NHK紅白歌合戦のリハーサルに挑む欅坂46平手友梨奈。その表情は鬼気迫るものがあった

 第67回NHK紅白歌合戦(2016年12月31日、NHKホール)は紅組の勝利で幕を閉じた。今年のリハーサルは昨年よりも1日多い4日間が設けられた。28日・29日は音合わせ、30日・31日は司会を交えての進行確認。そのリハーサルでは普段は観られないアーティストの“素”がのぞける。そのなかで記者が驚いたのは欅坂46平手友梨奈(15)の“豹変”ぶりと“存在感”だ。そして、その姿はある大物女優と重なるところがあった。

 第67回NHK紅白歌合戦・写真特集

 欅坂46は、“坂道シリーズ”の第二弾、乃木坂46の妹分として昨年4月発売の「サイレントマジョリティー」でデビューした。同曲収録のシングルは発売初週に26万2000枚を売り上げ、4月18日付オリコン週間シングルランキングで初登場1位を獲得。その曲でセンターを務めるのが15歳の平手友梨奈(当時14歳)。平手はデビュー当時から“逸材”として注目されている。

 紅白では、その「サイレントマジョリティー」を平手センターのもとに披露した。音合わせを含めたリハーサルでは全て、本番さながらに全力でパフォーマンスをおこなっていた。合わせるのが難しい集団での振り付けも一糸乱れなく。一つひとつの動作にもキレがあり、そのクオリティの高さは間近で見ることでより際立って見えた。そのなかの中央で歌い、踊る平手の存在感は際立っていた。

リハでの音確認の合間に関係者と談笑する欅坂46平手友梨奈。その表情はあどけなさが残る15歳の等身大

 その平手が、リハでの合間でみせた表情はあどけなさが残る15歳の等身大だった。前かがみに背中を折り曲げ、時折笑顔をみせながら関係者やメンバーと談笑する姿はやや“のほほん”としていた。この日は真っ赤な口紅もしていたが、どうも似合わない。

 しかし、いざ楽曲のイントロが始まると表情は一変。上目遣いにカメラを見つめるその表情には15歳のあどけなさはなかった。鬼気迫る大人の女性としての風格が漂っていた。頭上から照らすライトの光具合もあろうが、似合わなかった真っ赤な口紅は平手の表情に溶け込んでいた。少女から大人に変わった瞬間だった。

 平手に限らず、欅坂46のパフォーマンスの高さは目を見張るものがあるが、平手のその“豹変”ぶりと“存在感”は驚くばかりだった。その世界に瞬じて入り込み、一気に欅坂46、そして楽曲の世界観へとホールを変えた。

NHK紅白歌合戦の本番に向けた最後のリハーサルで熱唱する欅坂46平手友梨奈

 その平手の姿に、大物女優を重ねた。欅坂46と同じく紅白初登場となった大竹しのぶだ。大竹が歌ったのはエディット・ピアフの「愛の讃歌」。大竹もリハーサルに臨んだが、ステージ上で関係者と談笑している時はのほほんとした表情。内心は緊張はしているだろうが、笑顔は絶えなく、リラックスしているように感じた。

 しかし、いざ歌が始まるとホール全体を自身の世界へと惹き込んでいく。手を使い、腕を使い、身体全体で歌を表現。舞台経験も豊富で、声量を含め、歌声には迫力と説得力があるが、それ以上に、女優が曲を歌う最大の魅力である、曲の主人公を演じるいわば“なりきる”、大竹しのぶではなくなる瞬間があった。大竹は2度のリハに臨み、いずれも涙を流していた。

 そこには圧倒的な存在感があった。そして、平手にもそのような存在感を感じたのであった。(取材・木村陽仁)