THE ORAL CIGARETTESやフレデリックが所属するMASH A&Rの5周年記念ライブ6組のバンドが競演(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 THE ORAL CIGARETTES、フレデリック、 LAMP IN TERREN、パノラマパナマタウンらが、去る1月15日に東京・LIQUIDROOMでおこなわれた、MASH A&Rの5周年記念ライブ『「MASH A&R 5th ANNIVERSARY「MASHROOM 2017」』に出演した。

 MASH A&Rは、音楽雑誌「MUSICA」、flumpoolやONE OK ROCKなどが在籍する「A-Sketch」、音楽専門チャンネル「SPACE SHOWER TV」、サカナクションや系列会社にBUMP OF CHICKENなどが在籍する「HIP LAND MUSIC」が合同で立ち上げた逸材発掘のプロジェクト。昨年、発足5周年を迎えた。

 今回はMASH A&R所属の前記4バンドのほか、オーディションライブ『MASH FIGHT! Vol.5』でグランプリを獲得したSaucy DogとYAJICO GIRLがオープニングアクトを務めた。当日の模様を以下にレポートする。

YAJICO GIRL

YAJICO GIRL(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 オープニングアクトを務めたのは、MASH A&R主催のオーディションライブ『MASH FIGHT! Vol.5」でグランプリを獲得したYAJICO GIRL。関西を中心に活動している新人バンドが一発目に送ったのは「Casablanca」。四方(Vo)の透明感のある歌声を筆頭に、メロディックなサウンドがフロア全体に響き渡っていく。「改めまして、YAJICO GIRLです。今日はどうぞよろしくお願いします!」と四方の挨拶が終わると、「いえろう」や、「レトロシティ」へと突入し、ありったけの想いをふんだんに詰め込んだナンバーを届けていく。

 「会場が熱狂的なうちに最後の曲を歌いたいと思います。新曲やります!!」の言葉を合図に彼らがラストに用意したのは、タイトル未定の新曲。キャッチーのなかにある熱量は、若きニューヒーローの誕生を期待させるほどの強い輝きを放っていた。

Saucy Dog

Saucy Dog(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 オープニングアクトの2番手を務めたのは、YAJICO GIRLと同じく同オーディションライブでグランプリを獲得した3ピースロックバンドSaucy Dog。青光る照明に照らされながら、スタートに彼らが放ったナンバーは「いつか」。石原慎也(Vo&Gt)の心地の良い歌声に包まれながらもフロアにいる人々に、魂の叫びを浴びせにきていた。その姿にオーディエンスにいる誰もが、ステージから目が離せなくほどだ。「煙」では、考え深い彼らの言の葉と、時折鋭くなる骨太なサウンドがどっしりと響いてくるものがあった。

 フロアから手拍子の音が鳴り続いたのは「Wake」で、ノスタルジックな景色を連想させる歌詞を語りかけてくる。せとゆいか(Dr&Cho)は「こんなに人がいっぱいる中でライブしたことがなくて、今やっとグランプリ獲ったんだ…って実感してます。これからもっともっと大きい所でやっていけるよう頑張ります」と想いを語った。

 また石原も「次で最後の曲になるんですけど、僕今まで弱かった時期があって…。去年すごい辛い1年だったんです。弱かった自分からサヨナラを告げる曲をあなたに届けます」と述べてラスト曲「グッバイ」を届けた。MCでも伝えていた通り、弱かった自分へのサヨナラを全面に出した楽曲で聴く人々に訴えかけたい想いが届く、懸命な瞬間をSaucy Dogはもたらしてくれた。

パノラマパナマタウン

パノラマパナマタウン(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 『MASHROOM 2017』のトップバッターを務めたのは、神戸という“パナマ”で結成された4人組オルタナティヴロックバンド、パノラマパナマタウン。浪越康平(Gt)の軽快なカッティングを筆頭に彼らが1曲目に繰り出したのは「世界最後になる歌は」。岩渕想太(Vo&Gt)による流暢なラップが妙にクセになり、オーディエンスも豪快に拳を掲げている人々で溢れていた。

 岩渕から「自由に楽しんでください」と告げられると「パノラマパナマタウンのテーマ」と続き、“音楽は自由に楽しめよ"と言わんばかりのメッセージを彼らなりに歌い届けていく。その後も、アッパーチューンの「ロールプレイング」やパノラマパナマタウンのイカしたナンバー「シェルター」、過去と未来を繋ぐ曲「MOMO」をハードボイルドに披露していく。

 「俺たちと一緒に楽しむ準備は出来てるかい?」と煽り放たれ続いたのは、新曲「リバティーリバティー」。踊り騒げるノリの良いサウンドに合わせ、オーディエンスも軽やかに身を揺らし楽しんでいくようだった。彼らがラストに叫び駆け巡ったのは、「SHINKAICHI」。ロックバンドとは一味違う、J-POPとの融合が斬新で、彼らが作り出す独自の世界はオーディエンスに伝わるものがあったはずだ。

LAMP IN TERREN

LAMP IN TERREN(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 2番手に登場したのは、長崎出身4人組ロックバンドのLAMP IN TERREN。彼らがスタートを飾ったナンバーは「innocence」。闇夜を照らし出す光のような疾走感溢れるメロディーと、松本大(Vo./Gt.)による繊細だが力強いボイスが混ざり合い、一発目から観客の熱も帯びていくのがよくわかった。

 2曲目の「heartbeat」と、3曲目の「緑閃光」では、静寂さに飲み込まれる空気を放ちながら中原健仁(Ba)の重圧のあるベースライン、川口大喜(Dr)の迫力のあるドラムビート、大屋真太郎(Gt)による聴き心地の良いギターリフが絶妙だと感じさせる程だった。曲中では、彼らが繰り出す穏やかなメロディーに魅了されつつ、腕を上に掲げ、音を楽しむオーディエンスの姿があった。

 松本は「LAMP IN TERRENです。どうぞよろしくお願いします!! 楽しんでますか? 今日、MASH A&R5周年の日。そしてMASHROOMは今年で3周年目です。一番最初は、ソールドしない年でした。でも、こうやって2年、3年って続けてこんだけ沢山の人が来てくれるのを物凄く嬉しく思います。僕らの事を初めてみる人もいると思いますが、まずはこの5周年とこのMASHROOM3回目、そして僕らや、初めてみるバンドに来てくれて出会ってくれてありがとうございます」と感謝を告げた。

 彼らが次に放ったのは4月にリリース予定の3rdアルバム『fantasia』の収録曲「涙星群の夜」。願いを叶えようとする姿勢が垣間見れる煌き全開な楽曲で、LAMP IN TERRENの実直さが際立つ瞬間だった。松本は「最高の空間を作ろうぜ!!」と叫びラストへと続いたのは「キャラバン」。フィナーレでは、フロア全体が手拍子を繰り返したり、思い切り拳を振るかざすといった最高の景色が広がっていた。

フレデリック

フレデリック(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 3番手に登場したのは、忘れたくはない楽曲を持ち味にする、神戸出身の3ピースバンドのフレデリック。「フレデリック始めます!!」のアナウンスとカラフルな照明をバックに彼らが1曲目に放ったのは「オワラセナイト」。脳裏に刻まれる三原健司(Vo./Gt.)の個性的な歌声に包まれながら、身も心も興奮させるステージングを描きだしていく。フロアでは、大勢のオーディエンスが身振り手振りを使い、彼らの音の世界に満たされているようだった。「KITAKU BEATS」では、フロア前方が右往左往しながら熱狂的に盛り上がっていき、フレデリックが構成する中毒性のあるビートロックをぶっ放していた。

 三原健司は「THE ORAL CIGARETTES、パノラマパナマタウン、LAMP IN TERREN、Saucy Dog、YAJICO GIRL、この5バンドにあって俺たちにないものそれは、グランプリです。俺たちは特別賞をとったバンドです。審査員が誰よりも特別やと思った、オンリーワンだと思ったから選ばれたバンドです。そんな俺たち、オンリーワンのバンドだと証明してみせます。今日は一日どうぞよろしくね!」と攻め攻めなMCをかましたあとは、三原康司(Ba./Cho.)との掛け合いが印象的な「ナイトステップ」へと向かいムーディーなダンスミュージックを聴かせた。

 「まだまだ行きますよ! リピートして!!」から突入したのは、絶対に忘れることが出来ない魔性のソング「リリリピート」を披露し、観客の心をフレデリック流に染め上げていく。三原健司から「踊ってない恵比寿は気に入らないですか? MASHROOMもっといこうぜ!!」と煽り向かったのは、踊らずにはいられない「オドループ」へ突入。ダンスフロアに変動した空間は、踊っていない人がいないぐらいの光景に。

 魔性の音を見せつけてくれた彼らがラストに用意したのは「オンリーワンダー」。フレデリックの代表曲ともいえるこのナンバーに酔いしれ、オーディエンスの嬉しそうな顔が会場全体に咲き誇っているようだった。

THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 トリを務めたのは、2012年(初年度)のMASH A&R オーディションにてグランプリを獲得したTHE ORAL CIGARETTES。彼らは、MASH A&Rというプロジェクトを背負ってきた先駆者のバンドだ。そんな彼らが初っ端に打ち出したのは、ファンへの感謝を込めたナンバー「Everything」。歌詞に組み込まれている多くの“君”というフレーズは、ファン一人一人に伝わるように心を込めて歌い捧げている山中拓也(Vo&Gt)の姿が見えた。その気持ちを返すかのようにオーディエンスからは「全て君がいたから」と大合唱が広がっていた。

 山中から、「オーラル初ライブ開催したいと思います!!」と告げられ続いたのは、昨年11月にリリースしたシングル「5150」。オーラルの新たな挑戦の扉を開いたといっても過言ではないこのナンバーに、観客の興奮状態は更に加速していく。「5150」の歌詞にある<叶えたい想いはあなたが歌えばいい 誰にも止められやしないよ♪>のフレーズは、誰かの背中を押すバンドの熱意が伝わっていた。

 「回る回る恵比寿リキッドルームのフロア!かかってこいよ!!」と山中の攻撃的な煽りに続いたのは「STARGET」。フロアでは、腕をまわしたり手にしているタオルを回す光景が広がり、熱量は更に増していった。

 MCでは、山中が過去に“平”のおみくじを引いた話や、最近話題のしいたけ占いについてのトークへ。「俺、よく当たる占いしいたけ先生で、2017年の山中拓也を占ったわけですよ、そしたら山中拓也はきっとミラクルを起こしますだと!! だから好き勝手自由にやらせて頂きたいなと思います!なんか好き勝手自由にやることが、山中拓也のミラクルに繋がると書いてありましたので、ある程度秩序をもって自分勝手にやりたいなと思っているんですけど、自分勝手にやりたいので愚痴言っていいですか!? 2017年から愚痴言います!」と語ると、山中が感じてきた今までの想いを言葉にした。

 そしてさらに以下のメッセージを紡いだ。

 「最近色んな所から、THE ORAL CIGARETTESが売れてるのって、MASH A&Rのおかげでしょ?とかMASH A&Rがなかったら無理でしょ? とか言われてきた。だけど、俺は正直悔しい。MASHと5年やってきて、MASHのことをそう言われるのも悔しいし、MASHにいるバンドに対しても凄く申し訳ないなと。確かに良いスタッフがMASHにはいっぱいいますし、凄い熱量をもって俺らのことを考えてくれる。いっぱい話を聞いてくれる。お客さんのことを凄く思ってくれる。だから俺らも、ここまで上がってこれた。それはもちろんある。でも、バンドっていうのは自分たちから発信していかないと絶対前に進めません。誰かの言う通りにしたまんまだと、誰かのバンドになってしまう。そんなんじゃ絶対ダメだって俺らは思って、死ぬ程苦しんでやってきました」

 「MASHにいる他のバンドだってそう、みんな苦しい思いしてやってます。そんぐらい辛い思いして、一緒にやってるんです。だから俺はそういうこと言われるのが凄く辛い。この場所っていうのは辛い思いした分、強くなれる場所やって俺は凄く思ってます。みんな悩んでることいっぱいあるやん。俺らだってめっちゃ悩む。でも悩むことすら俺は美しいと思う。悩んでるからこそさ、人に優しくできる。だからMASHのバンドって俺は強いと思います。色んなこと考えてるから、人の思いがわかる。そういうバンドが集まっているのが、MASH A&Rだと思う」

山中拓也(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 熱い山中のMCが終わりを迎えると、「つまらないこの世界に身を寄せ生きるのは もうバカなことだって気づいて欲しいから」という情熱的な想いがふんだんに刻まれている「DIP-BAP」へと向かっていく。山中の艶やかな動きに合わせ腕を豪快に揺らしていくオーディエンス。その一体感は、オーラルにしか作れないファンとの絆の力強さの象徴だ。

 その後は、山中の「飛べよ!!」の言葉と鈴木重伸(Gt)の変幻自在のギターリフを筆頭に、「カンタンナコト」を炸裂させた。それに加え、<ああそんな簡単にいうな♪>のフレーズを豪快に叫ぶオーディエンスの姿は非常に生き生きしているものがあった。

 「お前らの狂った姿もっと見せてくれ!」と煽る山中がラストに贈ったのは、「狂乱 Hey Kids!!」。あきらかにあきら(Ba&Cho.)の自由自在のベース、中西雅哉(Dr)の轟くドラムビートが、暴れ狂う人々へ拍車をかけていた。バンドが描く魅惑のステージは、常に熱き感情が放たれる至福のロック魂が込められていた。

アンコールスペシャルカバーライブ

アンコールのもよう(撮影=Viola Kam ・V'z Twinkle Photography)

 全バンドの公演が終わると、出演している4バンドが各バンドどれかの楽曲をカバーするというスペシャルな企画へ。フレデリックがカバーしたのは、THE ORAL CIGARETTESの「狂乱 Hey Kids!!」。三原健司が山中拓也のマネをしながら歌う姿に、観客からは歓声が上がっていた。LAMP IN TERRENは、フレデリックの「オドループ」をカバー。繊細な楽曲の印象が強いLAMP IN TERRENだが、それを払拭さえるかのように、キレのいいパフォーマンスを披露していた。

 パノラマパナマタウンがカバーしたのは、LAMP IN TERRENの「キャラバン」。浪越(Gt)によるギターソロが強烈で、パノラマ色を際立てていた。THE ORAL CIGARETTESがラストにカバーしたのは、パノラマパナマタウンの「シェルター」。彼らなりの歌詞に変え、今日の出演者や後輩に送るメッセージのある歌を歌い届けていた。

 そして、THE ORAL CIGARETTESには特別アンコールが。繰り出したのは、「大魔王参上」。サプライズにサプライズを重ねた一幕に、会場にいたオーディエンスからはキラリと輝く笑顔でいっぱいだった。最後は、「大魔王参上」を出演したバンドたち全員で、大合唱し『MASH A&R 5th ANNIVERSARY MASHROOM 2017』の5周年を盛大に祝福した。

(取材=橋本美波)

セットリスト

▽YAJICO GIRL
01.Casablanca
02.いえろう
03.レトロシティ
04.新曲(タイトル未定)

▽Saucy Dog
01.いつか
02.煙
03.Wake
04.グッバイ

▽パノラマパナマタウン
01.世界最後になる歌は
02.パノラマパナマタウンのテーマ
03.ロールプレイング
04.シェルター
05.MOMO
06.リバティーリバティー(新曲)
07.SHINKAICHI

▽LAMP IN TERREN
01.innocence
02.heartbeat
03.緑閃光
04.涙星群の夜(新曲)
05.キャラバン

▽フレデリック
01.オワラセナイト
02.KITAKU BEATS
03.ナイトステップ
04.リリリピート
05.オドループ
06.オンリーワンダー

▽THE ORAL CIGARETTES
01.Everything
02.5150
03.STARGET
04.DIP-BAP
05.カンタンナコト
06.狂乱 Hey Kids!!

▽アンコール
01.狂乱 Hey Kids!!(フレデリック)
02.オドループ(LAMP IN TERREN)
03.キャラバン(パノラマパナマタウン)
04.シェルター(THE ORAL CIGARETTES)
05.大魔王参上