『第9回CDショップ大賞』準大賞を獲得したAimerと全国のCDショップ店員(撮影=松尾模糊)

 『第9回CDショップ大賞2017』が先日発表され、都内で授賞式がおこなわれた。大賞に宇多田ヒカルの6thアルバム『Fantome』が、準大賞に女性シンガーのAimer(エメ)の『daydream』が選ばれた。今回は、入賞作以外にも数ある注目作から記者が独断と偏見で2作を選んだ。

 「メジャー、インディーズを問わず、賞をきっかけにブレイクが期待される作品を、CDショップ店頭から全国へ向けて発信、選出」するというコンセプトのもと、選ばれた楽曲とアーティスト。「洋楽賞」や「ジャズ賞」、「クラシック賞」など、各分野に特化した賞も同時に発表された。このバラエティに富んだラインアップも「CDショップ大賞」の魅力の一つ。当媒体の記者が特に注目するアーティストを以下に紹介したい。

WONK

 この日「ジャズ賞」を受賞し、授賞式にも出席した、4人組エクスペリメンタル・ソウルバンドの「WONK」。ジャズやソウル、ヒップホップの要素をクロスオーバーに取り入れ、独自の音楽を生み出している。

 2013年にKento NAGATSUKA(Vo)、Ayatake EZAKI(Key)、Kan INOUE(Ba)Hikaru ARATA(Dr)の4人により結成された。日本人離れした楽曲やライブで話題となっている。世界水準のバンドとして業界関係者の評価も高いという。

「ジャズ賞」を受賞したWONK(撮影=松尾模糊)

 2015年の1月に1st EP『From the Inheritance』をリリース。昨年9月に1stアルバム『Sphere』をリリース。今回は本作が受賞対象となった。Kento NAGATSUKAのセクシーな英語詞による歌唱や、Ayatake EZAKIのトリッキーな電子音とHikaru ARATAの確かな技術に裏打ちされたリズムと、しっかりとメロディに寄り添うKan INOUEのベースが奇跡的なグルーヴを生み、聴く者のマインドを、気持ちよくトリップさせる。

 受賞に際し、Kento NAGATSUKAは「僕たちのような万人受けするようなポップスを売りにする音楽をやっているわけではないバンドを評価して頂いて、とても嬉しく思います。これからもみんなの心に刺さるような良い作品を作れるように頑張っていきたい」と喜びのコメントを残した。

 まだ結成から4年弱で完成されている世界観が、これからの飛躍を物語っているようだ。

反田恭平

 今回「クラシック賞」を受賞した、ピアニスト反田恭平(22)。クラシック界では天才的演奏とは裏腹の、まだあどけなさを残すルックスで“貴公子”とも呼ばれ、確かな人気を誇る。

 2012年に、男性では史上最年少で日本音楽コンクール第1位を獲得。2015年7月に『リスト』でメジャーデビューを果たした。

 今回は『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/パガニーニの主題による狂詩曲』が受賞対象作となった。アンドレア・バッティストーニ指揮による東京フィルハーモニー交響楽団との共演で露・作曲家でピアニスト、セルゲイ・ラフマニノフの代表曲「ピアノ協奏曲第2番」と、25部から成る変奏曲形式の、ピアノを独奏楽器とする協奏的狂詩曲「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏している。

 反田は、昨年10月に放送されたTBS系『情熱大陸』に出演し、世間にも広く知られる存在となった。ピアニストでありながら、弾く力を付ける為に素手でサンドバックを殴るなど、独特の存在感を放つ。

 今作についても、彼は「破天荒さを、誰もがやってこなかったような表現の仕方を要所に散りばめた」と小媒体のインタビューで語っている。彼が語るようにどこか繊細さを残しながらも荒々しく激しい情緒あふれる演奏は聴衆の心を掴んで離さない魅力に溢れている。

 若干22歳。これからどのようにピアニストとして進化を遂げていくのか、非常に楽しみな才気あふれる新鋭アーティストである。(取材=松尾模糊)