巨大船団・Spotify。写真は会見のようす

 AppleMusicやAWA(アワ)、GooglePlayMusic、そして、最近日本に上陸した4000万曲をアーカイブするSpotify(スポティファイ)、Rakuten Musicなどサブスクリプションの音楽サービスが賑わっている。数多くの音楽定額制サービスが存在し、その多くは月額約1000円前後の価格で提供されている。それで何百、何千万という曲数が聴き放題なのだから驚かされるばかりだ。しかも、聴く環境はスマホだけでなく、カーステレオなどにも整えられ、多様化している。

 そもそもサブスクリプション(Subscuription)とは何なのだろうか。直訳すると「予約」や「定期購読」など。今回の音楽に関しては音の定期購読と言ってしまっても差し支えないだろう。この通称「サブスク」と呼ばれるサービスは「Office」といったPCアプリなど様々なところで展開されている。音楽で言えばレコーディング、音楽制作ソフトの業界定番である「ProTools」もサブスクを取り入れている。そこに参入しているサードパーティーのプラグインもサブスクのものが徐々に増えつつある。基本的には無視できないレベルに広がってきている。

 3カ月間無料お試し期間などを設けているところが多いなか、SpotifyやAWAは条件によって無料でも使用することができる。好きな曲を個別に選べず(アーティストは選べる)シャッフル再生だったり、楽曲は自由に選べるが、月に使用出来る時間が決められていたりと、サービス毎に機能制限があるので使っていくほどに不便を感じるのだが、何となく時間が空いた時にラジオ的な感覚で聴くのには十分だ。

 音楽定額制サービスは各々、特色を打ち出しユーザーによって選べるところも魅力。例えば、AppleMusicやSpotifyなどは海外のアーティストを多く取り揃えているので、洋楽リスナーにはオススメ。邦楽に関しては割とどのサービスも楽曲の数にはそこまでの大差はないように思える。AWAは伝説のバンドBOφWYの楽曲を独占先行配信するなど、そのサービスでしか取り扱っていないアーティストもある。(編注=現在は独占ではなくRakuten Musicなども配信中)。契約レーベルが微妙に各々違うので、リスナーが選ぶ基準はそこが決め手だったりするのではないだろうか。

エイベックスとサイバーエージェントが設立した新会社「AWA」

 国内では8月に稼動し始めたRakuten Musicは、CDやDVD、またコンサートのチケットなどデータではない物と連動しているのが特色となっている。AppleMusicなどはiTunes Storeと連動しデータ購入は可能だが、CDなどの物としての販売はされていない。楽天の場合、楽天IDでサービス決済をすれば、楽天スーパーポイントやクーポンも併用して使用できる。この点は他のサービスとは一線を画すところといってよい。

 そして、やはり気になるところは通信費。配信のkbpsも選べるのも意外と知らない人が多いのではないだろうか。音質を下げることになってしまうが、楽曲をチェックするだけなら96kbpsなどの低ビットレートで視聴したほうが、通信費の節約にもなるし、あとはwi-fi環境で楽曲をダウンロードしてしまえば通信費は掛からずに、iPodなどの携帯プレーヤーで聴いているのと同じ感覚で使用できる。

 他にもAppleMusicのように著名DJが選曲したラジオや、AWAのように著名アーティストが作ったプレイリスト、Rakuten Musicの聴いた楽曲や、お気に入りアーティストからレコメンドする機能など、新しい楽曲に出会えるシステムも整っている。今はエアチェックというラジオを聴いて最新音楽をチェックする行為自体はあまり聞かれなくなったが、現代のエアチェックはまさに定額制サービスのそれだろう。ここで気に入った音楽をさらに高音質で聞くために、CDやハイレゾ音源、またはアナログレコードといったリスニング環境へと進む、といった流れが理想だ。

 定額配信は音質面ではやはり良いとは言えないが、ポータブルアンプを使って良いヘッドフォンやイヤフォンを使用すれば、多少は補えるのでそれらを活用してみるのも良いだろう。最近はアップスケーリングという音質を補正向上させる機能を持つヘッドフォンも登場した。若干値段は張るが音質に不満がある人は試してみるのも良い。

 日本ではまだサービスが開始されていないがTIDALはCDと同等音質44.1kHz/16bit、1411kbps のロスレス配信をおこなっている。今後はハイレゾクラスの配信も視野にあるという。また、「音質は今のままでいいからもっと快適に使用したい」という人にはBluetoothのイヤフォンでワイヤレスで聴くのも一つといえよう。煩わしいケーブルからの解放の恩恵は計り知れないが、音質面ではBluetoothはまだまだ難しいところだが徐々に良くなってきている。

 定額制サービスは自分の中にない曲を知る良いきっかけ作りになるはずだ。最新作から往年の名曲までの何千万曲という豊富な曲数、そして、スマホで気軽に聴けるというのはやはり魅力だ。(文・村上順一)