最新アルバムは“四者四様”の個性を発揮することができたと自信をのぞかせたKEYTALKの首藤義勝と八木優樹

 4人組ロックバンドのKEYTALKが3月15日に、メジャー3rdアルバム『PARADISE』をリリースする。2013年にシングル「コースター」でデビュー。ダンスロックバンドブームの一端を担う活躍ぶりで、お祭りバンドとして夏フェスには欠かせない存在になっている。今作では、メンバー全員が作詞・作曲を担当。首藤義勝(Vo&B)は「四者四様の個性を発揮したアルバムになった」と自信をのぞかせる。彼らが今作で表現したものとは? そして、アルバムにおける彼らの個性とは? 首藤と八木優樹(Dr)に話を聞いた。

破壊衝動やムカつくやつがいて作ったわけじゃないんです(八木)

首藤義勝と八木優樹

――アルバム『PARADISE』は、17曲収録のボリュームたっぷりの作品になりましたね。

八木優樹 ただアホなだけです。

首藤義勝 既存曲だけでも、年明けの配信シングルと合わせて8曲あって、それで全12曲くらいだと、さすがにお客さんに申し訳ないし。僕らももっと新曲を入れたいから、それならいっぱい入れちゃおうという感じになったわけです。

――4人それぞれが作詞作曲した新曲が入っていて、曲を聴くと誰が作ったのか想像出来るくらい、個性がはっきり出ている。みんなの顔がしっかり見えるアルバムですね。

首藤義勝 四者四様と言うか。それが、今作のいちばんの特徴だと言っていいと思います。

――まず八木さんの作詞作曲で、「HOROBIRO」はタイトルからして面白い。あっと言う間に通り過ぎるような曲だし。

八木優樹 全17曲で長いアルバムになることは分かっていたので、その中ですごく速くて短くてうるさい曲があったら面白いんじゃないかというアイデアがあって。ちょうど真ん中に配置されていて、つなぎと言うと言い方があれですが、曲数の多いアルバムにはそういう曲も絶対に必要なので。

――何に対して<滅びろ!>と歌っているんですか?

八木優樹 破壊衝動があるとか、誰かムカつくやつがいて作ったというわけじゃないんです。自分の中にある、嫌なところとか、ズルいところに対して、なくなれば良いのにって。きっと誰にでもある気持ちだと思うし、決してネガティブな感情というわけじゃないんです。でも、ムカつくヤツに向けて歌ってもらっても、良いんですけどね(笑)。

――「秘密」という曲では、<パラリラリー>と歌っている歌詞もあって、これもすごくユーモアたっぷりですね。

八木優樹 最初はもっと挑発的な歌詞を書こうと思っていたんですけど、上手く書けなくて。「ああ、もうダメだしゃ〜」というモードで書いた歌詞がこれです。ただ、そのときの気持ちをそのまま書くのは、KEYTALKではやりたくないと思って。それで、アホなふりしてじゃないけど、面白い感じに見えたら良いなと思って書きました。まあ、実際アホではあるんですけど(笑)。

――この2曲の他に、シングルにも収録された「Combat Song」とか、八木さんの曲は、シンプルでストレートなものが多いですね。

八木優樹 そうですね。トリッキーな曲を作る人は他にいるので。自分の役どころというか、そういうのは曲を作っていくうちに、何となく分かっていったというか。

――八木さんは、KEYTALKの中では、真っ直ぐなアホ担当みたいな。

八木優樹 まさしく!

首藤義勝 でも、シンプルでストレートな中にもフックがちゃんとあって、それはメロディだったり歌詞だったりするんですけど。そのバランスが上手いなと思います。僕が言うのも変ですけど。

「ミルクティーは恋の味」で、男子も乙女の気分になって欲しい(首藤)

KEYTALK「PARADISE」初回盤AB共通

――首藤さんの楽曲は、まず1曲目「Summer Venus」がそうですね。前作『HOT!』でも、夏っぽい曲がたくさんありましたけど。

首藤義勝 『HOT!』の1曲目が「YURAMEKI SUMMER」という夏向け&フェス向けの曲で、すごくハマった感覚があったので、今回も1曲目にそういう曲が欲しいと思って作りました。

――後半にはEDMの展開があり、それがサンバになるという。EDMとサンバを「PPAP」したみたいな(笑)。

首藤義勝 確かに。EDMをぶち込む案は最初からあって、そこから広げていったんですけど。けっこうな力技で、ぶっ刺している感じなので、まさしくですね。

八木優樹 こういうミクスチャーのやり方は、KEYTALKじゃなきゃ出来ないだろうなと自負はあって。パーカッシブな感じからのEDM、そこからの爽やかなサビメロの流れが最高です。

首藤義勝 夏にはまだ少し早いですけど、どこよりも早いサマーチューンということで。今のうちから予習をしておいてもらえれば嬉しいです。

――ちなみに夏曲は、何曲くらいあるんですか?

首藤義勝 タイトルに「サマー」が付いた曲だけで5〜6曲はあって、“実はこれも夏曲でした”というのも含めると、10曲かな?

 単純に夏が好きだし、楽しいことがいっぱいある季節なので。それが僕らの音楽性ともすごくマッチしていると思うし、夏フェスとも結びつきやすいので。インディーズ時代からお祭りをテーマにした曲も多くて、お祭りと言えば夏ですから。

――また、イントロがオルゴールっぽい感じもあってかわいい「ミルクティーは恋の味」という曲も。

首藤義勝 イントロは、映画のエンドロールで流れ始めたらきっと良いだろうなというイメージで考えました。個人的にもこの曲は、すごく気に入っています。

――女の子が好きそうなタイプの曲ですね。タイトルも女の子が付けそうな感じ。

首藤義勝 タイトルは最後に付けたんですけど、どっちかというと女子目線の曲ですね。正直、男の僕がこういうタイトルを付けるのって、すごく照れくさかったんですけど、もうこれしかない! と思ったので。

八木優樹 乙女心をすごく感じます。男の俺が聴いて、ドキドキしてキュンとくるくらい、すごく良い曲だと思いました。

首藤義勝 ストーリー仕立てというわけではないんだけど、情景描写の部分で、小説っぽい感じで生々しくならないように作っていて。あまり具体的すぎないように、でも要所要所でハッとさせられたらと思いました。男子もこの曲で、乙女の気分になって欲しいです。

――首藤さんの曲は、他に「boys & girls」とか「Love me」とか、恋愛っぽい楽曲テイストが多いですね。

首藤義勝 そうですね。今作では、それを少し意識して作りました。かっこいい曲よりは、やさしい曲とか楽しい曲とか。とりあえず、明るい曲を作ろうという意識はありました。最近の僕のモードで、そういう曲を作るのが好きなだというのもあったので。

武正は、KEYTALKのマッドサイエンティスト(八木)

首藤義勝と八木優樹

――他のメンバーの曲の話で、ギターの小野(武正)さんが作る曲は、トリッキーなものが多いですよね。「ダウンロードディスコ」は、未来感がありながら、スカとかディスコとか昔からあるものが組み合わさって、まったく新しいものを作っていて。

八木優樹 アルバムに、すごく良いエッセンスを与えていますね。彼は、こういう新しいものを作るのが得意なんです。だから言い換えると、KEYTALKにおける科学者みたいな。ただ、マッドサイエンティストなんですけど(笑)。

 「パラサイト」も武正で、この曲の歌詞のテーマは、“人間VSコンピュータ”だそうです。コンピュータに浸食された世界。コンピュータと人間の関係を題材にした歌詞は、武正の曲にはけっこう多くて、その点でもやっぱり科学者だなって思いますね。

 ただ、メロコアからまさかのジャズという展開が、マッドだと思うところで。しかもこういうアイデアって、中高生くらいでも思いつくような幼いものなんだけど、それをこんなにもかっこよく仕上げることが出来る人って、なかなかいないと思います。それが、彼の素晴らしさですね。個人的には<跳梁跋扈泣き寝入り>というところの義勝くんの歌が、すごく気に入っています。超いいです!

首藤義勝 マジっすか!

――そういうボーカルに関しては、曲を作ったメンバーからディレクションを受けたりするんですか?

首藤義勝 けっこう好きに歌わせてもらっています。何かあれば、どんどん言ってね、という感じですけど。

八木優樹 僕も武正も、ボーカルの2人に委ねているので。曲を作っている時点で、きっとこう歌ってくれるだろうという予測もしているし、付き合いも長いのでそんなにイメージがずれることもないし。ただ、武正が作った「森羅万象」の後半で、突然巨匠(寺中友将)のラップが出てきたときは、全員の予想をあまりに超えていてぶっ飛びました。

首藤義勝 あそこは、ハッとさせられましたね。「かっけえ〜! そんなことも出来るんだ〜!」って。

――そんな巨匠の曲は、「MATSURI BAYASHI」とか「STAY」「Oh!En!Ka!」など、シングル向けのキャッチーなものが多く、どれも熱くて真っ直ぐですね。

八木優樹 巨匠の曲も、ストレート系ですね。歌詞を見なくてもメッセージが伝わってくるし、熱さがあります。その熱さも年々増している感じがしますね。ライザップに通い始めたころから、薄々感じていましたけど(笑)。

――それぞれのキャラクターが発揮されていて、まるで栄養バランスの取れた4色弁当みたいなアルバムですね。

首藤義勝 ああ、確かにそんな感じだと思います。たくさん食べてください(笑)。

KEYTALKはなぜかファイナルを大阪でやりがち

KEYTALK

――アルバムタイトルの『PARADISE』は?

首藤義勝 これは八木くんが考えました。

八木優樹 今作は、すごく自由に楽しく曲が作れた実感があって。1曲目の「Summer Venus」からも、「こいつら明るくてイカれてんな!」って、良い意味で思ってもらえると思うし。そういう印象も含めて、このアルバムを表現するひと言として、『PARADISE』と付けました。

――作っている状況がメンバーにとってパラダイスだったし、聴いた人にとっても聴いたその場がパラダイスになると。

八木優樹 そうなってくれたらいいですね。さらにライブに来てもらえれば、そこはもう確実にパラダイスなので。

――最後にツアー『KEYTALK爆裂疾風ツアー2017 ~みんなの街でパラリラパパパラダイス~』ですが、KEYTALK史上最多本数だそうで。小さいライブハウスからZeppクラスまで、会場の規模もさまざまですね。

首藤義勝 Zeppみたいなところは大きな街にしかないし、こういう機会でないと行けないところにも行きたいと思うと、会場はどうしてもいろいろな規模感になります。

八木優樹 あとファイナルが、Zepp Osaka Baysideなんですけど、KEYTALKはなぜかファイナルを大阪でやりがちです(笑)。

首藤義勝 全会場楽しみですよ。僕らはたくさんやるけど、お客さんにとってはその日1日、1回だけなので。1本1本、特別な時間を作れるように楽しみたいです。もう、僕ら自身楽しみに行きます。

――結成が2009年で、10年くらい活動しているわけですが。その当時と比べて、今のライブはどんな風に変わりましたか?

首藤義勝 最初はバンド名が違ったので、公式には2009年からなんですけど、実はそうなんですよね。

八木優樹 でもあのころは、お客さんが一人もいなくて。ライブをやるたびに赤字になるという状況でした。

首藤義勝 21歳とか22歳のころかな? 灰色の青春時代でした。

八木優樹 インディーズでCDを出すようになってからは、ライブハウスの店長さんの計らいでノルマもなくなって。それでもなかなかお客さんが呼べなかったですけど。

首藤義勝 やっと少しずつですけど、当時の恩返しが出来るようになりました。

――当時から変わらないものは?

八木優樹 メンバーの本質的な人間性は、まったく変わってないと思います。ある程度の社会性とか客観性は持てるようになったと思いますけど、人間的な部分は変わってないなと思います。

――首藤さんは、きっと子どものころは大人しかったのでは?

首藤義勝 バレてますね(笑)。だからこそ、やり残した青春と言うか、今になって青春をやり直しているところもあります。

――八木さんは、小学生のころからケツを出していたんでしょうね。

八木優樹 出していましたよ(笑)。プールの着替えで全裸になって廊下を走り回って、先生に怒られたりしていました。

――前に撮影のときも、ケツ出していて。

八木優樹 ああ〜小学生から変わってないんだ〜、俺。

首藤義勝 そこは、変えてほしいです(笑)。

(取材・撮影=榑林史章)

 ◆KEYTALK 2009年に首藤義勝(Vo&B)、八木優樹(Dr&Cho)、寺中友将(Vo&G)、小野武正(G&MC,Cho)で結成。下北沢のライブハウスを中心に人気を集め、2013年にシングル「コースター」でメジャーデビュー。アニメ『境界のRINNE』前期オープニングテーマ「桜花爛漫」や、アニメ『ドラゴンボール超』エンディングテーマ「スターリングスター」などを経て、2015年に初の日本武道館公演を開催。盛り上げ番長として、夏フェスやイベントには引っ張りだこの人気を得ている。

ライブ情報

『KEYTALK 4th AL「PARADAISE」発売記念フリーライブ「代々木でリリパパパラダイス」』
3月29日(水)東京・代々木公園野外ステージ

『KEYTALK爆裂疾風ツアー2017 〜みんなの街でパラリラパパパラダイス〜』
4月22日(土)熊本・B.9 V1
4月23日(日)鹿児島・CAPARVO HALL
4月28日(金)長野・CLUB JUNK BOX
4月29日(土)富山・MAIRO
5月6日(土)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
5月7日(日)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
5月12日(金)静岡・LiveHouse 浜松 窓枠
5月16日(火)兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
5月17日(水)京都・磔磔
5月27日(土)香川・高松festhalle
5月28日(日)島根・松江AZTiC canova   他

9月10日(日)神奈川・横浜アリーナ