていた。

 「個人的にこの場所へ16歳のときにライブを観に来てるんです。憧れのステージに立てて嬉しいです。お腹いっぱいですわ」と高橋がクラブチッタでライブをおこなえたことの喜びを語った。

辿り着いたここが僕らにとっての“グアナコの地”

撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)

 沸き上がった無数の手拍子。楽曲はスキップするように心地好く光へ向かって昇り続けてゆく。すべてのわだかまりを消し去るよう「rainbeat」が魂に歓喜な想いを降り注いでいく。雨を題材にした楽曲だ。でも弾む華やかな演奏は、間違いなく気持ちへ脈動する力と輝きを与えてくれた。振り上げた拳を揺らすたびに、腕の振幅が大きくなってゆく。それだけ心が嬉しく開放されていたからだ。場内から沸き上がる手拍子が大きくなっていたのが、その証拠。誰もが魂を開放し、光降り注ぐ歌に興奮を覚えていた。なんて魂を歓喜させる歌だ。

 演奏は、轟きを上げ一気に弾けた。「灯火」が魂に情熱を注いでゆく。突き上がる熱い衝動を誰もが拳に託し、舞台へぶつけていた。何より、熱く破裂した演奏をすべてつかみとりたい気持ちで思いきり騒いでいた。落ちサビで生まれた熱い手拍子、熱を込めたその演奏にただただ身を委ねていたい。

 ゆったりと、でも雄大な唸りを持って流れる三拍子の演奏の上で、想いを語るように千野が「シャボン玉」を歌いかけた。廻るミラーボールの光を浴びながら、誰もがゆったり大きく身体を揺らし、想いのあふれ出た歌や演奏と一緒に踊っていた。大きな大きな音のうねりの中で心地好くとろけていた。

撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)

 この日の興奮を身体にしっかり抱きながら、この歌を未来へ向かうための心の糧にし、彼らと一緒に明日へ進む列車に乗り込んでいた。次の駅(ライブ)で想いを分かちあおうと互いに約束を交わすように。

 「5人でここまで歩いてきました。辿り着いたここが僕らにとっての“グアナコの地”だと思います。このツアーを通し、これからたくさんの人たちと想いを交わしあっていきます。そこで生まれるものは純粋で美しいと思うんだ。心が動いたってことが本当の答えだと思うんだ。この日、最高のグアナコの行進の始まりを踏み出せたと思います」(千野隆尋)

 場内に瞬いた無数の星の輝き。最後にGOOD ON THE REELは、これまでの熱狂の物語を次の出会いへ繋ぐように、朗々と力強く、何より、あふれんばかりの想いを持って「銀河鉄道の朝」を歌い奏でていた。誰もがGOOD ON THE REELの演奏に乗り、果ての世界へ向かっていた。この日の興奮を身体にしっかり抱きながら、この歌を未来へ向かうための心の糧にし、彼らと一緒に明日へ進む想いの列車に乗り込んでいた。そしてまた、次の駅(ライブ)で想いを分かちあおうと互いに約束を交わすように…。

 ツアーファイナルは、6月16日の中野サンプラザ。この日までに、どれだけ大きく成長しているのか楽しみになってきた。(取材=長澤智典)

ツアー情報

GOOD ON THE REEL 2017 TOUR
HAVE A "GOOD" NIGHT Vol.51~70「グアナコの行進」

3月24日(金)神奈川 川崎クラブチッタ
4月1日 (土)兵庫 KOBE VARIT.
4月2日 (日)香川 高松DIME
4月4日 (火)京都 KYOTO MUSE
4月6日 (木)広島 セカンドクラッチ
4月8日 (土)熊本 B.9 V2
4月9日 (日)鹿児島 SR HALL
4月15日(土)静岡 静岡UMBER
4月23日(日)札幌 cube garden
4月28日(金)盛岡 change wave
5月12日(金)岡山 YEBISU YA PRO
5月13日(土)福岡 DRUM LOGOS
5月21日(日)名古屋 ダイアモンドホール
5月25日(木)宇都宮 ヘブンズロック
5月27日(土)新潟 NEXS
5月28日(日)金沢 AZ
6月3日 (土)仙台 darwin
6月4日 (日)郡山 #9
6月11日(日)大阪 なんばHatch
6月16日(金)東京 中野サンプラザ

作品情報

DVD
2016年10月9日に実施された初の日比谷野外大音楽堂・ワンマンライブ「GOOD ON THE REEL presents『HAVE A “GOOD” NIGHT vol.50』の模様を収録したGOOD ON THE REEL初のライブ映像商品。

HAVE A “GOOD” NIGHT
価格=4,800円+税
発売日:2017年3月22日
UPBH-1425
▽収録内容
・雨天決行
・ユリイカ
・それは彼女の部屋で二人
・2月のセプテンバー
・花
・エターナル・サンシャイン
・夕映
・夏の大三角
・つぼみ
・24時間
・rainbeat
・ゴースト
・シャボン玉
・REM
・サーチライト
・ホワイトライン
・素晴らしき今日の始まり
・シャワー
・砂漠
・うまくは言えないけれど
・ハッピーエンド
・Mr. Week

CD
グアナコの足
CD発売日:2017年2月8日
※「グアナコの足」とは、世界で最も乾燥したアタカマ砂漠で雨が降った時に現れる奇跡のような花畑に咲く花の通称。
初回限定盤(CD+DVD):3,600円+税、UPCH-7225
通常盤:2,800円+税、UPCH-2108
▽CD収録内容 全12曲収録
1.「砂漠」
2.「小さな部屋」
3.「Drop」
4.「mean me in」
5.「ひらり」
6.「あいつ」
7.「逃げ水」
8.「いなくなる日」
9.「zzz」
10.「冬の羊」
11.「灯火」
12.「銀河鉄道の朝」

初回盤DVD収録内容
「夜にだけ」Music Video
「つぼみ」Music Video
「サーチライト」Music Video
「雨天決行」Music Video
新曲「小さな部屋」Music Video