海外での評価が高いGARNiDELiA

 メイリアとtokuからなるユニットGARNiDELiA(ガルニデリア)が12月14日に、通算2枚目となるアルバム『Violet Cry』をリリースする。様々なファッションブランドのモデルも務め、同世代の女性から支持を集めるボーカリストのメイリアと、数々のアーティストに楽曲提供・プロデュースもおこなっている作曲家・プロデューサーのtokuによって2010年に結成。2014年にアニメ『キルラキル』OPテーマ「ambiguous」でメジャーデビュー。海外での評価も高く、『Violet Cry』では海外を意識したサウンドメイクも聴かせている。世界標準のサウンドを成立させた同作にかけた気持ちや、1300万回以上の総再生数を記録している「極楽浄土」が海外でウケた理由などを2人に聞いた。

Violetは喜びの赤と哀しみの青が入り交じった人生を表す色

toku

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――『Violet Cry』というタイトルは、どんな意味で付けたのですか?

メイリア 感情を色で表現しているのですが、喜びやハッピーのイメージを持つ赤と、切なさや哀しみのイメージを持つ青、その両方の感情が入り交じったアルバムにしたいと思って、まずVioletを考えました。また、聴いてくださるみなさんと近い距離感やリアルさを感じてもらえるアルバムにしたいとも思っていたので、聴いた方が感情を解放して、それこそCry出来るものになったらいいなと思って『Violet Cry』と付けました。

――まさしく「Cry」という曲もあって、こちらはすごく切ないバラードですね。

メイリア 今までの私たちはポジティブさと希望を多く歌ってきましたけど、すごく落ち込んでいてポジティブな言葉を素直に受け入れられないときってありますよね? 頑張ろうよと言われても、頑張ってるし! みたいな。そういう前向きさがまぶしく感じるくらいのどん底でも、その人に寄り添ってあげられる曲を作りたいと思って。

 それで、誰もが少なからず味わったことのある喪失感や大切な人を失うことの悲しみをテーマに作りました。今までと違ったテーマで作ることで、GARNiDELiAに興味を持っていなかった人に興味を持ってもらうきっかけになったらいいなという気持ちもあります。

toku 実はこの曲には仕掛けがあって。バンドとか音楽をやってる人なら楽器を弾いて「あれ?」って、気づくかもしれませんが、この曲はアルバムのラストに収録されている「MIRAI」と使っている音色とコードが同じなんですよ。

――そうだったんですか! でも「MIRAI」は母性的な温かい印象のバラードで、「Cry」とは正反対のイメージですよね?

toku そうなんです。歌詞の内容と歌の表現の違いだけで、まったく逆の曲になるんです。でもそれは、歌の強さがあればこそ出来たことなんですけどね。

メイリア 歌い方や声色も変えていて、「MIRAI」は愛がテーマなので包み込むようなやさしさで歌いました。口角が上がってる感じです。「Cry」はとことん落ちている歌なので、口角下がり気味でただただ悲しい気持ちで歌っています。タイトルの話に出た赤と青を象徴する2曲で、「クライ」と「ミライ」で韻も同じだし対になっているイメージです。

――アルバムは最後の3曲がとても温かいので、とてもポジティブな印象で終わりますが、「MIRAI」はラストにと決めていたのですか?

「Violet Cry」(初回盤A)

メイリア 絶対ラストにしようと思っていました。歌詞には、みんなと一緒だから、これからも歩んでいけるんだという気持ちを込めていて。ライブでも人気が高く、私たちの中でも大事な曲として歌っています。同時に大切な人への誓いの気持ちも込めていて、女性から男性に向けて歌ったウェディングソングとして聴いてくれる方も多いんです。実際に私の友だちが結婚式で流してくれたり、私たちのライブで知り合って結婚したファンの方が結婚式で使ってくださったという話もたくさん聞きます。

――そういう温かい曲もあれば、「REAL」や「LIFE」のように激しい怒りや負けない気持ちを歌っているものもあって。すべての歌詞が、経験談というわけではないと思うのですが。

メイリア でも「LIFE」は、わりと経験談かな。音楽をやってる上で悔しいことはたくさんあって。これまでの人生、順風満帆なことはなくて、私はGARNiDELiAが4度目のデビューですから。何度もチャンスをいただけたのは幸運でしたけど、その過程ではいろんなことをたくさん言われたし、それでもくじけなかったから今の私たちがあるんです。きっと聴いてくれる人の中には、様々な境遇の方がいると思うので、そういう人たちの心に届いたら嬉しいです。

――1曲目の「EXXXTASY」には「人生一度きり」という歌詞もあります。ある意味、人生賛歌のアルバムですね。

メイリア そうだと思います。山あり谷ありが人生で、タイトルで言えば赤と青があるから紫なんです。

海外ライブの経験を活かしたサウンドにもチャレンジ

GARNiDELiA

GARNiDELiA

――非常に様々なサウンドの楽曲があって、個人的には洋楽のEDMとか韓国のクラブミュージックのような強めのテイストを感じたものもありました。

toku 今回は全体に言葉のセレクトが強かったので、それに負けないように攻めたものにしたというのがありました。それと日本語曲は歌や歌詞の比重が大きいものが多いので、もちろん歌や歌詞の存在感も意識するけど、こういう音の存在感がはっきりした音作りも試してみたいと思っていたんです。さっき話した「Cry」もそうですけど、実験的なことをたくさんやっています。

メイリア 特に2016年は海外でライブすることが多く、アフターパーティーに呼ばれたり現地のクラブで打ち上げしたりとか、海外のサウンドに触れることがとても多かったんです。もともと私はダンスミュージックが好きで、こういう「海外のテイストを採り入れられたらいいね」といつも話していて。ただ日本語の語感は本来EDMのリズムにマッチしずらいのですが、今作では、その組み合わせにあえてチャレンジしている曲も多く収録しています。

――「BAD BOY -GARNiDELiA vs HEAVYGRINDER-」は、そのチャレンジが形になった1曲ですね。

メイリア 「HEAVYGRINDER」とは、アトランタでおこなわれたAnime Weekend Atlantaというイベントで出会いました。彼らはアフターパーティーのDJとして呼ばれていて、アニメイベントなのにアニソンを一切かけずEDMだけで3000人くらいを盛り上げていて。ゴリゴリのEDMがブンブン流れる中で、アニメのコスプレをした人たちが「ウェーイ!」って盛り上がっていて、それがめっちゃ楽しくて。

toku 海外でライブをやりながら、「BAD BOY」のような曲をどうして今までやっていなかったんだろう? そういう曲を持って海外に行けばもっと盛り上がるのにと、ふと思ったんですね。それでHEAVYGRINDERと知り合ったときに、今作っているアルバムで何か一緒にやろうよって。それで、ほとんど出来上がっていた「BAD BOY」のデモを送って、ドロップの部分(英語のサビパート)のアレンジを頼んだら、こういう感じで返って来たんです。

――サビは本当にパンチが効いててかっこよくて、しかもそこは英語で歌っていますね。

メイリア さっき4度目のデビューという話をしましたが、私、中学生のときに英語のジャズ曲を歌ってダンスをするユニットのメンバーだったんです。その当時先生について発音を練習していたので、そのときの成果が出来ました。英語の歌詞も書いて、HEAVYGRINDERからも「いいね、クールだよ!」と言ってもらえて。あの当時は大変だったけど、人生に無駄なものはないんだなって。

――他にゲストが多数参加していて。「REAL」をはじめロックチューンには、岸田教団&THE明星ロケッツのみっちゃん(Dr)が参加。ビッグバンドジャズのテイストを採り入れた「NEON NIGHT」には、大阪のジャズバンドのカルメラからブラス隊が参加してます。

toku 「REAL」はアッパーのミクスチャーサウンドで、曲の構成とかはアニソンに使われそうな作りなのですが、アニソン感を減らして代わりにガルニデ感を増やした感じです。アニメのタイアップ曲ではないけど、いかがでしょうか? みたいな。けっこうやりたかったことなので、素直にやれたと思います。また「NEON NIGHT」は、ブラスと歌だけが生で、その生感を引き立たせるために、それ以外はすべて打ち込みであえて無機質に作っています。

メイリア ライブで高まれる「絶対アガるでしょ!」みたいな曲をたくさん入れたくて、それで「REAL」を作りました。「NEON NIGHT」は、舞台の『シカゴ』みたいなジャズで踊るイメージです。曲調や雰囲気が他の曲とはだいぶ違うので、アルバムの中では超スパイスな存在になっていますね。

ピコ太郎を筆頭にシンプルさが世界標準!

メイリア

メイリア

――さて話は少し変わりますが、今回収録している「極楽浄土」のダンス動画が、1300万回以上の総再生数を記録しているとのことで。もともとネットの世界で活躍されていたお二人としては、どんな風に受け止めていますか?

メイリア 今もネットで活動していますが、まだまだネットには可能性があると感じています。ネットは海を越えて多くのファンに届けられるのが一番のポイントで、海外のファンの中にはこの曲で私たちの存在を知ったという人がすごく多くて。海外のアニメイベントに行くと、「極楽浄土」はすごく盛り上がるんです。

 でもそうなるために、ネットで何をやったらみんなが食いつくか…。たとえばどういうダンスがいいか、どういう衣装がいいかなどをめちゃめちゃリサーチして、これまでの経験を総動員して作っています。それが1300万回再生という記録になったのは、私たちがこれまでやって来たことが証明されたんだと思っています。

toku 音楽的な部分で言うと「極楽浄土」のイントロフレーズは、2つの音しか使っていないのですが、今海外のクラブシーンでは少ない音数で曲を作ることが、売れる曲のセオリーの1つになっているんです。売れているラップの曲もすごくシンプルに作られてるし、ピコ太郎さんの「PPAP」も、ほぼ2つの音で歌メロを作っています。

 「極楽浄土」が特に海外でウケた理由は、そこにもあるのかと思います。ただ、日本のアニソンなどの音楽はいろんな音を使っているので、世界的な流れとはまったく逆行していたりしますね。

――では最後に、2017年はどんな活動をしたいと考えていますか?

メイリア 2016年は本当に海外のイベントに出ることが多くて、日本では全国ツアーはおろかワンマンライブも東京以外では12月10日の大阪が初めてだったんです。リリースイベントは、各地おこなっていますけど。だから、全国ツアーがやれたらなと思っています。ワンマンでしか伝えられないこともたくさんありますから。

(取材/撮影・榑林史章)

 ◆GARNiDELiA 女性ボーカリスト=メイリアとコンポーザー=tokuの二人によるユニット。2010年に結成、2014年に「ambiguous」でメジャーデビューし、iTunes Music Storeをはじめ、各音楽配信サイトの総合ランキングで軒並み首位を獲得した。これまでに『キルラキル』『魔法科高校の劣等生』『ガンダム Gのレコンギスタ』『クオリディア・コード』など数多くの人気アニメの主題歌を担当。2017年1月7日に愛・地球博記念公園(モリコロパーク)体育館で開催の『あいちポップカルチャーフェスティバル2017』、1月14日に大阪城ホールで開催の『ANIMAX MUSIX 2017 OSAKA』、1月28日に日本武道館で開催の「リスアニ!LIVE」に出演。3月には香港とシンガポールで開催の『Anisong Fantasy Live 2017』に出演する。