5年間におけるさまざまな想いを語った家入レオ

 デビュー5周年を迎えたシンガーソングライターの家入レオが2月15日に、ベスト・アルバム『5th Anniversary Best』をリリースした。最新曲「それぞれの明日へ」に始まり、ゆっくりと時を遡っていくベストアルバム。家入は「周りの大人を信用してなかったし、相当駆け引きをした」とデビュー当時を振り返った。ヒット曲「Silly」にまつわるエピソードや、この5年間における、彼女のさまざまな想いを聞いた。

今だから話せる、「Silly」のエピソード!

家入レオ「5th Anniversary Best」

――5周年ということで、どんなお気持ちでしょうか?

 単純にうれしいです。一瞬だったとも感じるし、すごく長かったとも感じます。今日も朝からレコード会社でずっと取材をしていて、気づけばもう夕方だなって、そういう一瞬に感じるものもあれば、取材一つひとつは中身が濃いものなので、そこは時間が長く感じるし。それが5年間続いているような感じです。

――デビューしたときが17歳で今は22歳。その中で変わったものは?

 大きく変わったのは、音楽に対する感じ方です。年々、すごくシンプルに音楽を楽しめるようになったと感じています。最初は、風船が今にも割れんばかりにパンパンまで空気が入っていて、そこに安全ピンで穴を開けていきなりパンッて割れるのではなく、ちょっとずつ空気が抜けてしぼんでいった感じです。今は、ちょうど良い具合で楽しめていると思います。

――前は、緊張で張り詰めていたみたいな?

 そうですね。最初は、「結果を出さなきゃ! 伝えなきゃ!」と、とにかく必死で。それから少しずつ自信がついていったし、あとは慣れとかもあると思うし。そういう風に日々、積み上げて、少しずつ今の状態になれたと思います。

――逆に変わっていないところは?

 「自分が良いと思うものをリリースしていくんだ!」という、音楽に対する想いは変わっていません。これだけ日々を駆け抜けていると、制作スケジュールがタイトなときもあるのですが、そういうときでも決して妥協はしませんでした。それは1つ自分の美学というか、譲りたくないものだったから、それを守ってこられたのは良かったと思います。

 実は、今だからお話できるエピソードがひとつあって。「Silly」のとき、スタッフとの気持ちのズレで、衝突したことがあったんです。

――そんなことが!

 「Silly」はドラマ主題歌(編注=TBS系テレビドラマ「Nのために」主題歌)なのですが、自分が良しとはしない方向にどんどん進んでいってしまって。話し合いもしましたが、当時の私の伝え方では気持ちをちゃんと伝えられなくて。

 それまでは、とにかく直球でまっすぐぶつかればいいと思っていたのですが、私のいちばんの願いは、自分の納得のいく楽曲をリリースすることなので、そのためには周りの力も借りなきゃいけないし、もっとタイミングや伝え方を学んで賢く立ち回らないといけないなって。本当に今だから笑って話せることですけど、自分の音楽に対する気持ちを、不器用なりにそうやって守ったこともありました。

――そこでひとつ大人になったというか。

 大人にならざるを得なかったですね。結局、力がないと残っていけない。自力でもっと良い曲を作っていくしかないと思いました。だから、自分に対してすごく悔しい想いもしましたし、振り返ると、すごく学ばせてもらった曲ですね。

転機になったのは「僕たちの未来」!

家入レオ

――ベスト盤を出すことについては、どういう考えですか?

 スタッフからお話をいただいたときは、二つ返事で答えることができませんでした。と言うのは、オリジナル楽曲をリリースすることに命をかけている部分があったし、アルバムはシングルでできないことをやる場だと思っていたし。一度リリースした作品の外見だけを変えてもう一度世に送り出すことが、どうなのかな? という気持ちもあって。それに、これから出会うファンのことを思うと、私の作品を遡って聴くときに、ベストしか聴いてもらえなくなってしまうんじゃないか? という不安もありました。

 でも、私の気持ちというよりも、聴いてくださるみなさんや応援してくださるみなさんへのプレゼントですよ、という気持ちで出したいと思いました。

――曲順は、新しい曲から遡っていく形ですね。

 デビュー曲「サブリナ」は、15歳のときにレコーディングしたので、声の実質的な幅は7年あります。それで、最新の「それぞれの明日へ」を耳にしているみなさんが、いきなり「サブリナ」の声を聴いたら、違和感があるんじゃないか? と思い、徐々に自然な流れで、最後に「サブリナ」までたどり着いていただくのがいいと思って。

――収録曲の中で、転機になった曲はどの曲でしょうか?

 「君がくれた夏」は、すごく反響をいただけて。この勢いを止めたくないと思ったから、新たなステージに立ちたいという気持ちになりました。そうして、新たに多保孝一さんとの制作で「Hello To The World」をリリースして。この曲で、他の方と制作することはこういうことだとわかって、感覚を掴んだところで本当の意味で勝負ができたのが、「僕たちの未来」です。「僕たちの未来」は、自分の中ではすごく大きかったです。だからこそ、ベスト盤のボーナストラックとして、「僕たちの未来(Special Version)」を収録しました。ツアーでもたくさん歌ったし、ライブで育ててもらったなという風に思っています。

――ベスト盤にも収録の最新楽曲「それぞれの明日へ」は、自分らしさを考えて作ったそうですが、今思う自分らしさとは?

 この曲は「家入さんが思う応援歌を作ってほしい」と、お願いをされて作りました。ドラマ主題歌の場合、ドラマが求める私と、今出したい私の間での葛藤があるんですけど、100%委ねてもらえる経験があまりなかったので、「家入さんが思うもの」と言っていただけたのがすごくうれしかったです。

 じゃあ、自分らしい応援歌とは? と考えたとき、相手に頑張れ! と歌うものではないし、ただ明るいことを歌えばいいというのでもないと思いました。それでサッカーに一生懸命向き合う子たちの映像を見て、必死に練習している姿や、ときには涙している姿をちゃんと見ているよ! と、言ってあげられる曲にしたいと思いました。きっと思うように練習ができなかったりして、自分は1人だと思ってしまうことがあるかもしれないけど、あなたが頑張っていたことを知っているよと、私は言ってあげたいと思って。

――勝ち負けに関係なく、その人に寄り添える歌ですね。

 サッカーの大会が終わっても、人生は続いていきます。勝ち負けが全部じゃないんだよって。勝った人より負けた人のほうが、それをバネにしてプロになって活躍するかもしれないし。今のことだけで、人生を決めつけないでほしいなって思って。

今振り返ると最初の3年は特殊な環境だった

家入レオ

――今後の活動については?

 気が早いと言われるかもしれないけど、これからは10周年に向けての5年間になると思って。でも、今までのような速いスピード感のままでは、進めないと思っています。もっと心を育てることをしていかないと、10周年にはたどり着けない。きっと、いろいろな経験が、すごく大事になると思います。経験と言うと大げさかもしれないけど、普通に生活する中で色んなインプットをしながら、良い歌が歌っていけたらと。そういう日常をゆっくりと過ごし、ゆっくりと音楽を作っていって、10周年をみんなと迎えられたら良いなと思います。

――すごいスピードで駆け抜けてきましたからね。

 最初の3年は、正直に言って私生活なんてなかったですからね。高校に行って、授業が終わるとすぐ現場に行って、取材や制作をやって。家では歌詞を書くのに奮闘して、学校の宿題やテスト勉強もありました。だから、当時は日々をこなすだけで精一杯で、とにかく淡々としていました。でも、芸能界に入るということは、こういうことなんだと、思うほかなかった。誰かと比べようにも、同世代の友だちを作る時間もなかったし。それで今、自分の世界が広がって、当時の自分は特殊な世界にいたんだとようやく気づいた感じです。

――ちなみに、初回盤Bのジャケ写は屋上で?

 はい。実際に屋上で撮影しました。私、高いところが平気なので楽しかったですよ。撮影日は11月に雪が降った日の翌日で、さすがに寒かったですが、そのぶん空気がきれいで、きれいな空と一緒に撮影ができました。初回盤Aは、カフェで撮影して。私の歌を日常で聴いてほしいと思ったので、写真もキメキメではなく普段っぽい姿を見せられたらと思って撮りました。

――スカート姿が新鮮でした。

 スカートの衣装は今までもありましたけど、普段着っぽいものではなかったので、新鮮に感じていただけるかもしれません。最初のころはパンツスタイルの衣装が多くて、それは音楽1本で勝負したいという気持ちが強かったので、オシャレうんぬんよりも歌だというところで、洋服に主張を持たせたくなかったんです。

――表情も変わりましたよね。やわらかくなったと言うか。

 そうですよね。最初のころは、「やらなきゃ!」という気持ちが前へ前へと出ていたと思います。そもそも周りの大人を信用してなかったし。さっきお話したように、相当駆け引きをしたし。それでもついてきてくれたのが、今一緒にやっているスタッフです。

――そして、4月30日には日本武道館でライブが。

 武道館までの日々も当日も、きっと気づけば一瞬だろうなと思います。これだけシングルを出していたんだな〜と、マスタリングのとき思いました。「Bless You」とか「Message」「君に届け」とか、最近はあまり歌えていなかった曲もあるから、久しぶりにあの曲を聴きたいというみなさんの声に、たくさんお応えしたいと思います。5年前からのファンの方も、新しくファンになってくださった方も、みんなが楽しめるものになります。楽しみにしていてください。

(取材・撮影=榑林史章)

家入レオ

 ◆家入レオ 「音楽塾ヴォイス」で学んだのち、15歳で単身上京して2012年にシングル「サブリナ」でデビュー。これまでに4枚のアルバム、12枚のシングルなどリリース。昨年11月には、配信シングル「それぞれの明日へ」(第95回全国高校サッカー選手権大会・応援歌)をリリース。2月19日(日)大阪・大阪城ホール「LIVE SDD 2017」、3月12日(日)神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール「ビクターロック祭り 番外編 IchigoIchie Join 6 家入レオ×大原櫻子×藤原さくら」に出演。4月30日(日)東京・日本武道館「家入レオ 5th Anniversary Live at 日本武道館」を開催する。