ステージを降りて熱唱するAI(撮影・松尾模糊)

ステージを降りて熱唱するAI(撮影・松尾模糊)

 歌手のAIが11月2日、東京・日本武道館で、一夜限りのフリーライブ『「AI presents みんながみんな主役Night supported by TOKYO パラスポーツプロジェクト』を開催した。パラスポーツやアートシーンを盛り上げることが目的。抽選で招待された観衆を前に、カメラマンのレスリー・キーさん、車椅子ダンサーのがんばらけんたさんら参加のもとで音楽などを送り届けた。またこの日、35歳の誕生日を迎えたAIにサプライズケーキが贈呈された。

 「人種も国籍も障がいも関係ないオープンな音楽&パフォーマンスの祭典」をテーマにしたイベント。AIと「みんながみんな主役Night」実行委員会の共同企画で、東京都「TOKYO パラスポーツプロジェクト」の一環として、日本武道館を無料で開放した。パラスポーツやアートシーンを盛り上げることが目的で、AIがテレビ番組などを通じて出会い、その生き方や姿勢をリスペクトした様々なバックグラウンドを持ったアーティストやパフォーマー、アスリートが出演した。

 オープニングでAIが歌唱した後、黄色いコスチュームを着た左足義足ダンサー大前光市、女性ブレイクダンサーNarumiがダンスを披露。普段は観る機会の少ないパフォーマンスに観衆は、息を呑んだように観入っていた。

西川悟平のピアノ伴奏のもとで歌うAI(撮影・松尾模糊)

西川悟平のピアノ伴奏のもとで歌うAI(撮影・松尾模糊)

 車椅子ダンサーのかんばらけんたは「二分脊椎症」という障がいを持って生まれ、現在はシステムエンジニアとして働いている。2015年に『スロームーブメント』で車椅子ダンサーとして出演して以来、表現活動を始めたという。車椅子を巧みに使い、迫力のあるダンスを見せた。ダンス歴はわずかに1年だとは思えない質の高いパフォーマンスで観衆を魅了した。

 がんばらは、大前とともに、リオパラリンピック閉会式の『オリンピック・パラリンピックフラッグハンドオーバーセレモニー』に参加している。がんばらは「夢の中にいるようで、未だに当時のリオは現実感がない」と当時を振り返った。

 バリアフリーバンドのサルサガムテープは、1994年にNHK Eテレ『おかあさんといっしょ』の5代目「うたのおにいさん」だった、かしわ哲が神奈川県の福祉施設を利用する障がいのある人々に呼びかけ結成した大所帯バンド。小気味よいロックンロールを披露し、観衆も総立ちになり盛り上がりを見せた。

ウィルチェアーラグビー選手の池崎大輔さんと、義足アスリートパラリンピアンでモデルの大西瞳さんからサプライズケーキが贈られる(撮影・松尾模糊)

ウィルチェアーラグビー選手の池崎大輔さんと、義足アスリートパラリンピアンでモデルの大西瞳さんからサプライズケーキが贈られる(撮影・松尾模糊)

 更にAIが彼らのステージに参加し「フライドチキン」という曲を共演した。かしわ哲は「22年間やってきて、武道館に立てるなんて夢のようです」と喜んだ。

 続いてステージに上がったのは、2004年にジストニアを患い、一時両腕が使えなくなったオペラ歌手でピアニストの西川悟平。懸命のリハビリを続け、現在は指が8本まで使えるようになったといい、この日はピアノ伴奏を披露した。AIの代表曲「Story」を協演し、至極のラブソングに観衆は静かに聴き入っていた。

 最後には11月2日に誕生日を迎えた、AIに観衆からのバースデーソングとともに、サプライズで誕生日ケーキが贈られた。そして「みんながみんな英雄」を披露したAIは、ステージから降り、観衆と触れ合いながら熱唱した。

 この日はパラリンピアンの選手たちも数多く駆けつけいた。AIは「今から2020年が本当に楽しみです。皆さん、どうもありがとう! また会いましょう」と感謝を述べステージを去った。(取材・松尾模糊)

熱唱するAI(撮影・松尾模糊)

熱唱するAI(撮影・松尾模糊)

出演者プロフィール

 ◆AI 米ロサンゼルス生まれの鹿児島育ち。「Story」や「ハピネス」「みんながみんな英雄」など
大ヒットソングを世に送り出す、日本が世界に誇るグローバル・スタンダード・アーティスト。2016 年は約50 公演のベストツアーで全国を駆け巡る。

 ◆大前光市(Koichi Omae) 左足が義足の「かかしのダンサー」。長短様々な義足を使い工夫することで、世界にふたつとないダンススタイルを築く。2010 年、全日本洋舞協会合同公演では、舞踊作家部門新人賞および大阪府知事賞を受賞。近年はタリンやプラハなど、伝統ある海外の舞台にもゲストダンサーとして招かれている。

 ◆Narumi アメリカの世界大会、Silver back open championship Bgirl solo 2015/2016 年2 年連続優勝など10 年以上に渡り世界大会で10 回以上優勝するという偉業を成し遂げるBGIRL 界の先駆者。ソロの活動のみならずBody Carnival のリーダーとして活動し、2013&2014年のR16、2016 年UniversalDancers 優勝。

 ◆西川悟平(Gohei Nishikawa) 1974年大阪府堺市生まれ。ピアニスト。JHC Foundation, Inc グリニッチ国際音楽院ディレクター。米日財団会員。15 歳からピアノを始め3 年後にニューフィルハーモニー管弦楽団とピアノコンチェルトを共演。

 ◆サルサガムテープ(SALSAGUMTAPE) ひたすらカッコいいロックがやりたくて22 年突っ走っている超天然ロックンロールバンド。1994 年にNHK5代目うたのお兄さんだったかしわ哲が、神奈川県の福祉施設を利用する障がいのある方々に呼びかけて結成。

 ◆かんばらけんた(Kenta Kambara) 写真家/シンガポール生まれ。アート、ファッション、ドキュメンタリー、広告、CDジャケットの撮影、PV 映像監督などを中心に東京、PARIS、NY、アジア各国で活動。世界中のスーパーモデルやセレブリティを撮影し続けている世界で知られる写真家の一人。スマトラ沖地震津波被害者支援のために約300人のアジアのトップアーティストを撮りおろした写真集『SUPER STARS』など著名な活動も多数。2016 年よりNHK と共に2020 年東京オリンピック・パラリンピックに向けたポートレート企画「→2020 レスリー・キーがつなぐポートレートメッセージ」もスタートさせた。

 ◆MC=鮎貝健(Ken Ayugai) 日本人の父とドイツ人の母の間に生まれ、父親の転勤のためで2~9歳までをニューヨークで過ごす。16歳で再び一年渡米しバンド活動を開始。帰国後は学習院大学法学部法学科に進学。在学中にMTV JAPANのVJに抜擢。卒業後はJ-WAVEやFM802を中心にラジオDJとして人気を博し、「ジャンクSPORTS」や「JAPAN COUNTDOWN」など人気テレビ番組のナレーションやMC、さらには映画出演と、幅広く活動を展開。CMナレーションの出演実績も多数。

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