記念撮影に臨むトーマス・バッハIOC会長、森喜朗会長、小池東京都知事ら(撮影・松尾模糊)

記念撮影に臨むトーマス・バッハIOC会長、森喜朗会長、小池東京都知事ら(撮影・松尾模糊)

 東京五輪開催に向けた「東京2020参画プログラム」の一環である「東京2020公認教育プログラム」のイベント「TIASスポーツカンファレンス -スポーツと教育の力-」が18日~20日、都内でおこなわれた。20日には来日中のトーマス・バッハIOC会長の記念特別式典が開かれ、バッハ会長に筑波大学の名誉博士号が授与された。バッハ会長は中村筑波大学教授と「五輪精神」の文字を書にした。

 「TIASスポーツカンファレンス -スポーツと教育の力-」は、「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」の趣旨に賛同した、つくば国際スポーツアカデミーが公式サイドイベントとして開催。アジアのIOC委員を招聘し、スポーツ・文化による国際貢献や、有形無形のレガシー等について議論・情報発信し、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを国際的に高めることを目的とした。

 このうち19日は、有森裕子氏による基調講演と、IOC理事のパネリストが東アジア共通の価値観・文化の世界への発信などについての情報発信がおこなわれ、20日は、来日中のバッハIOC会長の来日記念特別式典が開かれ、筑波大学による名誉博士号授与式がとりおこなわれた。

 このなかで永田恭介筑波大学学長は「バッハ会長のスポーツ、スポーツ科学に対する見識はもとより、本学のオリンピック研究に共鳴いただき、ご支援いただいた功績に対し、名誉博士号を贈呈したい」と筑波大学の前身校である、東京高等師範学校の校長で近代柔道の父で、アジアの最初のIOC委員の嘉納治五郎氏について触れ、IOCと筑波大学の縁について語った。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長は「1973年に東京教育大学を、筑波に移すということを大学改革の中でおこなったという、ご縁があります。民事学校設置法の一部改正がありまして、その法案について、最初の本会議で登壇して演説したのが私です。国会議員になって初めて本会議で登壇し、演説したので私は筑波大学に対して特別な思いがあります」と自身の筑波大学に対する思いを語った。

 当時、首相だった田中角栄氏は、文科省などの反対の中、賛同してくれたことなどを明かし「オリンピックというのは平和の祭典です。先日、バチカン市国で『第1回スポーツと信仰に関する世界会議』が開かれ、バッハ会長も力強いメッセージを発してくれました。バッハ会長のもとで船に乗り合わせて、みんな心を一つにして、オリンピック成功に向けて、舵取りをおこないたい。そのバッハ会長のこの度の栄誉を、万感の意を持って祝したい」と賛辞を送った。

来日記念特別式典で語るトーマス・バッハIOC会長(撮影・松尾模糊)

来日記念特別式典で語るトーマス・バッハIOC会長(撮影・松尾模糊)

 JOC会長竹田恆和氏は「バッハ会長のリーダーシップのもとで、東京大会が世界に誇れる立派なものになるよう私どもも最大限努力していきたい」と2020年の東京五輪に向け意欲を語った。

 小池百合子東京都知事は「バッハ会長、誠におめでとうございます。前述の嘉納治五郎先生は、1940年の東京オリンピック招致に尽力されたと聞きます。そして、この度バッハ会長の博士号授与、素晴らしいご縁であると思います」と祝辞を述べ、東京での大会はアスリートの力が最大限発揮されるようアスリート・ファーストの精神で努力するといい、「オリンピックを通して、スポーツが身近なものになり誰もが健康でイキイキと暮らせるよう、IOCの皆様と勉強しながら、東京、日本が一つになって大会を成功に導きたい」と2020年の東京五輪に向けて意欲を示した。

 名誉博士号を授与されたバッハ会長は「この栄誉に心から感謝します。この博士号は私自身ではなく、IOCの代表として承ります」とコメント。筑波大学はオリンピックと深い縁があるといい、嘉納治五郎氏と古代オリンピックを現代に蘇えらせた、第2代IOC会長ピエール・ド・クーベルタン男爵が同じ教育者であったことを挙げ、その男爵の「何の価値観もないパレードはただの軍事パレードである」という言葉を借り「何の価値観も持たないスポーツはただの娯楽である」とオリンピックの意義を語った。

 また、オリンピックが開催都市に長期に渡り寄与できることを第一に、コスト削減、柔軟性強化を掲げた、「オリンピック・アジェンダ2020」の速やかな受け入れは頼もしいと述べ、すでに18億ドルの節約が出来ていると明かした。

 さらにオリンピックのいくつかの競技の被災地での開催を提案したことについて、バッハ会長は「これによりオリンピックが被災地の復興に寄与でき、被災地からも復興メッセージを送れる。2020年東京オリンピックがその未来への一歩となり、未来に渡り記憶として残ることを望む」と先日、安倍晋三内閣総理大臣との会談で提案したオリンピック一部競技の被災地開催についてその想いを語った。

 最後に中村筑波大学教授とバッハ会長による書道のアクティベーションがおこなわれた。「五輪精神」という文字をギリシャでおこなわれたオリンピックの起源とされる、紀元前8世紀ころの東洋の文字を書にして披露し、最後の「神」という文字の一部を、バッハ会長が書いた。(取材・松尾模糊)