ライブを重ねるごとに進化を魅せたフレデリック(撮影・Kohei Suzuki)

 神戸出身3人組ロックバンドのフレデリックが22日に、東京・新木場STUDIO COASTでワンマンツアー『フレデリズムツアー2016-2017』のファイナル公演をおこなった。2016年10月21日にリリースした1stフルアルバム『フレデリズム』を引っ提げて、昨年11月の仙台を皮切りに全国11公演を展開。最終日のこの日は、『フレデリズム』の楽曲を中心にアンコール含め全19曲を披露した。ボーカル&ギターの三原健司は、「僕らは、ずっと更新していかないと自分たちではない、進化していくにはライブしかないと思った」と改めて自身の進化にはライブが必要であるとの意義を述べた。

自分たちのワンマンで帰ってきました

三原健司(撮影・Kohei Suzuki)

 先日までの寒さも少し和らぎ暖かさも感じられたこの日、自身最大規模となる新木場STUDIO COASTには、溢れんばかりのオーディエンスで埋め尽くされていた。80'sを感じさせるダンサブルなBGMが流れる中、開演を待ちわびる。

 定刻を少々過ぎたところで暗転すると、ステージ上に置かれたラジカセにスポットライトが当たる。一人の女性が下手から登場し、ラジカセの再生ボタンを押した。スクリーンにフレデリックのロゴとともにSEが流れ、手拍子と歓声の中メンバーがステージに登場した。

 「フレデリズムツアー始めます」のアナウンスからアルバムのリードトラックである「リリリピート」でライブの幕は開けた。三原健司(Vo.Gt)と三原康司(Ba.Cho)の歌声がコントラスト豊かに響き渡り、繰り返しの言葉とサウンドに心地よいリズムでスタート。カラフルなライティングと80'sテイストにロックバンドらしいキメが混じり合った「KITAKU BEATS」でフロアのテンションは上がり続けていく。

 フレデリック的「ドナドナ」とも言える「レプリカパプリカ」、絶妙なバウンス感で乗らせた「音楽という名の服」と序盤の3曲とはグルーヴを変えながら、楽しませていく。「うわさのケムリの女の子」ではステージとフロアから大量のスモークが噴出。その“ケムリ”の量は、ステージ上のメンバーは確認できないほどであった。その、見えないということが、音への集中力が増していく。

 続いては、モジュレーションのかかった赤頭隆児(Gt)のギターと、三原康司(Ba.Cho)の色気のあるベースラインが印象的だった「峠の幽霊」、健司の「ゆったりゆらゆら踊っていきましょう」の言葉から「真っ赤なCAR」を届けた。アシッドジャズテイストのある楽曲は、また違った世界へ誘っていった。

 「ナイトステップ」では、巨大なミラーボールが天井からゆっくりと下がってくると、会場をその存在感で満遍なく照らし続けた。そして、力強いビートはオーディエンスの心や体を否応なくリズミックに刻ませていった。続いて、康司のベースソロから言葉のアタック感とサウンドの妙を堪能できる「CYNICALTURE」に突入。前へ前へ押し寄せるグルーヴにオーディエンスも身を委ねているようだった。「ディスコのプールで踊りませんか?」と健司が投げかけ、そのグルーヴを引き継ぐように間髪入れず「ディスコプール」へ。レーザ光線が縦横無尽に照らすなか、オーディエンスをリズムの波に溺れさせていく。

 MCでは「フレデリックとして新木場STUDIO COASTでライブをするのは今日で5回目なんです。3回は野外で4回目はサブステージだったんです。ついにメイン(ステージ)に自分たちのワンマンで帰ってきました」と、STUDIO COASTでの過去の出演を振り返り喜びを告げた。

あなたたちのオンリーワンになって帰りたいと思います

三原康司(撮影・Kohei Suzuki)

 サポートメンバーの高橋武(Dr)によるドラムソロから「そのまま僕たちと踊っていきましょうか!」と健司が投げかけるとリズムはルーズからタイトに切り替わる。グルーヴの妙を堪能できた「ふしだらフラミンゴ」を起爆剤に、アグレッシブな康司のベースからプログレッシブな要素を感じさせた「バジルの宴」でテンションの加速度は増していく。赤頭のフラッシーなギターソロもオーディエンスを沸かせた。

 畳み掛けるように「オワラセナイト」、ドライブしたリズム隊に導かれるように代表曲「オドループ」へ突入。<カスタネットがほらたんたん♪>でのオーディエンスのクラップは凄まじい一体感で奏でられ、それを見た健司も笑顔に。バンドの放つグルーヴに寄って会場は躍動感豊かに大きなダンスホールへと変貌していった。

 間奏で健司は、「この曲は音楽業界を変えられると思うんです。それにはあなたたちの歌声と意志が必要なんです」と力強く投げかける場面も。そして、「みんなの声届きました! あなたたちのオンリーワンになって帰りたいと思います」と健司の言葉から「オンリーワンダー」へ。オーディエンスの掲げた手は、正確な規則性の中で揺れ踊り、美しい光景がフロアに広がった。立て続けに放たれたキラーチューン3曲で本編を終了した。

全員で日本を制したいと思っています

赤頭隆児(撮影・Kohei Suzuki)

 アンコールを求める手拍子に応え、再びステージに戻ってきたメンバー。感謝を告げると「FUTURE ICE CREAM」を披露。絶妙なタイム感でどっしりとしたリズムのなか、感情を込めた健司の歌声がどこか切なく響いてくるようだった。康司は「本当に同じ時代に生まれてよかった」と話し、叙情的なギターアルペジオが奏でられるなか、健司が語りだした。

 「テーマを決めてこのフレデリズムツアーを回らせてもらいました。“進化”をテーマに回っています。10月21日に『フレデリズム』という最高のアルバムが出来ました。かつてないほど大好きな15曲が詰まっていますし、めちゃめちゃ気持ちを込めてやってきたことをしっかりと詰め込んだ15曲です。でも、10月21日が最高じゃない、僕らずっと更新していかないと自分たちではない、進化していくにはライブしかないと思います」

 更に続ける。

 「僕らだけではフレデリックの音楽は成立しないんです。僕たちの音源はあなたが聴いてくれて、歌ってくれて、手拍子してくれて、踊ってくれて、色んな気持ちを僕らと作っていけるから、こうやってワンマンツアーを楽しめるんです。僕はこれを“進化”と呼びたい。全部が僕たちの思い出です。一カ所一カ所全部進化してきた。またここで進化することが出来ました。あなたの歌声のおかげです。本当にどうもありがとう!」

 進化を実感したことを告げ、オーディエンスに感謝。

 「自分たちの曲で次を提示していきます。リピート×3して全部リセットするわけない。全部背負ったまま僕たち進んでいこうと思います。もっと大きくなりたい、世界にも行きたい、日本を制したい、関西だけじゃなく日本をホームにして日本武道館でワンマンしたい!僕たちだったら日本武道館を遊び場にできると思っています。ここにいる一人一人を連れて行きたいし、全員で日本を制したいと思っています。あと2年以上かかると思う。一歩一歩進化して帰ってくるし、これからも進化していきましょう」

 改めて決意の言葉を贈った。

 ここで「今までのワンマンだったら一人で歌ってきた曲、今日は新木場の全員で進化したいから一緒に歌おう」と優しく投げかけ「ハローグッバイ」へ。イントロで健司のギターと情感を込めた歌声が響き渡ると、オーディエンスもその歌声を包み込むようにシンガロング。その歌声を引き継ぐように、バンドサウンドが盛大に鳴り響きメロディを後押ししていく。オーディエンスも腕をステージに向かって、想いを届けるように伸ばした。健司は「これからもオンリーワンで居続けるんで、一緒に進化しような」と告げステージを後にした。

 スクリーンにはスタッフロールが流れ、ライブは終止符を打ったかのように見えた。しかし、オープニングでも登場したラジカセがスポットライトによって照らされ、再び一人の女性によって再生ボタンが押された。「フレデリズムツアー、リピートします!」のアナウンスからメンバーがステージに。リピート再生のように「リリリピート」をもう一度演奏。時間が戻ったかのような感覚のなか、全身全霊で盛り上がるフロア。「フレデリズムツアー終わります!」と健司の言葉から「KITAKU BEATS」の1フレーズを奏でライブの幕は閉じた。

(取材・村上順一)

セットリスト

フレデリズムツアー2016-2017
1月22日 新木場STUDIO COAST
OPENING
01.リリリピート
02.KITAKU BEATS
03.トウメイニンゲン
04.レプリカパプリカ
05.音楽という名の服
06.うわさのケムリの女の子
07.峠の幽霊
08.真っ赤なCAR
09.ナイトステップ
10.CYNICALTURE
11.ディスコプール
12.ふしだらフラミンゴ
13.バジルの宴
14.オワラセナイト
15.オドループ
16.オンリーワンダー

ENCORE

EN1.FUTURE ICE CREAM
EN2.ハローグッバイ
ENDING