世代を超えて良い音楽を楽しんで欲しいと願う、ステファニー

 イタリアの血が流れるステファニー(27)がソロシンガーとして、昨年12月21日発売のカバーアルバム『Aioto』でメジャーデビューした。MISAKIとの女性ボーカルユニット「Love」として2009年にでデビュー、配信で50万ダウンロードを記録。第43回日本有線大賞では新人賞を獲得した。2012年に解散、その後はしばらく音楽活動を休止、モデル業やタレント業を勤しみ、この間にポリープ手術も受けた。音楽への気持ちを高まっていくなかで昨年、ソロとしての活動を開始した。本作には、90年代に一世を風靡したポケットビスケッツ(千秋、内村光良、ウド鈴木)の「POWER」や、山口百恵の「さよならの向こう側」など6曲を収録。「世代を超えて良い音楽を楽しんでもらいたい」という想いを詰め込んだ。本作への想いや制作秘話、業界内外の活動状況について話を聞いた。

自分が伝えられることを全開に伝えられるチャンス

ステファニー

ステファニー

――ユニット解散後4年間の活動休止を経て昨年末にソロ活動を開始しました。今の心境は?

 Loveが解散してからの4年間で思っていたのは「音楽は絶対にやりたい」ということでした。活動をお休みしているなかで、ポリープ手術を受けて喉も良くなったことで自分の中で、歌うことへの楽しみが次第に増していって。でも、ブランクが4年もあるという不安もあって…。いざ歌うとなったときに、「今までのファンの方や、どれだけの人がついてきてくれるかな」とか、「新しく私を知ってくれる人は、私を良いとか私の曲が聴きたいと思ってくれるかな」という気持ちがかなりありました。

 だけど、SNSなどでみなさんが「お帰り」と言ってくれて。音楽活動を再開すると発表したときに、「待ってたよ」と声が沢山聞けてすごくホッとしました。沢山の人に支えられているんだなと感じることができて。そして、二人組だったのが一人になったので変化はあると思うんですけど、自分が伝えられることを全開に伝えられるチャンスだと思うのですごく楽しみです。

――ユニットとソロの違いは?

 ユニットとして活動をしていたときは、「ちょっと今日は喉の調子が悪いな」とか「今日すごく調子が良かった」というのも話し合えたりとか、何でも共有することが出来ていたんです。でもソロとして活動すると、自分と向き合う機会というのがすごく多くなるものなので、全部ひとりでやらなきゃいけない大変さがありました。

 けれど、ちゃんと自分と向かい合う時間が出来て、より自分のことを知る時間がより増えたとも思っています。昔は、相手との呼吸を揃えたり、相手がどういう状況なんだろう?とか、そういう事が頭の中に常にあり、それを大事にしていたんですけど、今は自分と向き合う時間が増えました。ステージに1人で立っているのもとても新鮮です。

――緊張感も2人とでは違いますか?

 そうですね。元々は緊張するタイプではないんです。ユニットだったら顔を見合わせて歌うことがあったんですけど、それが今は出来ないので少し心細い気持ちはあります。今までのファンの子とかがライブに来てくれたりするので、目が合ったりするといつも相方と目を合わせてホッとしていた気持ちが、お客さんとできる感じになりました。それはそれで助けられているなって。ファンの大事さがよりわかりました。

――ソロデビューに対するファンの反応は?

 音楽活動休止中の4年間、タレント業をやらせていただいて、テレビや雑誌に出るようになってすごく喜んでくれました。でも「歌声が聴きたいです」という声もすごく多くて。歌うことについては、私以上に喜んでくれているんじゃないかな? というぐらい気持ちを強くもってくださって。さらに頑張らなきゃなという気持ちになっています。

ハッピーを共有する所では一緒

ステファニー

――モデルやタレント活動を通じて得たものは?

 喋ることも好きでした。タレントのお仕事を通して芸人さんと関わる機会も増えて、そこで間の大切さや、トーク力というものをすごく学ぶ機会を多くいただいて。喋りをメインに仕事をしていた訳ではないのですが、音楽と一緒で人に何か楽しさを伝えたりとか、ハッピーを共有する所では一緒なので、そういった自分を見せるセンスや言葉のセンスは勉強になりました。

 以前、ラジオをやっていたんですけど、ラジオでは相手が見えない分、言葉の力がすごく大切になってくるので、ラジオをやっていて良かったなとすごく思いました。もちろん言葉の表現力はまだまだなんですけど、ラジオがなかったら今よりももっと喋れてなかったなと思うし。すごく自分にとってタメになっていることは、これまでの活動の中で沢山あったんだなと思いました。

――音楽活動以外で思い入れの強い仕事は?

 今の事務所の方と出会って仕事を始めたきっかけは「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)だったんです。そして、最初の出演はドッキリでした。当時は、仕掛けられていることを全く知らなかったので、バラエティ番組は恐ろしいなと思いました(笑)。気づいたら落とし穴に落ちていました(笑)。実は、落とし穴に落ちるって私の中で憧れだったんです。出川哲朗さんだったり、色んなリアクション芸人さん以外にも沢山落ちていますけど、これちょっと面白いなって思っていたのが自分でも経験できたので、すごく良かったです。それをきっかけに初めての方に「ロンハーの子ね!」と言ってもらうことが多くなって、すごく私にとっては大きなきっかけを頂いた番組です。

――逆にドッキリを掛けてみたい相手は?

 (田村)淳さんを仕掛けたい気持ちはありますね(笑)。

――2017年はホノルルマラソン大会のプロモーターに起用されました。そして、初のフルマラソンも走られました。走られた感想は?

 4時間39分で完走しました! すごく自信に繋がりました。ホノルルマラソンは人生の中でいつか、走ってみたいという夢でしたので、お仕事をきっかけにチャンスを頂けて嬉しかったです。ハワイに行く少し前に足を負傷して、現地に着いたときも1〜3キロぐらい走ると足に痛みが出て「大丈夫かな?」とは思ったんですが。でもテーピングをして、ランを経験されてる方にアドバイスを受けて、支えてもらいながらやっていきました。

 当日は、自分が思っていたよりも足への不安はなく、走っていることへの楽しさや、ホノルルというすごく素敵なロケーションで走られることに感動して、自然からもらうパワーも含めてリラックスして臨めたことが大きかったです。何より、当日走っているランナーの方がすれ違うときに目を合わせて微笑んでくれるんです。人に支えられてちゃんと走ることができたというのが大きいです。周りの人のパワーをすごく感じた日でした。生きている中で走れるタイミングがあったら、絶対またここに戻ってきたいです。

世代を超えて良い音楽を楽しんでもらいたい

ステファニー

ステファニー

――初のカバーアルバム『Aioto』が12月21日にリリースされました。なぜ、今回カバーアルバムをリリースしようと思われたのですか?

 私のオリジナル楽曲を伝えるという前にみなさんに挨拶する、という前提で制作していこうと思いました。私を待ってくれている方もいるので、オリジナル曲の方が喜ばれるとは思ったのですが、みなさんにより親しみがある方がいいなという風に感じたのでカバーアルバムという形にさせて頂いたんです。

 6曲入っているカバー曲もすごく良い意味で、統一感がないと思うんです。楽曲自体が、私たちの世代のGReeeeNさんの「愛唄」から、山口百恵さんの「さよならの向こう側」だったり、幅広い層の方に「ああ、この曲!」と思ってもらえると思うんです。「沢山の人に良い曲を聴いてもらいたい」という気持ちと「自分がこの曲が好きで歌いたい」という気持ちと同時にスタッフさんの意見ももらいつつ、世代を超えて良い音楽を楽しんでもらいたいと思いました。

 自分が知っている曲でも私と同世代の方は、「山口百恵さんのこの曲知らないな」とか、私がカバーをさせてもらうにあたって、「こんな良い曲がこの時代にあったんだ」という風に楽しんでもらいたくて。自分が音楽を好きという気持ちがすごくあるので、もっとみなさんに音楽を好きになってもらったり、楽しんでもらいたいという事もあってカバー曲という形にしました。

――選曲のポイントは?

 色んな種類があると思うんですけど、自分が歌ってみたい曲とスタッフさんの意見を反映させました。カラオケで「ステちゃんの曲を歌いたい」と言ってくれる方がいるので、カラオケのヒットチャートというところにも重点を置きました。みんなに音楽を好きになってもらいたい、歌うことを楽しんでもらいたいっていう想いは込められた選曲にはなっています。

――ステファニーさんの年代で山口百恵さんを選曲されたのは意外でした。

 もともとスナックの雰囲気が好きなんです。地元が下町なんです。ディープなお店が多くて、私のおばあちゃんの世代からずっと行っているスナックがあるんですけど、子供の頃からそこに遊びに行って、歌を歌ってご飯を出してもらう環境がありました。なので、古い歌謡曲とか演歌とかも聴いてきたので、百恵さんとか昔の曲も好きなんです。

――山口百恵さんの楽曲の中でもなぜ「さよならの向こう側」を選ばれたのでしょうか?

 もともと山口百恵さんの曲には想い入れが強くありました。「いい日旅たち」など色んな良い曲がありますが、そのなかでもこの曲が一番好きだったというのがあります。スタッフさんとの意見も一致して、この曲を選んだんです。耳とか体に入ってきやすいんじゃないかな?

原曲のイメージを覆すアレンジはアルバムを通して大きい

ステファニー

ステファニー

――楽曲アレンジに関してはいかがですか?

 アレンジもすごくこだわって作っていただいて、生音だったり様々な方の協力をもらい、オシャレに素敵なアレンジにしていただきました。もともとあった曲とはいえ、新鮮な感じで楽しんでもらえるようになったんじゃないかなと。そういった意味でのみなさんのリアクションは楽しみです。

――アルバムの曲順はステファニーさんがされたのでしょうか?

 これは、スタッフさんと一緒に決めていきました。リード曲がポケットビスケッツさんの「POWER」なので、「POWER」の勢いというのは全体的に持っていきたかったんです。壮大感というのも1曲目に持っていきたいと思ったので、「POWER」を1曲目に持っていきました。最終的に、「さよならの向こう側」にたどり着くっていうのは、世代特有の安定感、安心感っていうところもあってそこに行きつきました。

――「POWER」は幼いときにリアルタイムで聴いていたのですか?

 聴いていました。ウッチャンナンチャンさんの番組で見ていて、ポケットビスケッツさん、ブラックビスケッツさんどちらもすごく好きだったので、自分がカバーするとなったときにすごく不思議な気持ちでした。きっかけの一つでもあったのが、今年の元旦の特番で初めて千秋さんにお会いして、千秋さんが歌っているのを生で聴いて自分の中でフラッシュバックする所があり、ポケットビスケッツさんのカバーに繋がったんです。

――「POWER」のミュージックビデオ(MV)では、ステファニーさんがウエディングドレスでひたすら走っている姿が印象的です。

ステファニー 実はあの衣装、ウエディングドレスじゃないんです。そういう風に見えますよね(笑)。そして、MVに映っている、飲み屋街の場面は私の地元なんです。

――アルバムを制作する上で特にこだわった点は?

 楽曲のアレンジというところがすごく大きいんじゃないかなと思います。私は機械音よりも生音がすごく好きなので、サックスを入れてくれたりとか、生のドラムだったりとか、バイオリニストの方を呼んでくださったりして、音質にはすごくこだわって作っていただきました。原曲のイメージを覆すアレンジというのは、アルバムを通して大きいかなって思います。

――最初に録られた曲はどの曲?

 山口百恵さんの「さよならの向こう側」です。レコーディングのときにスタッフさんが、私が再スタートで不安の気持ちがあるのをわかっていて、リラックスさせるために「これは本チャンじゃないと思って歌って」といわれたんですよね。それで、一番自分がリラックスできている状態のときに歌えた曲です。まさかこれが形になるとは思わなかったです。これを歌うときに「本当にこれでいいんですか? もうワンテイクやった方がいいんじゃないですか?」とずっと言っていたんです。「大丈夫、仮だから! 仮だから!」と言って頂いて、非常にリラックスした状態でおこなうことができましたね。

自分の背中を押してくれるきっかけになった1枚

ステファニー

ステファニー

――ステファニーさんにとって『Aioto』はどんな一枚になったと思いますか?

 私のソロとしてのリリースは初めてなので、初の挑戦という部分と再スタートというところが重なっていると思います。自分自身、これを機にまた前に進んでいくという気持ちと、自分の背中を押してくれるきっかけになった1枚です。今まで私を待っていてくれた方にとっても、これをきっかけにまた私と一緒に前に進んでいくっていう感覚を持ってくださっていると思うので。今までのファンの人と、私の中での大事にしていた個人的な部分というのは距離の近さなので、みなさんに元気づけたりとかパワーを与えたいっていう想いがあるリリースということもあります。

 聴いてくれる人が聴いていくうちにどんどん元気をもらえたりとか、「ステちゃんの曲を聴きたい」とか、私自身の存在がみなさんの中にすごく近い距離になり、CDが横にあるんじゃなくて私が隣にいて「よし頑張ろう!」と言っているぐらいの感覚になってほしい気持ちが込められた1枚です。

――ステファニーさん自身の音楽に対する想いやファンの方への熱い想いが非常に伝わってきます。

 本当に音楽が好きでこのお仕事をさせて頂いていると思っています。音楽の素晴らしさとか大切さというのを、表現者としてやらせてもらうことでより感じた部分というのは大きいんです。思い出の曲とか、好きな曲、元気づけられる曲というのがあるように、自分の曲が誰かの好きな曲とか、思い出の曲になるというのはすごく素晴らしいことだなと思っています。

 みなさんの人生を背負ってというのは少しオーバーかもしれませんが、それもオーバーじゃないと思えるくらい歌の影響力って、自分が生きていくにあたってすごいなと私自身は思ったので、常にみなさんの背中を押せたり傍にいて支えられるような、メッセージを込めた歌が歌えたらいいなと思います。

――タイトル『Aito』に込めた想いをお聞かせください。

 タイトルは、愛の音という意味です。私が、絶対「愛」という要素はいれたいと思っていてこのタイトルになりました。このCDを通して元気とか色んなこともそうなんですけど、私からの愛情だったりとか音楽が持つ愛を伝える手段などをみなさんに感じてもらって、この曲を聴くことで曲に込められた愛にみなさんが包まれてほしい。大切な人と一緒に聴いたりして、そこで愛を感じてほしい。色んな意味でみなさんに愛が伝わればいいなっていう風には思っています。

――2017年に挑戦していきたいことは?

 私は、大きいステージに立って煌びやかな衣装を着て「私はアーティストです!」というタイプではないので、ファンの人との距離感が近いのが理想なんです。なので、みんなと「イェーイ!」ってしながら近い距離でいたいなと思っています。それが私の性格的な部分でもありますし、やっていきたいアーティスト像の形の一つです。大きいステージにも立ちたいですし、いっぱいメディアにも出てテレビを通して色んな方に私を知ってもらいたいというのはあるんですけど、全国各地を回って小さいLIVEハウスとか、路上でも良いぐらい近い距離でみなさんに愛情というものを音楽で伝えたいなって思います。

――最後に応援してくださるファンの方へメッセージを。

 この再スタートというのは自分にとっても、すごく楽しみなことでもありますし、もちろん不安だったり色んなことを考える部分はあります。私はアーティストという立場で出させて頂いて、一見すごくキラキラした世界にいると見られがちだとは思うんですけど、みんなと同じ所に私は立っていて、1日24時間という限られた時間のなかで様々な人たちと関わりながら、色んな自分と見つめ合いながら毎日毎日前に進んでいます。

 私の音楽を聴くなかで、辛いときはその曲を聴いて泣いても良いし、元気をもらってもいい。目標に向かって頑張っていくということを再デビューをきっかけにみんなで一緒に前に進んでいけたらいいなと思います。辛くても「ステちゃんがいるから」と、身近な存在で感じてもらえたらいいな。みんなが頑張っているときに、私も頑張っているというのを心のどこかで思っていてほしいです。

(取材・橋本美波)

作品情報

ステファニー「Aioto」

カヴァーアルバム

TECI-1529
定価:2130円+税
ミニアルバム

収録内容

1.POWER
2.強く儚い者たち
3.愛唄
4.チェリー
5.Sunday Morning
6.さよならの向こう側