SAのTAISEIとNAOKI。「僕らが知っていた若い頃に聴いていた音楽のエッセンスも入っている。それは今の若い子にとっては新しいものだと思う」

SAのTAISEIとNAOKI。「僕らが知っていた若い頃に聴いていた音楽のエッセンスも入っている。それは今の若い子にとっては新しいものだと思う」

 インタビュー後篇は、収録曲「Andy」に込めた想い、そして、音楽をやりはじめた当時のパンクシーンなどについて語って頂いた。当時は、伝説の英パンクバンド、セックス・ピストルズは解散しており、最初に聴いたパンクは日本のバンドだったという。金髪をおっ立て、革ジャン着て街中を歩くそんな非日常のスタイル。周囲から白い目で見られるも次第にそれが快感に。その感覚は音楽をやる上で今も大事な役割をはたしているという。

よくこの歌詞で通ったな(笑)

TAISEI

TAISEI

――あとタイトルで気になったのが「Andy」。

TAISEI これは色んな意味があるんだけど、メンバーにも言ってないからねえ。

NAOKI 俺も今始めて聞くよ。

TAISEI 「Andy」は、意味がない事であってもいいし、意味があってもいい事で、ちょっとこれは謎にしてるんだよね。まあ、色んな解釈あるんだよ。XTCのボーカルのアンディ・パートリッジ(Andy Partridge)だったり、俺の好きなバンド、ジェリーフィッシュ(Jellyfish)のボーカルのアンディ・スターマー(Andy Sturmer)だったり、もうちょっと違う「Andy」もあったりして、そういうのを全部ひっくるめて「Andy」にしたんだよね。

――ひとつの意味ではないんですね。歌詞の内容はどうでしょうか?

TAISEI けっこう自分が歌詞を書いて、いわゆるノスタルジックなところで多いのが、中学生とか高校生の時に田舎で経験した景色だったりするんだけど、これは圧倒的に東京に出てきてからの青春を切り取ったようなものがあるんだ。だから場所としては“東京”のことなんだよね。

――これはけっこう迷っていた時期に?

TAISEI 迷っていたというより「これからやるぞ!」と言ったけど、それから時が経って下手こいてダメになった時の感じと、そして今の自分がいる、という感じ。

――挫折も含まれているのですね。

TAISEI そうだね。

――「Andy」というタイトルを付けたのは、自分が好きなものであったり、背中を押してくれたものに対しての想いも?

TAISEI それもあるし、「俺とお前」の「お前」だったりするし。

――「情熱WINNER」の歌詞は、頭から<殺してえ>とありますが、物騒ですね(笑)。

TAISEI 物騒だよこれ(笑)。よくこの歌詞が通ったなと。

――<殺してえ程の屈辱に>と一気に歌わず、「殺してえ」で区切れているのはパンチがあります。

TAISEI これはもう技術的な話だね。例えば映画で、いきなり死んだシーンから始まったら衝撃的でしょ? そういうものかもしれないね。

――この曲は頭から順々に出来ていったのでしょうか?

TAISEI これはやっぱりサビからだね。サビのメロディと詞が乗っていたらおのずとAメロとBメロは出来ていったね。

――物語建ててAメロ、Bメロ、サビ、という順に出来る事も?

TAISEI そういうパターンもあるね。「Andy」なんかはどっちかというとそうだね。自分の時間軸の中でだんだんと出来ていく感じ。

NAOKI

NAOKI

――NAOKIさんは歌詞を聞いてレコーディングに臨まれるのでしょうか?

NAOKI うん、そうだね。今作に限らず、前作も前々作もあらかじめのベージックな歌詞があるんです。その前にはそれが無かった時代もあるんですけど、レコーディングしている最中に歌詞が仕上がるみたいな事が多々あったんですよ。でもここのところの2、3作からは詞があるから、詞を読んでしまうんですよ。同時に歌ったりして語感が耳に残ったりするから、それがリズムとしても言葉としても入ってくるし、メッセージとしても伝わるから、弾きながらの感情の動きというのは絶対に出てくるんだよね。今のスタイルはすごくやりやすいですよ。

――今作のレコーディングで新たな試みなどはありましたか?

TAISEI 色々あるんだけど、例えば今作はドラムの音には相当こだわったよね。チューナー(編注=ドラムの音色をチューニングする人)を呼んで、「この曲はこういうサウンドで、こういうイメージだから」と伝えると、それに合ったチューニングをするからね。そういう技術的な面もけっこうあったね。

NAOKI 一曲一曲でのイメージを絞り込んで、セッティングを組み変えて録ったというのは、もしかしたら始めてかもしれない。

――今までは、一回セッティングしたらそのままで?

NAOKI だいたいはそうですね。スネアの印象を変えるくらいですよ。今回はキックを変えたり、タムのチューニングをベロンベロンに緩めたりとか、シンバルに色んな細工をしたり。とにかく全部イジったね。

――ドラムチューナーさんがいると色々出来るんですね。

TAISEI やっぱそこはでかいよね。

――ギターのセッティングに関しては全部ご自分で?

NAOKI そう。僕にはなんも言ってくれないの(笑)。

TAISEI 今回はギターに関してはそんなに竿(編注=ギターやベースの弦楽器を指す)を変えずにやってるよね。

NAOKI 今回はほとんど自分のメインギターのファイアーバード(Gibsonのギター)だから。

TAISEI そこはシンプルにしたみたいね。

――ドラムは色々とこだわっただけに、ギターは逆にシンプルに?

NAOKI やっぱりそこがバンドの基本なんですよ。ドラムがしっかり固まってくれれば、ギターとか歌が思いっきり暴れられるんですよね。だから、そこの土台作りには今回時間をかけたのかなと。

――ドラムをけっこう変えてくると、今度はベースの位置なども変わってきますよね?

NAOKI それもやっぱり変えましたよ。ベースは竿を何本も変えてやっていましたね。

――ギターだけは一途に1本で?

NAOKI ほぼね。やっぱりギターは表情があまりにも見えやすい楽器だから。例えば、ハムバッカーのギターとシングルコイルのギターではあまりにも違う音だからね。違う人がいっぱいギターを弾いているみたいになっちゃうから、そういう所がギターという楽器はわかりやすいんだよね。

――良く言えばカラフルにもなると?

NAOKI そうそう。ピックアップの種類を変えてしまったら思いっきり音が違うから。曲によってはシングルコイルのギターを使ったりもするんですけどね。

――エレクトリックギターとは趣が異なりますが、アコギも好きですか?「Andy」でもガッツリ入ってますよね。

NAOKI アコギも好きです。そもそもアコギから音楽を始めたから、大好きですよ。

ギターを始めたきっかけは河島英五

SA「WAO!!!!」

SA「WAO!!!!」

――音楽を始めた時はギターでどういった曲をコピーしていたのでしょうか?

NAOKI 河島英五さんですね。13歳の時に。そこから音楽が始まったんです。

――エレキへの転換期は?

NAOKI パンクバンドに誘われたからかな。それが高校1、2年生の時。そこでエレキに持ち変えたんだよね。

――やはりアコギより弾きやすかったですか?

NAOKI いやあ、エレキはエレキで最初は難しかったよ! 全然タッチも違うからね。それで、何かに繋ぐ楽器じゃないですか? 俺は電気がチンプンカンプンだったから。だからアンプの穴の「どこに刺せばええねん?」と言っていた時代から始まったんだよね。

――昔のマーシャルアンプはインプット(編注=ケーブルを挿す穴)がいっぱいありましたよね?

NAOKI あったね。4つあった。あんなの最初からはわからないって。エレキはそうやって始まったね。

――TAISEIさんが作るデモにアコギは入っているのですか?

TAISEI アコギは入っていないんだけど、アコギ的なものは入っているから「これはアコギでいこうよ」となるんだよね。

NAOKI アコギを16ビートで刻んでいたりすると、タンバリン的な効果があったりするからね。

TAISEI パーカッシブだよね。

TAISEI

TAISEI

――どちらかというと、和音楽器のパートというよりパーカッションの役割で入れる?

NAOKI そう、そうなるんですよ。リズム楽器みたいに鳴るから。

――最後の曲の「CLUNKER A GO-GO」のCLUNKERには“ポンコツ車”という意味もありますが、これはバンドがツアーで使っている車のことですか?

TAISEI そうね。ポンコツ過ぎるもん。ドアが開かないし(笑)。

NAOKI そろそろ止まるよ(笑)。35万kmくらい走ってるからさ。

――その車に対しての“はなむけ”の歌でもあるのですか?

TAISEI はなむけって、まだ使うわ!(笑)。

――失礼しました。車に対しての応援歌として?

TAISEI そう、それと車に乗って君たちの町に行くぞっていうね。

――車が止まってしまったら行けないですよね? そうするとけっこう切ない歌になってきませんか。

TAISEI そうそう、だから<少しだけブルーを>という言葉を入れたんだよ。

――そういう事なのですね(笑)。歌詞の<GO WEST!>というのはなぜ西の方角へ?

NAOKI <GO EAST!>だと「EAST!」って1拍で言えないのよ。<GO WEST!>だと一発で言えるんだけど。「GO NORTH!」や「GO SOUTH!」だとおかしいしね。我々は極東アジアに住んでいる訳だから、旅で向かうなら西へ行くだけでいいんですよ。

――日本が極東だということを忘れてました。ちなみにその車に名前はありますか?

NAOKI 付いてない(笑)。

TAISEI 「ナントカ号」って?

NAOKI ぜんぜん愛着なし!

TAISEI いや、愛着はあるよ(笑)!

――5人目の仲間ですものね。

TAISEI そうだよ!

――ブログなどでこの車の写真を載せたことはありますか?

TAISEI ないと思うね。乗っていてケツが痛いと報告したぐらいかな。

――では是非、壊れる前に写真など撮って載せてください。

TAISEI そうだね。でも、こういう話してると本当に壊れるんだよな(笑)。昔、家にあった調子の悪かったテレビに「もうこのテレビいらねえな」と言ったら、その日に「ポンっ!」と音が鳴って映らなくなったんだよ。俺はそれを“TVスーサイド”と呼んでる(笑)。

一同 (笑)

非日常なんてどこにあんだよ(笑)

NAOKI

NAOKI

――先ほど、パンクバンドに誘われたというお話がありましたが、お二人が音楽をやり始めた頃はパンクというジャンルが出て来て間もない頃でしょうか?

TAISEI いわゆる70'sパンクというのはもうなくなっていて、そのあとのUKパンクと言われるものの時代かな。セックス・ピストルズはもう解散していたし、クラッシュはアルバム『Sandinista! 』の頃かな。一番先に聴いたパンクは日本のパンクの方なんだよね。アナーキーとかモッズとか、そっちの時代だったよ。

――衝撃的だった部分もありましたか?

TAISEI 衝撃的だったね。

NAOKI こんな人がいるんだってね。

――それでご自身でもパンクをやってみようと?

NAOKI 俺は誘われたからやってみたら、俺だけ生き残ったみたいになっちゃったけど(笑)。不思議なもんですよ。

――当時はプロになりたいという思いは?

NAOKI いやあ、1ミリもなかったよ。それでもライブばっかり決まるから、最初は「恥ずかしいなもう」という感じで。でもパンクだから髪を立てようかなって思って、こう…。髪を立てていると人に見られるじゃない? それで「ナメんなよ?」みたいな感じにだんだんなってきて。

――そういうルックスの変化は重要なんですね。

NAOKI それで見られる快感に変わってきた。面白かったよ。「蔑む目で見られるってこういう事かな」という事を10代の時に感じるって。こんな人が居なかった時代だもん。近所の人なんかは、俺と遊ぶなって言ってたし(笑)。金髪で革ジャン着て安全靴を履いて。それで電車に乗って指さされる訳よ。それがどんどん「見ろや」となってくるんだよね。それが音楽をやる上ではすごく大事だったなと思ってるよ、今。

――結局、パンクとは何なんでしょうか? 音楽の種類であったり、ファッションだと言われたり、いろいろありますが、一言でとなると難しいですよね。

TAISEI さっきも言ってたけど、最初は蔑まれたり、指さされたり、だんだんそういうのが快感に変わってくるの。パンクってそういう“快感”の事のような気がするんだよね。そして、何回も聴きたくなるんだよね。「もう一回聴いてみようかな」みたいな。それで、だんだん好きになってきちゃうのよ。

――セックス・ピストルズはライブとか滅茶苦茶ですよね?

NAOKI そう。わざとね。

――でも、あれがやっぱりもう一回見たくなるんですよね。

TAISEI 見たくなるんだよね。見せ物小屋みたいなもんだな。

――非日常的なものですよね。基本的には。

TAISEI そういうものであった気がするなあ。

――今のSAは非日常を追求していたりしますか?

TAISEI してないね。

TAISEI、NAOKI

TAISEI、NAOKI

――リアリティの方?

TAISEI そうだね。非日常なんてどこにあんだよと(笑)。

NAOKI もうこんな頭(NAOKIのトレードマークのスパイキーヘアー)も日常だもん。

――非日常もやり過ぎると日常になってくるということですね。

TAISEI そうだね。でも、どこかで矛盾は起きるといえば起きるんじゃないかな。こんなアホな世界を歌ってたらさ。

NAOKI ファンタジーワールド。

TAISEI 空も飛べたらって、飛べない!っていうさ(笑)。そこから始めようぜ、「空は飛べないよ」という所からさ。

――現実からですね。それをふまえた上で、さあどうしましょうと。

TAISEI そうそう。

――それでは、改めて、アルバム「WAO!!!!」について読者の皆さんにメッセージをお願いします。

TAISEI 新しいフィールドで勝負をかけるという意味で本当のオリジナルフルアルバムというのが、この形でSAというのが出来たのが、自分達を褒めたいし、まだまだ俺らは枯れないなって感じる事になった事は良かったと思うね。これは本当に思うんだけど、若い子にも聴いてもらいたいんだよね。それは何故かというと、僕らが知っていた若い頃に聴いていた音楽のエッセンスもすごい入っているし、それは今の若い子にとっては新しいものだと思うし、だから是非若い子達にも聴いてもらって、逆にこれが新しいなって思ってくれれば嬉しいね。

NAOKI おこがましいながらも、こんな年齢50前後の男達がこんなにとびっきりのピーハツなレコードを作るんだわ。捨てたもんじゃねえよと思えるね。歳をとるのってカッコいいよって思えるし。聴き手にとっては歳なんかは関係ないんだろうけど、それほどの自信を持って胸を張れるようなものが出来たんだよ。とにかく聴いてほしいなってね。このなりで、このルックスで、この「WAO!!!!」感というのかな…!なかなかこういうの無いからね。バラエティに富んで、どれもキラキラピカピカしている曲だしね。とにかく楽しんでほしいし、何かを感じてもらえればいいなと思いますよ。

――最後に、現代の若い人は夢がないという人たちも多いと聞きます。アドバイスするとしたら何かありますか。

TAISEI 今は情報量が多すぎるんだよ。なので、アドバイスするとしたらスマホじゃなく、ガラケーにしよう。まずはそこからだ(笑)。

インタビュー前篇:歳を取るのも捨てたもんじゃねえ、SA “ピーハツ”な自信作完成

(取材・村上順一/撮影・冨田味我)

作品情報

SA「WAO!!!!」
2016年10月19日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)4000円+税 TECI-1517
通常盤(CD)  3000円+税 TECI-1518
▽収録内容
初回限定盤・通常盤 共通 全11曲収録
01.ピーハツグンバツWACKY NIGHT
02.槍もて弓もて
03.誰が為の人生だ
04.LOVE’N’ROLL
05.そしておまえは新しくなる
06.Andy
07.ケリをつけろ
08.情熱WINNER
09.WATCH ME
10.はじめてのバラード
11.CLUNKER A GO-GO

DVD:初回限定盤のみ4月17日に東京キネマ倶楽部で開催された、全国ツアー「START ALL OVER AGAIN, NOW! 2016」の最終公演を全曲収録。

01 START ALL OVER AGAIN! 
02 GET UP!WARRIORS 
03 ACTIONS SPEAK LOUDER THAN WORDS
04 サマーホリディズスカイ 
05 KIDZ IGNITE 
06 WONDER WORKER 
07 俺は俺 
08 新しい歩幅
09 さらば夜明けのSkyline 
10 MARCH of HEROES 
11 runnin’ BUMPY WAY 
12 CALL YOUR NUMBER
13 (GOOD BYE)SHINING FIELDS 
14 SONG FOR THE LOSER 
15 雄叫び 
16 DON’T DENY,GIVE IT A TRY!! 
17 GO BARMY KIDS 
18 RALLY-HO! 
19 THE SHOW MUST GO ON
20青春に捧ぐpart.2 
21 DELIGHT

ライブ情報

<SA “LOVE'N'ROLL TOUR”>

11月3日(木)千葉LOOK 17:00 / 17:30
11月5日(土)HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2  17:00 / 17:30
11月6日(日)水戸LIGHT HOUSE17:00 / 17:30
11月12日(土)盛岡the five17:00 / 17:30
11月13日(日)郡山#917:00 / 17:30
11月19日(土)静岡UMBER対バン有18:00 / 18:30
11月20日(日)岡山ペパーランド対バン有17:30 / 18:00
11月22日(火)熊本django対バン有18:30 / 19:00
11月23日(水)広島Cave-Be対バン有17:30 / 18:00
11月25日(金)奈良NEVER LAND対バン有18:30 / 19:00
11月26日(土)松阪M'AXA対バン有18:00 / 18:30
12月3日(土)金沢VAN VAN V418:45 / 19:15
12月4日(日)新潟RIVERST17:00 / 17:30
12月8日(木)神戸太陽と虎対バン有18:30 / 19:00
12月10日(土)高知X-pt.対バン有18:00 / 18:30
12月11日(日)高松DIME対バン有16:30 / 17:00
1月13日(金)札幌BESSIE HALL19:00 / 19:30
1月15日(日)仙台MACANA17:00 / 17:30
1月18日(水)福岡graf18:30 / 19:00
1月20日(金)梅田Shangri-La19:00 / 19:30
1月22日(日)名古屋CLUB QUATTRO17:15 / 18:00
1月29日(日)赤坂BLITZ  16:15 / 17:00