普久原メロディーを取り入れた「十八番街」

だいちゃん(Vo.Gt)

だいちゃん(Vo.Gt)

――前作『空とてんぷらと海のにおい』は30曲の中から11曲に絞ったとお聞きしたんですが、今回はどうでしたか。

リョーサ 今回は余計には作らず10曲でしたね。

マスト 実は前作には収録されなかった曲も入っていますよ。

――どの楽曲が前作に制作されていた曲ですか。

リョーサ 「まるでーど!」と「十八番街」ですね。

マスト でも歌詞とかけっこう変えましたね。

――前作から漏れた理由はアルバムを通して聴いた時のバランスですか。

だいちゃん そうですね。でもちゃんと形になっていなかったからということもあります。

――その「十八番街」なのですが、ローリーさん(THE WALTZ)が書いているライナーノーツに普久原メロディーを取り入れているという記述があったのですが、普久原メロディーとはどのようなものなのでしょうか。

マスト 普久原メロディーは沖縄では有名で、普久原恒勇さんが作った民謡とジャズを融合させたものなんですよ。普久原恒勇さんは「芭蕉布」という曲を作った人です。琉球レアグルーヴというジャンルの中に普久原メロディーがあって、民謡の三線とかにオーケストラやブラスなどビッグバンドの要素を加えたものなんです。

リョーサ 今聴いてもスゴくかっこいいですよ。

リョーサ(Vo.三線)

リョーサ(Vo.三線)

――その要素を取り入れたんですね。「十八番街」も石垣島に実際にあるのですか。

リョーサ 実際にありますよ。街というか飲み屋街です。

――歌詞に「ママのビールが2000円」とあるのですが、どういうことなのですか。

リョーサ まず沖縄にはヤギ汁というのがあるんですけど、これは普通どの店も1杯1000円から1500円ぐらいするんですよ。でもこの店はヤギ汁500円でめちゃくちゃ安いんです。安いから食べに行ったらママが側に来て、勝手にビールを頼んで入れてくるんですよ。なので結局2000円以上払って帰ってくるという(笑)。

マスト でも十八番街はけっこう楽しいですよ。新しい観光地になるような気がしますね。Deepな石垣島が好きな人は来てますよ。

リョーサ 観光地として推したいですね。BEGINの“にいにい”達もまだ十八番街を題材にした曲はやってないんで。

マスト 大体の曲が、BEGINの“にいにい”達に先越されてるんですけど、今回は僕たちの方が早かった(笑)。

リョーサ BEGINの“にいにい”達はなんでも先にやるんですよ(笑)。ちなみに補足なのですが普久原恒勇さんは、ローリーさんのお父さんなんですよ。

――そうなんですね。そのローリーさんのバンドThe Waltzの「WOO-TOO-TOO」をカバーされてますよね。

マスト THE WALTZは僕らのアイドルなんです。BSヤングバトルで決勝まで行って審査員特別賞をもらったバンドなんです。その時に優勝したのはGAOだったんですよ。

――オリジナルの方も聴いたのですが、割と原曲に忠実にカバーされてますよね。

マスト ちょっとサンバ調にしたぐらいで、あとは変えてませんね。僕らより下の世代にはあまりこの曲が知られてないというのがあったので、そのまま届けるのが一番良いかなと思ったんです。

リョーサ 僕らの世代の沖縄の人はみんな知っていますね。「WOO-TOO-TOO」は沖縄のNHKで毎日流れていました。きいやま商店に一番合っている歌かなと思います。

マスト ちょうどサンバを練習していたんで「WOO-TOO-TOO」が良いなと思ったのと、歌詞も今の時代に合っているんじゃないかなと思います。

リョーサ 戦争があって、平和を願うということが歌詞にあるんですが、それを真っ直ぐに言っているんじゃなくて、聴く人によってはそう聞こえるという歌詞なんです。

――ローリーさんが「WOO-TOO-TOO」ではなくて、次の「うっとぅるさよ」でギターで参加しているのも興味深いですね。

リョーサ 「WOO-TOO-TOO」をカバーすることをTHE WALTZのメンバーには言ってなかったんですよ。全部出来てから聴いてもらったんです。

――THE WALTZのメンバーから感想などもらいましたか。

リョーサ そういえば、まだ感想貰ってないな。どうだったんだろう?

だいちゃん ドキドキしますね。

3人とも“キャッチー"なものが好き

マスト(Vo.Gt)

マスト(Vo.Gt)

――「うっとぅるさよ」とはどのような意味ですか。

だいちゃん これは「怖い、恐ろしい」という意味です。歌詞の内容も怖かったことを書いています。

マスト 「うっとぅるさよ」は日常でもよく使う言葉ですね。

リョーサ 曲はまずタイトルから決めて「うっとぅるさよ」の曲作ろうと作り始めたんですよ。この方言が使いたくて(笑)。

――この楽曲でローリーさんが参加した経緯は?

マスト これはもう曲調ですね。THE WALTZの曲調がこういう感じなんですよ。「この曲はThe Waltzみたいにしたいね」という話から、「だったら本人に弾いてもらおう」ということになったんです。ベースも弾いてもらっているんですよ。あと川満睦さんというニューオリンズ的なピアノを弾く方も参加してもらっています。ローリーさんも川満さんも沖縄から出ない人なんですよ。東京とかには1年1回ぐらいしか来ないんじゃないかな。

――バラエティに富んだアルバムだと思うのですが、この音楽ジャンルの幅の広さはどこで学んだのですか。

だいちゃん 子供の時から色んなものを聴いてきたというのがあると思います。ジャンルというものはなくて、これが良いと誰かが言ったものは全部聴いてきたのが、音楽性の幅を広げてきたことに一役買っていると思います。

マスト 音楽性は多彩だけどみんな共通していることがひとつあって、“キャッチー”なものが好きですね。

――確かにすごくメロディーがキャッチーだと思います。あとアルバム10曲通しても32分という割と短いのですが、これは意図して短くしているのですか。

マスト 意図してますね。僕ら的には4分超えたら長いと感じてしまいます。

リョーサ もうここはギターソロ無くそうとか良く言ってます。

だいちゃん 余計なものはどんどん削って、コンパクトに纏めたいというのがありますね。

マスト でも今回はギターソロ入ってる方なんですよね。ローリーさんのギターソロもすごく良かった。

――「for long time」のディリリというコーラスで“むぎ”が参加しているとありますが、この“むぎ”とはどのような方なんですか。

マスト 猫なんです(笑)。むぎちゃんというキャラクターのアーティストがいて、たまたまスタジオに遊びに来ていたんです。せっかくなのでコーラスを頼んだんです。

――アルバムに参加しているアーティストが多彩ですよね。

マスト ローカルな人たちが多いんですけどね。

――「ハブとマングース」で参加しているカルメラというバンドは?

リョーサ カルメラは福岡のイベントに出た時に、対バンで知り合ったんです。その時に意気投合して「また一緒にやりたいね」という話をしていたんです。そうしたらまた福岡の『Sunset Live』というイベントで一緒になってその時に「ハブとマングース」の演奏オファーをしたら快く受けてくれて。

――影の支配者とクレジットされている阿原奏木さんとはどのような方なんですか。

だいちゃん これは沖縄のなんでも出来る男です(笑)。これもたまたま遊びに来ていたので頼みました。

リョーサ 影の支配者はツアーでも出演するかもしれませんよ。

――東京でのライブはみなさんどうですか。他の地域と違うところはありますか。

だいちゃん 東京の方はいろんなライブを見慣れていますね。ノリ方も上手だし、自分の楽しみ方を知っている人が多い気がします。

マスト 東京で演奏してきたバンドは洗練されますね。地元に帰った時に分かります。全然違います、東京でやってきたバンドと地元でやってきたバンドとでは違いは大きいと思います。のせ方やMCなどエンタテインメント性も増しますね。

――5月1日からツアーが始まりますが、どのようなライブになりそうですか。

リョーサ フルバンドを引き連れてツアーを回るのですごい楽しみですね。僕らが一番楽しみなんですよ。

マスト 今回のアルバムにはバラードがないので、騒いで騒いで盛り上がっていくようなライブにしたいなと思ってます。

きいやま商店

きいやま商店

――では最後にファンの方々へ一言お願いします。

リョーサ 振り付けがある曲が何曲かあるんですよ。覚えてきてもらってみんなで楽しく踊りたいですね。このニューアルバムをいっぱい聴いてもらって、みんなで歌って踊って笑えたらいいなと思っています。

だいちゃん 日本橋三井ホールは初めての場所なので、僕らとても楽しみにしています。みんな曲を聴いて覚えてきてくれると思うので、相当な盛り上がりになるんじゃないかな。

マスト 僕らが曲を作るのはライブでみんなと楽しむために作っているので、ライブを観たことある人も、ない人もとにかくライブに来てほしいですね。一度ぜひ遊びに来てください。

(取材・村上順一)


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