写真・電波少女「47都道府県ヒッチハイクの旅」中間報告(1)

「47都道府県ヒッチハイクの旅」3分の1を終えた彼らに心境の変化は

 ヒッチハイクで移動しながら47都道府県でストリートライブをおこなう横断ツアーを展開中のヒップホップクルーの電波少女(でんぱがーる)が11月25日、関東に突入した。『電波少女的ヒッチハイクの旅”47都道府県ストリートライブTOUR』と題したこの企画はメジャーデビューを懸けたもので、出身地の宮崎県を目指し、11月11日に北海道の札幌時計台を出発。小媒体では出発前の彼らに取材を実施。当時は「行きたくない」と消極的な姿勢を示していたが、14日間で関東に到着するなど足取りは快調だ。全体の3分の1をまわって彼らは今、どのような心境にあるのか。ここまでの“旅”の感想を聞いた。

基本的に言う事を聞かないスタイルでやっている

ストリートライブの様子

——結構ハイペースで関東に上陸されましたが、ここまでの旅はいかがでしたか。

ハシシ 早い気もするかもしれませんが、自分たちの体感としては長い気もしています。スタートから14日目で着いたんですけど。めちゃくちゃ長くもあり、短くもあり、ということを2人で話していました。

nicecream 思っていたより楽しんでいるのと、思っていたより疲れています(笑)。

——北海道スタート時の心境を教えてください。

ハシシ 寒かったし、スタート時は特に何も考えていませんでした。どちらかというと、こちらを出発する時の方が結構嫌でしたね。さっきの「楽しんでいる」というのも、「楽しく行かないと無理だな」と思うので、無理にでも楽しもうとはしています。

——所持金も当初の2万円から5万円ほどになっていますね。(11月25日現在)

ハシシ 使わない様にしているのと、ペースが良くて路上ライブが結構できていたので貯金はできました。「面白いところをつくろう」というのは一切思っていないので(笑)。使ったのは宿泊費が一番ですね。マンガ喫茶にしろ、たまにビジネスホテルの安い所に泊まるんですけど。それでも2人で5000円以上かかってしまうので、それは大きい出費です。

 実際、投げ銭は2千円くらいしかない県もありましたし、最高は3万円くらいあったところもありました。投げ銭と1枚500円のCDの売り上げの合計ですけどね。本心ではガッツポーズなんですけど、申し訳なさの方が日に日に強くなってくるというか。全部、人頼みじゃないですか。移動も生活も。そういう風にやっていると、最初は「あ、ありがとうございます」という感じなんですけど、どんどん罪悪感というか。「もうやめてくれ」と結構初期の段階で思いました。

 システムとしては当然というのも変ですけど、何のお店にしてもそういう流れで出来ているわけじゃないですか。こちらがした事に対する対価としてお客さんが値段を付けてくれるという。純粋な、綺麗なお金だと思うんです。でもそれが丸見えになってしまっている分、複雑ですね。

——結局、音楽業界もそういう構造ですもんね。

ハシシ CDの場合だとお客さんが買ってくれて、お店にお金が入って、それが会社に入って、僕の口座に振り込まれるという形じゃないですか。僕らはギターケースにお金を入れて貰うんですけど、そこが今、全部お客さんに見えてしまっている。nicecreamがよく言うんですけど、ライブ終わった後でもすぐに移動したりしなきゃ行けなかったりするじゃないですか。その時にお客さんもいる中で、お金を集めている瞬間はとても気まずいですね。最近は開き直っていますけどね。「しめしめ!」とか言いながら(笑)。

 あと、意外と車に乗せてくれる人がお金をくれるんですよ。降ろす時に5千円をくれたり。「頑張ってね!」みたいな。最初は千円札かなと思ったんですけど、貰ってからよく見たら5千円札で「あ、悪い事したな」と。

 それから一度プロのスキー選手が乗せてくれたんです。自分たちより年下で、世界大会に出ている有名な方だったんです。職業は違うんですけど「夢を追いかける」という所で境遇も似ていたので、車内で深い話とかもさせて頂きました。そんななか帰りに1万円渡そうとしてくれて、それはさすがにお断りしましたね。

——現在総ヒッチハイク回数が37回ということですが。

ハシシ 今のところ捕まりづらいのは関東近郊だけです。それ以外の所は本当にボードを上げた瞬間に捕まったり(笑)。本当に5分以内で捕まった事も少なくないですね。

nicecream 東北はもうほぼ全部1時間以内で止まってくれましたね。

ハシシ ネットで放送しながらやっているのですけど、コメントで「絶対そこ捕まらない」とか「そこ車止まりづらいから」と書かれても捕まるんですよ。基本的に言う事を聞かないスタイルでやっているので。放送は1日3回はやっています。なので、1日3時間以上は必ず。そうじゃないとモチベーションが続かない。

nicecream 放送に凄く助けられています。

ハシシ 2人だと会話とか無くなってくるじゃないですか。コメントがあると、そっちに向けて話す事もできるし、面白い事してやろうとも思えるので。

——やはり会話は少なくなりますか。

ハシシ 無くなっていくというよりも、高校からずっと一緒なので、必要な事があれば喋るし、無言の時間も気まずくはないですね。スタッフも2人いて、そのおかげで助かっている部分もあります。

路上ライブはこちら側で完結する様にやっています

ハシシ

——高級車が止まってくれたりすることはあるんですか。

ハシシ 高級車は無いですね。ファミリーカーが多いです。

nicecream 運転手がカナダ人で奥さんが山形の人で。山形駅まで送ってくれた人がいたんです。本当は酒田市まで行く途中だったんですけど、わざわざ行ってくれて。その車が凄く品が良かったですね。とても乗り心地が静かだったんですけど、その車はとても良かった。

ハシシ あとは18歳のヤンキーの車は怖かったですね。「降ろしてください」と言おうと思ったんですけど、怒りそうだったので言えず(笑)。良い人なんですよ、気持ちは。下道で1時間半くらい走ってくれましたよ。nicecreamは車が停まってくれた瞬間「お前行け、俺は乗らない」とか弱気で。

——ストリートライブの手応えはどうですか。

ハシシ 意外と非現実だと思って脳みそを使わない様にやっています。今使っているスピーカーの機能が1発で大きい音を出すと勝手に小さくなっちゃうんですよ。リミッターというか何というか。だから僕の地声がほぼ聴こえる状態。多分近くの人はスピーカーよりも僕の生の声が聴こえているんじゃないですかね(笑)。丸裸にされた感じで。撮っておいた動画とかで後で確認すると「きついな」とも思うんですけど、何とか頑張っています。やっぱり寒さが結構きついですね。nicecreamはダンスとかギターとかにも影響するし。

nicecream そうですね。寒かった地域では結構かじかみました。

ハシシ 早口な所が言えなかったりとか、勝手にビブラートがかかったりとかもしますね。普段のライブはお客さんを巻き込む様にやりたいと思っているんですけど、路上ライブはこちら側で完結する様にやっています。今のところそれが良いのか悪いのか、わかりませんけど。

 そこのバランスが難しいです。高さがないのでお客さんと同じ目線だし。なので「こっちで何かしている人を見ている人たち」という状況を作れれば良いのかなと。初見で観てくれた人のためにも、という所もあります。いきなり観ている人が手を挙げてノッテたりしたら、意味がわからないし、気持ちが悪いと思われてしまいそうなので。

——全然人が来なかったところもありましたか。

ハシシ 山形で5人ですね。平日の昼間というのもあり、人が居なかったというのもあるし、でも純粋に力不足だなと思っています。今の所はやる場所とか時間の目星は付けずに勝手にやっています。到着して2、3時間後に「やります」と告知して。やってすぐ移動する、みたいな。あと今の所一番多かったのは埼玉で50人くらい。日曜日だったので。土日はやっぱり人が多いです。平日はちょっと厳しいですね。あとは仙台で準備している段階で警察に注意されて、やめたりとかもありました。でも急に止めさせられるというのは、今はありませんね。

——LINE友達1000人作るミッションの調子はいかがですか。

nicecream 今371人ですね。

ハシシ 今はちょうど全国の3分の1くらいまで来たんですよ。だから良いペースじゃないかなと。でも友達作りについては一切、重点は置いていないので、とりあえず進めたいと思っています。本当に多くの人がLINEやっているので、交換してくれます。

——他にも別ミッションでバンジージャンプにも挑戦されたとか。

nicecream バンジーを飛ぶ前々日に知らされたんです。勝手に僕らが競っていたんですよ。どっちが多く車を止められるかという事で。

ハシシ 何かただやるのもつまらないので「じゃあ勝負しようぜ」とやっていたんです。そうしたら便乗されて「少ない方がバンジー」ということに。

nicecream それで「茨城に行くまでで少ない方が飛ぶ」という事になったんです。そうしたら、直前まで引き分けだったんですよ。最後の1台が例のヤンキーの方で。一応僕が停めたんですけど、最初に立っていたのはハシシだったという事で引き分け。14対14だったので、最後はあみだくじで決めました。結果、僕が飛ぶことになって飛びました。今となっては「また飛びたいな」という感じがするんですけど、でも飛ぶ直前はまじで怖かったですね。

ハシシ こいつはそういうのが得意なんですよ。「じゃあ罰ゲーム」ってなった時もやってみたい気持ちはある、みたいな。でも俺は本当に嫌で。絶対にやりたくなかったんですけど、なぜか意地悪してきて。俺を飛ばそうとするんです。

nicecream そういうのが見たいのかなと思って。

ハシシ でもまあ、逃れました。高校の時とかは川とか行って、高いところを探して飛び込むという遊びをやっていたんです。nicecreamはいつも先陣を切って皆が怖がる高さとかからも頭から行ったりしていました。だから大丈夫だろうなと思って、カメラを持って横から付いて行きました。結構ニヤニヤしながら。

 飛び込むときは上に持つところがあって、そこを離して飛ぶんです。それで話した瞬間、nicecreamがガタガタガタガタ震え出して(笑)。ヤバいんですよ、本当に。

nicecream 100メートル以上なんですけど、その時は思わず叫びましたね。「まじ怖えー!」って。

ハシシ 終わった後に「おまえ、まじ叫んでいたよ」と映像を見返したら、俺の方が叫んでいるんですよ(笑)。

nicecream 飛んでみたかったのは本当なんで良かったですね。高い所から飛び降りる夢、みたいな感じでした。

今のところ1ミリも出来てない

nicecream

——以前のインタビューで中間地点の自分に「仲良くしてください」とメッセージしていましたが、そこらへんはいかがですか。

ハシシ まだそんなに経っていないっていうのもあって、そこまでの事はないですよ。たまにピリッとする瞬間はありますけどね。ケンカにはなってないし、カメラマンが年下で僕らのサンドバッグになってくれるので(笑)。彼をいじってストレス発散しています。でも「今後は無いか?」と言われると、この生活が続いたらわからないですね。なるべく気を使えるところは使いたいと思いますけど。

——「曲作りもしたい」とも話されていましたけど。

ハシシ 今のところ1ミリも出来てないです。作戦としては「早く終わらせて、制作に当てたい」という、観ている人が1番つまらない展開にしようかなと(笑)。ゴールの目標は12月一杯です。スタートする前はよく「おまえら、ユーチューバーのヒッチハイクとか見ると半日とか車が捕まらない時もあるぞ」と言われたんです。でも今は「どうやったら半日捕まらないんだろう?」という感じなんですよ(笑)。

 多分、面白いところをつくろうとしている演出なんじゃないかと思うんですけど、僕らは「本当にやっているんだぞ」というのを言いたいですね。だからすぐ車が捕まっちゃうんですよ。茨城から千葉に行く時が一番長くて4時間ですし。時間かかったのはそれくらい。

——やってみて一番大変だなと思った事はなんですか。

ハシシ まず、そもそもの旅が凄く辛いと思っていたんですよ。多分、車もそんな簡単には捕まらないんだろうなとか、お金も無いんだろうな、という不安があって。でも今は車もすぐ停まるし、良い感じです。お金も底はついてないので。めちゃくちゃ貧しい事をしているわけではないじゃないですか。

 でもそれ以外の事をするのは考えて無かったんですよ。移動してマンガ喫茶を探したり、コインランドリーを探したりとか。ホテルに着いて日誌を書いたり。そんなこんなで寝るのが4時くらいになって。今は平均睡眠時間が4、5時間ですね。

 こまめにやることが色々あるんです。充電とかもしなきゃいけないし。告知しないといけないとか。普段そんなに手間のかかる事ではないですけど、当たり前にあるものが無い状況なので。車での充電器も早い段階で壊れちゃうし。

nicecream ライブもスピーカーを充電しなきゃいけないし、パソコンの充電もありますしね。電気のありがたみを感じます。

——年越しはどの様に迎えたいですか。

電波少女

ハシシ 僕らは年越さないです。世間的には年を越しても僕らは2016年13月が始まる感じ。ライブまでが終わってから年を越します。カウントダウンとか放送したら、応援してくれている人が「観なきゃいけない」みたいになっちゃうじゃないですか。それが可愛そうだなと。ただ、計算すると今年中のゴールは難しいかも。今1日1県ペースで回っているんですけど。うまく行っても年明けになりそうです。

——では最後にゴール後の自分たちにメッセージを。

ハシシ お疲れ様でした。本当にお疲れ様でした。

nicecream 結果どうなっているのかわかりませんが、とりあえずお疲れって感じです。

(取材・小池直也)

電波少女

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